読書感想文
「こういうことだからさっさと宿題を始めちゃおう」
「ご褒美あったとしてもショボいと思うよ?」
やらなければ凛花が罰を受けることになるためどうせやるのだが、凛花が期待しすぎないようにそれだけ言っておいた。
「じゃあ、ショボかったら私がプラスでご褒美をあげるよ」
そんなプラスでってそんな良いものではないでしょ。
「ちなみに何を?」
「何でもお願いできる券一回分無効とか?」
「すぐに始めましょう」
どうせしなければならなかったが、すごい副産物がついてきた。
「やる気になって良かった。でも、ご褒美が良いものだったら何でもお願いできる券1枚追加ね」
「え?」
「だってこっちだけが何かを賭けるって不公平じゃん」
「・・・・・・わかったよ」
思考の結果ご褒美がそこまで良いものではない可能性が高いとなった。
◆
二人で宿題をすると迷う時間が減るため通常よりも時間がかからずあっさりと終わっていった。
といっても一番長い夏休み。
長いということはそれ相応に宿題も多くなる。
そのため1日や2日で終わらせることが出来る量ではない。
「今日はここまでにしよっか」
凛花のその一言で二人ともが体を伸ばす。
「そういえば、読書感想文はどうするの?やっぱりコホラ?」
「流石に違うって。まだ決めてない」
「そんな僚太くんに僚太くんだからこそ出来る裏技を教えよう」
・・・・・・・・・別にやろうとかではなく普通にどんな裏技なのかを聞きたい。
「それはね、今まで読んだことのある本の読書感想文を書く。だよ」
今まではその時に読んでいる本の中で一番書きやすそうなものを優先的に読み進めて書くという流れをとっていたがありかもしれない。
「立花さんはどうするの?」
「・・・・・・・・・」
あ、そうだった。
「凛花さんはどうするの?」
「・・・・・・・・・・・・」
あれ?
「・・・ちゃん」
・・・・・・ちゃん付けで呼べと?
何故かすごく恥ずかしいんだが・・・・・・
「凛花・・・ちゃんはどうするの?」
「フフッ」
いや、笑うなら初めので答えろよ。
「僚太くんのおすすめの本で書こうかな」
僕頼みかい!
急に言われても・・・・・・あ!
良い作品を思い出した僚太は近くの本棚からそれを探して取り出す。
「はい」
「流石僚太くん。早いね」
ちゃん付けで呼んだのもまだ残っており僚太は照れ臭い気持ちでいっぱいになっていた。