アイス食べる?
「それじゃあ山に行こっか」
結局何でもお願い出来る券を覆す事は出来ず、準備をさせられ家を出た。
やって来たのは家から一番近い山だ。
標高もそこまで高くはないため登山と言えるのかはわからない。
ちなみに僚太はこの山の頂上に行ったことがある。
それは幼稚園の遠足だった。
つまり、幼稚園生でも頂上に歩いていけるということだ。
確か山頂辺りには公園があったはずだ。
そこで遊ぶ事が遠足の目当てだった気がする。
「そういえば僚太くんのいとこってどんな人なの?」
「・・・・・・・・・」
そういえば凛花と同じようなタイプの気がする。
いや、最近凛花といすぎてそのイメージがしやすくなっているだけだ・・・・・・・・・多分。
「えと、悪い人ではないよ」
「気になる言い方だね?」
「は、早く上まで行こう」
考えれば考えるだけ凛花と同じようなタイプだったように思えるため話を変える。
◆
数分後、山頂近くにある公園が見えてきた。
数分ではあったが、真夏に外を歩いていたために結構な汗をかいている。
「今さらだけど来る必要あった?」
「もちろんあるよ」
特に何もない気がするのだが・・・・・・・・・
「運動不足解消」
それこそ今さらじゃないかな?
運動不足になりたくないなら運動部に入ってるよ。
「この山にした理由は?」
「山の日でここが一番近い山だったから」
何でそれをさも当然というように言うんだ?
「それじゃあ、この後は?」
「帰ろ」
やっぱり。
「せめて休んでからにしません?」
「勉強しないといけないんでしょ?」
それを言われると言い返せない。
◆
「涼しいぃ~」
家に帰ってきてクーラーの風を浴びながら涼んでいた。
「僚太くん、アイス食べる?」
いち早く涼みたい僚太は普段なら遠慮するところをその提案に飛び付いた。
「やっぱり夏はアイスだよね~」
「・・・・・・」
口の中いっぱいにあるアイスにより返事が出来ないが、頷いて同意をしめす。
「僚太くんがっつきすぎだよ。ちょっとこっち向いて」
言われた通りにすると、凛花は近くのテーブルにあったティッシュを一枚取り、それで僕の口元を拭いた。
「ちょっと、動かないでよ・・・・・・・・・よし、取れたよ」
何か子供みたいな扱いを受けたな。
なぜだろう、少し嫌だな。