表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
109/197

解散

食べ終わって少し雑談した後、勉強を再開した。


そして、電車の都合もあるため16時で解散することになった。

「僕は用事あるからこれで」

「私も」

僚太と凛花は終わるとすぐにそそくさと貴史の家から出て帰っていった。


「私も電車があるので・・・・・・今日はありがとうございました」

「良ければ送っていきますよ」

「いえ、大丈夫ですよ」

「じゃあ、送らせてください」

その流れを一通りして二人で笑いあう。

あるときから彼らの帰り際の会話はこの形に固定されていた。

きっかけは些細な事であったが、それが続いて今に至る。



駅までの道のりを二人で歩いていた。

「家の中すごく綺麗でしたね」

「そういえば、家に来るのは初めてでしたね。綺麗なのは友達が来るのがわかってたからですよ」

友達という言葉に嬉しさと悲しさを感じる沙羅。

友達という関係が築けているのは良いことだ。

しかし、その関係は自分が求めている関係ではない。

かといって、今の関係が変化するのも嫌だと感じてしまっている。


「私が行くときは気にしなくて良いですからね」

また、行きたいという願いを込めて言ったその言葉は電車の音によって遮られる。

「何か言いました?」

「いえ、あの電車に乗らないといけないのでこれで」

「・・・・・・」

貴史は無言で手をふりかえした。

沙羅が見えなくなったところでそっとふっていた手を下ろし困ったように頭をかく。

「意味を聞くべきだったかな・・・・・・」

もう、駅には用事がないはずなのに電車が出発するまでその場で立っていた。



「あの二人上手くやってるかな?」

「貴史は僕よりもコミュニケーション能力があるし大丈夫でしょ」

「沙羅は他人のには積極的なのに自分の事になると奥手だからなぁ」

凛花と僚太は何か用事があるわけではなく、ただあの二人を二人きりにしようと考えたためだった。

「自覚はしてるけど、少しは否定してくれないかな」

僚太が言うのはコミュニケーション能力に関する部分だ。

それをまるで正しいというようにスルーした凛花に少し落ち込んでいた。

「・・・・・・ごめん。否定は出来ない」

そこは、嘘でも否定してくれないと逆に傷つく。

まあ、声で嘘と分かってしまうのでどっちもどっちなのだが。


そんな会話をしながら家に帰ると、テレビ画面の前でお母さんが号泣していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ