2.コーネル装
2024.11.12 新しく作ったコーネル装の写真を加えました。
今回は、手作り製本をするなら、いつかは作りたいなと思っていたコーネル装を作った、その記録です。
いやー、なかなかに手間取りました。けど、面白かった。楽しめました。
さて、まず中身である本体ですが、書いた短編が溜まったのでそれをまとめた分になります。
サイズをA5で作ったことと、補強紙を除いた以外は今までと同じ作り方なので、完成の写真だけ。
で、ここからが今回の本番。
レザークラフトで使った革でどんなのを持っていたか、久しぶりに漁ったら厚みの薄い革を見つけたのが、コーネル装で作ってみようと思った始まりでした。
革装丁に使う革は厚さが0.7mmなんだとか。なんで0.7mmなんでしょう? 長年の経験に基づいての知見なのかな?
でも、ものによっては0.3mmが良いと書いてある本もあったり。うん、こりゃ、訳わかりませんね。
漁って見つけた手持ちの革の厚みは約1.0mm。
うん? ひょっとして、厚過ぎる?
ダメかとも思いましたが、曲げたりして、確認してみればなんとなくいけそうな気が……。いや、いける! 間違いない。とくに根拠はないけど。
結局、一度試しに作ってみないとわかりません。作ってみましょう。
と、いうのが今回の流れです。
コーネル装の背部分の「背革」の幅ですが、表紙の三分の一から五分の一になるように幅を決めます。
となると、先に表紙のサイズが決まらないといけません。
まずは表紙の土台になる台紙です。今までと同じく百均で手に入れた厚紙を使っていますが、今回は台紙として貼り合わせる厚紙は二枚にしました。ですので、台紙の厚みは1.0mm厚ですね。
表と裏の台紙は、長さは(A5の縦長さ+6mm)、横幅は(A5の横長さと同じ)
背の台紙が、長さは(A5の縦長さ+6mm)、横幅は(本体の束の厚み幅と同じ)
にしました。
いくつか書いてある線は、革を貼る際に目安となる線です。
台紙の表裏と背の間の間隔は革の厚みがあるので、今回8mmに決めました。これで背革の大きさが出せるようになります。
のですが……。結局、背革の幅はなんとなくのフィーリングで決めました。
だってね、三分の一から五分の一って、いやいや、それ選べる幅の範囲が大き過ぎでしょ。考えるうちにだんだん訳わからんになってきました。
それにほら、最初の一回目なので、今回は試しだし。このぐらいの幅が綺麗な気がするって感じで決めました。
それが48mm。なんだ、この中途半端な数字。まあ、いいや。自分の感覚を信じてみましょう。
さて、台紙に貼る時に必要な折り返しが20mmになるように背革のサイズを決めましょう。
長さは(台紙縦長さ+40mm)、横幅は((48mm+溝の幅8mm+革の厚み1mm)×2+本体の厚み)。
小さなほうの革は、「角革」にする革で、一旦正方形に切っています。角革の大きさは背革の長さに合わせて決めます。
ただ、その背革の大きさに合わせるのを三角形の斜辺で合わせるのか、高さで合わせるのか、二つの考えがあるみたいで、どちらを採用したものか。最終的には高さを合わせる形を採用しました。
正方形の長さは(68mm+40mm)
どうせ最後は現物合わせになるからと、多少、数字は適当です。
次に革に色を塗ります。革をグレー、その間の表紙に貼る紙を濃い青にしようかな、っと考え、黒い染料を薄めて塗ります。
あれ、グレーぽくならない。緑がかって、なんか海苔みたい。なんだ、こりゃ?
…………。よくわからんが、こりゃまずい。しかたないので急遽、別の色に塗り直します。
写真ではわかりにくいですが、赤みがかった焦げ茶色です。予定とは変わりましたが、これで良し。
革の裏にこれから先に必要な線を引きます。
正方形の革で線が二重になっている部分は、貼る時の余白というかそんな部分です。うまい説明が思いつきませんが、とにかくそんな部分です。
余白部分は幅3mm、少し剥いて薄くしています。
なにはともあれ、台紙と革を貼っていきましょう。
正方形の革を対角線で切り、角革を作ります。
ここで気付きました。自分は馬鹿だ。
いや、それは前から知ってますけど。失敗した。角革が四枚必要なのに、これじゃ二枚分にしかならない……。
うおぅ、やってしまった。
これから革を切り出して作るにしても、先に作った分と色が一緒にできる気がしない。なんせ、塗りながら適当に染料を混ぜては作り直しで作った色なので、混ぜ合わせる分量がわからない。
しばらく考え、まあ、良いだろうという結論に達しました。
だってね、数が足りてないんだから作らない訳にいかないし、自分一人の趣味用のものなんだから少しぐらい色が違っていても良いでしょう、と。
新しく切り出した革に塗った染料が乾くまでの間に、今ある角革を台紙に貼ります。
折り返したところです。
乾いた新しい角革も貼ったところです。
つぎは背革と角革の間に貼る紙を切り出します。ちょっとこの紙の呼び名はわからないので、ここでは仮に「装飾紙」と名付けてみましょう。
コーネル装においては、この装飾紙はマーブル紙を使うのが本来だと聞きます。
ただ、手持ちにマーブル紙がないのと、単純に個人的にマーブル紙は好みではないので、今回は別の紙を使います。
で、その紙を切り出した状態がこれです。
最初、装飾紙は青い紙にする予定でしたが、革の色が変わったことから紙の色も変更しました。
色つきの黄色い紙が装飾紙、白い紙は厚み合わせのための紙です。
革と紙では厚みが違うので、そのまま装飾紙だけを貼れば、革部分との間に段差ができてしまいます。その段差をなくすために、装飾紙の下に厚み合わせのための紙を貼りました。
大きさは基本の大きさを計算して決めて、そこから一旦2mmくらい余裕をもたせて切り出す。その後、最終的に現物合わせで大きさを決めました。
手作業なんで計算通りにいかないことなんていくらでもありますからね。単に自分が不器用なだけとも言えますが。
片方に厚み合わせの紙だけ、片方に厚み合わせの紙と装飾紙を貼った状態が、こちらです。
で、両方に紙を貼り、折り返した状態がこちらです。
さて、ここまでできれば、あとは本体と貼り合わせるだけ。今まで作ったものと同じですね。
ただ、一点だけ違いが。溝部分をくっつけるのが大変でした。やはり布と比べて革は硬い。接着剤を塗っていても、革が浮いてしまってなかなかくっついてくれない。
本体とくっつけるのに、接着剤が乾くまで手で押さえる羽目になりました。2時間くらいだったかな……。たいへんだった。
もしかしたら、これがもっと薄い革だったらそんな苦労は必要なかったかもしれません。
で、これが完成した状態です。
おおー、凄い。ほんとうにできた。なんか、嬉しい。きれい、かっこいい。最高。
…………。
ん? やっぱり、革の面積が大き過ぎるような気が……。あれ、なんか不格好かも……?
色の組み合わせもプリンみたいな……。
うん、まあ、いいや。とりあえず、作り方はわかったから、次からはいくらでもやり直せるし。
ね、全然いいや。問題なし。全く問題なし。決して、自分を誤魔化してる訳じゃないよ。言い訳じゃないからね。違うからね。
それはさておきまして。
掛かった費用ですが、本体はサイズがA5、その用紙もまとめ買いしたので、用紙代、インク代を併せて五百円くらいです。インクがどれくらい使われているのか、よくわからないので、だいたいの金額ですが。
革もずいぶん昔に購入した物なので、正確な金額は良くわかりませんが、たぶん使用した分で八百円から千五百円の間くらい。掛かった費用の大きな分が革代です。
なるほど。コーネル装などの半革装が考え出された理由が、総革装の費用を節約するためだったと聞いたことがありますが、納得です。確かに革は高いですね。
次に作る時は角革を使用せず、背だけを革、残りを紙か布で作るかもしれません。あるいは、背も革ではなくデニム地やギャバジンみたいな丈夫な布で作るかも、です。
以上、コーネル装作製でした。
(2024.11.12 追加
ちょっとコーネル装のバランスを失敗したのが気になったので、新しく作ってみました。
今回は革を使わずに全部紙で作っています。
革だった部分に使った紙は、特種東海製紙株式会社のタントセレクトTS-1っていう紙です。
割と硬めの紙ですが、革や布と比べれば、当然丈夫さでは敵わないでしょう。
でも、個人的にこの紙の手触りが大好きなので、工作する時にはなにかとよく使ってます。
これは背革部分の幅を35mmで作ってます。
うーん、まだちょっと角革の部分が大き過ぎるかな?
でも、まあ、バランス的にはこのぐらいかな?っと思います。
以上、ちょっとしたこだわりでした。)