お盆
翌日、昼。
家の前で立っていた。
それは、いとこが帰ってきたためである。
「僚太ぁ、久しぶりぃ。私誰かわかる?」
その言葉と共に僕にハグをしてくる女性。
彼女が僕の一番年の近い従姉妹である。
他のいとこは成人しているため今回は彼女のみが来ている。
「全く、そうしたら僚太くんが困るでしょ?加奈、早く離れてあげなさい」
彼女をいさめたのはその母親の叔母にあたる人物。
「むぅ~」
頬を膨らませて抵抗するという子供っぽさがあるが、こう見えて2歳年上の受験生だ。
◆
一旦、家に上がってもらい改めて話すことになった。
「はい、これお土産」
様々なお菓子が入っている袋を差し出される。
帰って来る度にもらっているため特に驚かずに受けとる。
「ところでそちらの子は?もしかして僚太の彼女?」
叔母さんは初めから気になっていたようだけど、やっぱりそう勘違いするか。
そして、興味津々とばかりに僕と凛花を交互に見ている加奈姉の視線がすごく気になる。
ちなみに加奈姉と呼ばないと何も反応してくれなくなるため仕方なくそう呼んでいる。
そういえば最近にも同じことがあったような・・・・・・
「いや、事情があって一時的にここに住んでるだけだよ」
誤解をいち早く解くため簡潔に伝える。
「立花凛花です。すみません、お邪魔しちゃって」
「今何年?」
加奈姉がまだ興味があるようで凛花に質問を始める。
「1年です」
「二人で話そう。僚太、部屋借りるね」
「あ、はい」
加奈姉は帰って来る度僕の部屋を一度は入る。
だから、そこまで驚くことはなかったが凛花まで連れていくのは想定外だった。
◆
「相変わらずの部屋だなぁ~。あ、一緒にベッドに座ろ」
「は、はい」
加奈の距離感に戸惑いながらも言われたようにベッドに腰をかける。
「それで、実際のところどうなの?」
目を輝かせながら問われる。
「何の事ですか?」
「僚太との関係だよ。なんとも思ってるわけじゃないんでしょ?」
見透かされているような感じをしながら答える。
「はい。でも、付き合ってはないですよ」
「あ、そうなんだ。ごめんね。初めの時僚太にハグしちゃって」
「い、いえ」
「今、どんな感じか教えてくれる?」
◆
加奈の問いに僚太の秘密も知っているようだったが、あの約束の件は言わずにそれ以外の情報を話した。
まだ、加奈についてよく知らないためやめて置いたのだ。
「へぇ、そこまでいってるんだ」
加奈がそう言うのは二人で外出を何度もしていることである。
「はい」
「そうなると後一押しって感じはするけどね」