山へ行こう
ギリギリしなってしまいました。
遅れてすみません。
「どうしたの?」
中々見ない光景に戸惑いながら尋ねる。
テレビでは何かが流れており、音も出ているがそれよりも泣いているお母さんが気になりすぎて頭に入ってこなかった。
目元を擦りながら長い息を吐きこちらに顔を向けると、
「ああ、お帰り」
平然とそう言った。
少し、心配もあっため拍子抜けしてしまう。
「美奈子さん、何を見てたんですか?」
「あ、これ?職場で流行ってるドラマなんだけどね。気になって見てみたのよ。短編ドラマだけど、十分楽しめたわ」
まあ、最後には泣いてた訳だし感動的な話だったのだろう。
◆
その後、お母さんは夕食の準備に向かった。
どうやら僕たちが帰ってきたタイミングでちょうど終わったらしい。
普段であれば凛花も手伝いでそちらに向かうのだが、今日はお母さんが手伝いよりもこのドラマを見てほしいと言った事で、なぜか僕まで一緒に見ることになった。
ドラマの概要は割愛させてもらう。
理由としてはパズレンをしながら見ていたため内容が頭に入っていないためだ。
隣で真面目に見ていた凛花はやはり涙を流していた。
隣の人が泣いているのはその要因がドラマにあるとわかっていても落ち着かない。
自分も泣いていたら別だろうが、内容が頭に入っていないため泣けるわけもなくそっとその場を離れて自分の部屋に入ったのだった。
◆
翌日、朝。
「今日は山の日だね」
「そうだね」
正直、夏休みに被っている祝日にはあまり興味がなかった。
「登山にでも行く?」
「行くわけないでしょ」
登山なんて体力がある人しか気軽に行ってはいけないだろう。
「じゃあ、勉強?」
・・・・・・・・・登山が嫌すぎてそれで全然良く感じるな。
頷くと凛花は少し残念そうにする。
「本当に良いの?お金かからないよ?」
登山にお金がかかるなら尚更行かない。
「じゃあ、しょうがないか。何でもお願いできる券を使おうかな」
・・・・・・最悪な使われ方をされた。
体力的に厳しい。何とか・・・・・・・・・
「あ、ほら、免許とるためにも勉強しないと。お盆中は出来なそうだし」
「そうなの?」
「いとこが来るから」
「ここに?」
「うん、元々おじいちゃんが生きていた時はここで集まっていたらしくて、その名残」
「へぇ、珍しいね。うちはおじいちゃんとおばあちゃんが亡くなってからはお盆とかそういう決まった時期には会わなくなったなぁ」
普通はそうなのか?
今までは集まるのが普通だと考えていたためどちらが一般的なのかわからない。