新しい世界
俺はそこで目を覚ました。
俺は確か死んだはず。そんなことを考えていると、俺の手足が縛られていることに気づいた。
「一体どうゆう状況なんだ?」
そう呟く。
多分これは、
「転生、ってやつなのか?」
きっとそうなんだろう。
前の世界でこんなことは起こらないはず。
俺の元居た世界では能力があって、平和だった記憶がある。
そんなことを考えていると後ろから声をかけられた。
「やっと起きたか。早速だがお前には決闘をしてもらう。」
その言葉に俺は、
「決闘?」
そんな反応をした。
「お前みたいな住むとこも行く当てもない成人した男は決闘で見世物にされるのさ。」
ほう、ここはそうゆう世界なのか。
そして俺はその疑問をそいつにぶつける。
「勝ったらどうなるんだ?」
その問いに男は、
「勝ったらこの世界での地位や名誉、全てが与えられる。まぁ、その一回じゃ何も得られないけどな。」
てことはつまり、
「勝てば勝つほど俺はこの世界で成り上がることが出来るのか?」
「ああ、そうゆう事だ。」
そう言われた。
じゃあ、することは一つなんじゃないのか?
俺は前の世界でやり残したことがある。
だったら、だったら。
一番上まで上り詰めるしかないんじゃないか?
そう心の中で呟いた。
俺はこの男に背を向けて笑っていた。
奴隷はこうやって甘いことを言えばみんな喜んで決闘をする。
そしたら俺らに収益が入るし客は満足するしでいいこと尽くしだ。
そしてこいつらは負けるとどうなるか知らない。負ければ、一生空は見えない。
地下労働だ。
だからこそこいつらを相手するのはこの世界で5本の指に入る戦士だ。
俺はにやけながらその男に色々を説明してその場を去るのだった。
決闘の日になった。
ルールは殺しはだダメで、それ以外は何をしてもいいらしい。
武器を使うも何でもありだ。
でも、殺しはダメ。奴隷なんて死んでも問題無さそうだけどな。
でも、、負けたら何かありそうだな。
手は抜かない方がいいが、この世界にどれくらいの実力者がいるのか気になる。
だからこそ、探るとしようか。
試合が始まってすぐ目の前にいる2メートル近くある大男がこちらに突進してきた。
ただの力任せな突進か。
俺は容易くその突進を避け、軽いパンチを放った。
ガタイの良い割に案外脆いらしい。
「次はこっちから行かせてもらうぞ?」
そう言ってそいつの背後に回る。読みが鋭いのか、こちらを見ずに手に持った斧を後ろに振る。
間一髪で避けた俺は、その攻撃の後の隙を突いて背後に回り込む。
そしてこいつの首にナイフを当てて、
「お前の負けだ。」
俺はそいつにそう告げた。
会場が静まるのを見るに、こいつは相当の実力者なのだろう。
でも、ガタイが良いだけで技術は点でダメだ。
だから俺の敵じゃない。
その後俺は奴隷から解放された。
その時に最初に説明してくれた男は渋った顔をしながら解放した。
どうやら奴隷として一人でも多く残したかったんだろう。
いや、そんな事よりも俺はこの世界で行く当てがない。
だから解放されたとてどうしたらいいかわからない。
言語は通じる。だから何をして生きようかそう考えていたその時だった。
「そこの君、決闘に興味はある?」
そう言われた。
興味はないが確かあいつはこの世界は決闘ですべてが決まるといっていた。
だからこそ俺は決闘で生きていくために、
「興味はある。」
そう言った。
「じゃあ君も決闘の世界に来るかい?君の戦いは見たよ。とてもいいものだった。」
その質問に俺は、
「分かった、それでお前の名前は?」
「僕の名前はリム、逆に君の名前を聞いてもいいかい?」
俺はその言葉に少し迷いを見せて、
「和人、それが名だ。」
そうリムに教えた。
その後、俺はリムにとある場所に案内された。
そこに着くとリムは俺の回答なんか考えもしないで、
「じゃあ、頑張ってね。」
そう言って背中を押された。
そして周りを見渡す。
さっきやったコロシアムの数倍大きいコロシアムだった。
そして目の前には俺より少し小さいくらいの少女がいた。
「本当にこいつでいいのか?」
後ろにいるリムに聞く。すると、
「多分、やれば分かるよ。」
そう言われてしまった。
まぁいいか。俺は今一度その目の前の少女に向き直り、そう宣言する。
「そこのお前!俺の攻撃に10秒耐えられたら降参してやる。」
その言葉にその少女は、
「は、はぁ!?いいわよ、受けて立つわよ!」
そしてその刹那、コロシアム全体が影に覆われる。
皆が上を向く。
そしてその先には大きな隕石が見えた。
その攻撃に目の前にいるそいつは驚きのあまり体が止まってしまっていた。
そんなそいつに、
「どうする?先に降参するか?」
そう問うとそいつは泣きながら、
「お願い、命だけは。降参するからぁ!」
そう叫ぶように言った。
その少女の言葉が発せられた瞬間、影は消えた。
「どうだ?びっくりしたか?」
そう聞いてみると、そいつは何が何だか分からないみたいな感じで、
「な、何なのあれぇ。貴方本当に人間なの?」
待てよ、この世界に能力は存在しないのか?その少女の言葉で気づいた。
だとしたらこの世界に俺が本気を出す必要のある奴は居ないのかもな。
そう考えて、
「超常現象なんじゃないか?」
そう他人事のように言う。
「貴方がやったんじゃないの?」
そう聞かれたが、
「人間にあんなこと出来るワケ無いだろ?」
そう言って、
「ところで名前は何だ?」
そう聞いてみると、
「私の名前はエリー!!」
そう高々と宣言する。
「そうかエリー。で、お前は何でここで戦っていたんだ?」
今一番気になっていることを俺は聞く。
「私はこの国でも強い方なんだよ?」
そうなのか、てっきりこいつも奴隷かと。
まぁさすがに奴隷だとしたらこんな少女とは戦わせないか。
そんなことを考えていると、
「貴方、私に勝ったんだったら相当の地位や名誉がもらえるわよ?」
確かそんな設定だったな。
「じゃあ金でも貰いに行くか。どこに行ったらそうゆうのがもらえるんだ?」
この世界に疎いため聞くことにした。
「私が案内してあげるよ。負けちゃったしね。」
「じゃあ頼む。」
そうしてエリーが俺の案内役になってくれた。
今日はもう時間が遅いので明日案内してくれることになった。
ここは宿屋か。
宿の料金はエリーが支払ってくれた。
なんか前の世界とは違ってあんま発展してないみたいだな。
そしてその日は眠りにつくことにした。。
元の世界に戻る手段は本当にあるのだろうか。まぁ、無かった時は後から考えるか。
そんなことを考えながら俺は意識を落とすのだった。