5.表紙作りと完成
今回、まずは表紙の作製です。
表紙の装丁はいろいろな種類がありますが、好みにより布装丁で作製します。
趣味でレザークラフトも行うので、革装丁も検討しましたが、手持ちにちょうど良い厚みの革がなく、革を広い面積で梳くのは大変。その他の作業上の面倒くささも考え合わせ、今回革装丁という選択肢はなしです。
A5サイズで作る時があれば革装丁、もしくは革と布(紙だったかな?)の組み合わせであるコーネル装とか挑戦してみたい気がします。今後の楽しみですね。
最初に表紙の台紙となる厚紙を切り出します。
表、裏、背の三つの部分に分け、切り出します。
表と裏の台紙は同じサイズです。長さは(B5の縦長さ+4mm)、横幅は(B5の横長さ-1mm)。
背の台紙が、長さは(B5の縦長さ+4mm)、横幅は(本文の束の厚み幅+3mm)。
ただ、できあがった本を見てみると、なんだかちりが少ない。ちょっと不格好だなと。
台紙を上下と横幅各1mm大きくしたほうが良かったかな……。それとも台紙と布を合わせる際の溝となる空白部分を1mm長めにとったほうが良かったのか。
解決策に迷いますが、とりあえずちょっと失敗しました。
さて、この台紙とする厚紙も百均で購入したものですが、十分な厚みのものがなかったので、売っていた厚紙を三枚貼り合わせて1mmぐらいの厚みにして使用しています。
少し見づらいですが、表に関しては後でタイトル部分に別作のステッカーを貼るので、貼り合わせる三枚の厚紙のうち、一枚だけタイトル部分を切り抜いています。これでタイトル部分にする窪みができます。
次に表紙装丁に使う布を切り出します。
布の大きさは台紙に折り返して接着した際、折り返し部分が上下左右各20mmになるように切り出しましたが、たぶん作業中に布が伸びるか縮むかして微妙にサイズが変わっていると思います。
皺が付いていますが問題ありません。濡らして引っ張れば皺はなくなります。
(確証があった訳ではなく、やってみたら皺がなくなっただけなんですけどね)
いきなり布に接着剤を塗っても良いのですが、それだと色ムラになる可能性があるため、一度布全体に水を含ませます。
それからでんぷん糊の割合を多めにした接着剤を塗り、台紙を載せます。
表と裏の台紙と背の台紙の間に溝となる部分として、それぞれ6mmの空白を空けます。まっすぐに空白を空けられるように6mm幅に切った厚紙で空白幅を出しています。
写真はありませんが、この段階で布の角を斜めにカットしました。カットしないと布を折り返した際、布が重なって分厚くなるためですね。
布を折り返して台紙と貼り合わせ、布と台紙の接着が完了した状態です。ここらの作業に自作万力が活躍しています。
折り返した布の端がちょっと汚いですが、そこらは見返し用紙で隠れるので問題はありません。
布にかなりの水を含ませているので、自作万力で新聞紙と一緒に挟み、時々新聞紙を交換しながら乾くまで丸一日待ちます。
表から見たところです。窪みがちゃんとできています。良かった。でも、いまいち手際が良くなかったせいか、少し色ムラになっている部分がありますね。残念。
ここまで来れば後は簡単。本体部分の背の部分と見返し用紙全面に接着剤を塗り、ズレないように注意しながら、表紙を被せるようにして本体部分と貼り合わせます。
ここで失敗すると、全てはおじゃんですが、基本的にサイズなどを間違えていなければまず失敗することはありません。慎重に行えば、OKです。
もっとも、自分は表紙の台紙が小さかったのか、表紙と本体のサイズにあまり差がなく危なく失敗するところでしたが……。
最後にタイトルとして、表紙の窪みに別に作ったステッカーを貼って完成です。
自分が作ったのは単純な作り方ですが、できあがったものを見ればなかなかに満足できました。したことのないことをするのは楽しいものですね。
簡素な出来ですが、できあがった本を捲ってにやついてしまいます。
ただ、読み返す度に直したい部分が目についてしまうんですけど……。
手作り製本の工程は以上となります。
労力は0円、自作万力は別の作業でも使う予定があるのでノーカン、元々持っていた道具や材料の値段はわからないので、これらも未計上で計算すれば、今回の手作り製本に掛かった費用は約2千円。
費用の八割が用紙代とインク代です。用紙はまとめ買いすれば大幅に下げられるでしょう。
全てを事細かに記載した訳ではないですが、これを読んで自分も作ってみようかなという方が出てこられればうれしく思います。