これもお手伝い?
宿題の間にゲームやらアニメやらを挟みながら過ごしていると土日があっという間に終わり、補習が始まった。
実のところ補習は初めての体験だ。
全員強制で3時間授業を受けるといった感じだというのは知っている。
授業は国語、英語、数学の3教科。
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そこまで気は進んでいなかったのだが、授業内容が内容だっただけに得をした気分になった。
というのも3教科の内2教科は宿題を各自で進める時間となったのだ。
当然のように隣の凛花は机をつけてきたが、それでも家で宿題をする時間が減るのはすごく嬉しい。
恐らく、宿題を最後まで溜め込んでしまう人の救済処置を事前にしているのだろう。
そう考えた僚太はありがたくその2時間を使い宿題を進めたのだった。
しかし、宿題を最後まで溜め込んでしまう人はこの時間の間もボーッとしているんじゃないかなと思うのであった。
それは僚太が宿題を溜め込んでしまう側の人間のため自分だったらどうするかと考えることが出来たのだろう。今回はあの契約書があるのと、一人でやっていないため他のものに脱線しにくいという理由が重なってちゃんと計画的に出来ているが、それらがなければ宿題をやり始めるのは始業式の一週間前あたりになるだろう。
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家に帰ると12時を過ぎていた。
「お腹空いたね~」
「・・・そうだね」
最近あからさまにお母さんがお昼にいないことが多い。
本当に何を考えているのだろうか。
「何が食べたい?」
そして、恐らく凛花は冷蔵庫、冷凍庫の中身を勝手に使用する権利をお母さんからもらっているのだろう。
「餃子とか?」
「あ、良いね。餃子にしよっと」
「何か手伝うよ」
「・・・・・・」
その視線はなんだ?
「急にどうしたの?何かあった?」
「いや、最近二人の時はいつも任せきりだったけどそれはいけないなと・・・・・・」
「・・・やっぱりりょうちゃんはりょうちゃんだね」
「え?何か言った?」
先程凛花が回し始めた換気せんの音があったため凛花の声がうっすら聞こえたような気はしたが、確証は持てなかった。
「何でもないよ」
今回ははっきり喋ってくれたので聞き取れた。
ただ、何でもないということは何か言っていたということである。
その内容が少し気になりながらも昼食作りに取りかかろうとする。
「そうそう、今回は冷凍のを焼くだけだからやることそんなにないんだよね。焼いてる間話し相手になってよ」
「・・・・・・わかった」
思っていたのとは違ったが、何もやらないよりは良かったと思っている。
しかし、話が結構盛り上がったせいか、餃子が所々苦かった。