3.本体部分の作製(前半)
今回は印刷された用紙を合わせて、表紙の無い裸本の形にするまでの前半部分です。
まず、印刷したものと遊び紙がこちらです。
本の形にするのは、水木あおい様が行っていたように糸で綴じた後に背固めをする方法を採用しました。
糸綴じと接着剤により背固めを併用する方法は「手づくり製本術」にも『応用の大変広い基本的な製本法』と記載されていましたし、糸だけ、もしくは接着剤だけだとちょっと強度が不安だったので、この方法に決めました。
ただ、自分は角背本にするつもりだったので問題ありませんでしたが、もし丸背本にするなら、この方法だと二手間ぐらい余計に掛かりそうなのでちょっと注意が必要だと思います。
でも面白そうなので、次は丸背本で作ってみようかな。
まず、用紙に糸を通すための穴を空けなければいけません。普通に千枚通しを使って手作業で空けていくのは大変だったので、これも水木あおい様の真似をしてハンドドリルで穴を空けることにしました。
自分の不器用さではそのまま行うと穴の位置がズレそうだったので、百均でプラスチックでできたB5サイズの下敷きを購入し、それに穴を空け、穴の位置決めのガイドにしました。用紙と重ね合わせた状態がこちらです。
ガイドを使っても350ページ分をまとめて一気にだと厚みがあり過ぎ、やはり穴の位置がズレそうだったので、だいたい50枚ずつ四回に分けて穴を空けていきました。
ほぼズレることなく、穴空けが完了。穴の周囲で少し用紙が盛り上がっていますが、それは力任せに握り潰して修正。
多少、盛り上がりは残りましたが、問題ない程度になったので良しとしましょう。あまり拘り過ぎると作業がいつまでたっても終わりません。
ここから先の作業には、まとめた用紙がズレないように確保するものがあったほうが作業しやすいので、ホームセンターで板やボルトなどを買ってきて簡単な万力を自作しました。プレス機の代わりですね。
簡単なものですが、かなり役に立ってくれました。もしこれがなかったら作業が滞っていた可能性大です。
綴じるのに使った糸は細めのたこ糸、針はレザークラフトに使う針です。どちらも以前、別の工作で使ったもので、元々家にあったものです。なにかとよく使っており、今回もこれでいいだろうと特に考えることなく採用しました。
一旦、用紙に汚れ除けとなる紙をつけ、和綴じのやりかたを使って仮綴じをし、さらに背の部分に穴の位置がわかる目印の線を引きます。
このとき、仮だからと糸を緩めで綴じましたが、これは失敗でした。作業中に用紙が少しズレて後で修正する羽目に。やはり一つ一つをきちんとしないといけませんね。
仮綴じした用紙を自作万力にセットし、背に書いた線を目印に糸鋸で一ミリ程度、背の部分に鋸を曳きました。
別に鋸曳きをしなくても問題はないと思いますが、この作業をすることで後に糸綴じを行った際に、背の部分でたこ糸分だけ出っ張りができるのを防ぐ意味合いがあります。
確か、こうしたほうが後で段差がなくなるので、背の部分に貼り合わせる寒冷紗やクータが接着しやすくなると聞いた気がします。たぶん、ですけど。
それで、糸綴じが完了した状態がこちらです。
少し鋸を深く曳き過ぎたような……。なかなか加減が難しいですね。
確認のために、開いた状態を見てみましょう。特に問題なく開けますね。
ということで、これで用紙がばらけることはなくなりました。
次は背部分の接着。本体部分の作製の後半部分です。