勉強会の昼休憩
なんというかその後の雰囲気には気まずいものがあった。
初めにぶっちゃけすぎたかなと思い、少し反省しているといつの間にか凛花がいつもの調子に戻っていた。
先程は声から覚悟のようなものを感じたが、そういうのもなくなった。
まあ、自分が嫌いかって聞いてるようなものだからそれを聞く覚悟が必要だったのだろう。
さっき、もし迷惑だと言っていたらもしかすると凛花は僕の事を諦めたかもしれない。
それが凛花にとっても良いことであるのは分かっていた。
しかし、最近本当に迷惑に思わなくなってきてるのだ。
嘘をつくという手もあったが、それを許せない自分がいる。
凛花に合わせ僕も普段通りに戻るように意識した。
◆
貴史と沙羅は手際よく料理を進めていた。
「貴史さんは普段から料理するんですか?」
手を止めずに会話を試みる。
「いや、時々するぐらいですね。沙羅さんは?」
「私も時々ですね。部活がある日は中々・・・・・・」
「わかります。部活の後は動きたくないですよね」
「やっぱりそうなりますよね」
会話をして、最終的に共感で終わる。
主観ではあるが理想の展開に固くなっていた何かが少し和らぐ感覚を覚える。
「そういえば、コホラのアニメ最近見れてないんですけど見ました?」
今度は貴史の方から話しかけてくれた。
「私は毎週追って見てました。夏休みには見ないとですね」
「そうですね・・・・・・あ、そうだ。コホラなら僚太の方が詳しいですよ」
「彼氏くん、コホラ好きなんだ。りんに教えて正解だったかな」
「彼氏くんが僚太でりんが立花さん?」
「あ、そうです。りんは教えてからずっと漫画を読んでくれてて」
「僕は逆に僚太から教えられましたね」
やはり、同じものを知っていると会話を膨らませやすい。
そのため心の中で彼氏くんに感謝を伝えておいた。
◆
もうそろそろ出来るというタイミングで僚太と凛花が戻ってきた。
彼らはそれぞれ忘れ物をしたと言っていたが、一応新たにものを持ってきていた。
僚太はモバイルバッテリー、凛花は赤い文字を隠すことの出来る半透明のシートである。
僚太のものは勉強に関係がなかったが、凛花の半透明のシートは以外と使うことが多かったりする。
先程までは勉強をするために使っていた机の上を片付け、四人前のナポリタンがそこに並べられた。
座る場所はお互いがお互いを思って僚太と凛花が隣、その向かいで貴史と沙羅が隣となっている。
しかし、結局4人ということもあり、全員で話すことが多く座る場所はあまり意味をなさなかった。