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異世界帰還勇者のサイコパス善行生活  作者: 本当は毎日ラーメン食べたいけど健康のために週一回で我慢してるの助
第2章 こわい先輩編
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第14善「エロ漫画で見たことあるやつ!」


 異世界。

 聖母先輩の口から、予想外の言葉が出て来た。


「あなたも……って、先輩も?」

「えぇ、えぇ! そうなんです! まさか、同じ学校に異世界に行った人がいるなんて!」

「びっくりッスね……」

「召喚先はどこでしたか? わたくしは——」


 聖母先輩は春休みの終わり頃に異世界に召喚されたと言う。召喚先は俺と同じ世界のようだが、年代が違っているようで、俺よりも五十年以上も前の時代に転移していた。

 つまり、俺の先代の勇者というワケだ。定期的に勇者が召喚されているという話は聞いていたが、まさか同じ学校の先輩が転移していたとは。


「本当に驚きました……。吉井さんが異世界帰りの勇者だったなんて……」


 一通り異世界トークを終えると、先輩はふぅ、と深い溜め息を零す。一拍置いて、何かを思い出したようにパンと手を叩いた。


「あ! もしかして、その左手の刻印!」

「え、これ見えてたんスか?」


 他の人間には見えないこの刻印。同じ異世界帰りの者同士なら見えるのか。


「はい、てっきりタトゥーでも入れてるのかと思ってました。吉井さん、見た目不良ですし」


 オイ。


「それって、帰る時に神さまから与えられたものですか?」

「ま、まさか先輩も!?」


 与えられた、というよりかは押し付けられたものだが。

 異世界に行ったというだけでなく、神から呪いを課せられた点も同じなのだろうか。しかし彼女の手には俺と同じような七芒星は見受けられない。両手ともだ。


「わたくしは別の場所に印があるんです。……はっ! もしかして、ここに入部しに来たのって! 吉井さんも善行をしなければならないのですか!?」

「そ、そうなんス! 先輩も!?」


 『一日七善』の内容すらも同じだったとは!

 そうか! だから《お助け部》なんてものを作ったのか!


「はい! わたくしもなんです! まさか善行仲間がいたなんて!」


 そこに関しても共通しているとは。

 同じ元勇者。同じ呪い。つい先ほど会ったばかりだというのに、一気に親近感が湧いてくる。


「善行するの、大変ですよね……」

「ハイ……」


 互いにその苦労を知る身。

 俺達二人は自分達の境遇を哀れんで、深く溜め息を吐いた。


「ほんと大変ですよね。一日に五十回も善行をしないといけないなんて……」

「はい?」

「え? 一日五十善じゃないんですか?」


 ……は?

 この人、一日に五十回も善行やらなきゃいけないの?


「『一日五十善さもなくば家族・友人もろとも死』じゃないんですか?」


 なんかスゲー呪いかけられてんぞこの人!


「いえ……俺のは……『一日七善さもなくば死』ッス」

「え、少なっ」

「なんかスンマセン……」


 俺の呪いがめっちゃショボく聞こえる……。七善だけでもヒーヒー言っているのに五十善なんて。想像もできない過酷さだ。

 つか俺は、倫理観がぶっ壊れた結果『一日七善さもなくば死』の呪いを課せられたんだぞ。それ以上に過酷な呪いをかけられてるなんて、一体この人何を仕出かしたんだ……。


「一日五十善……。しかも、家族と友人まで巻き添えに……」


 文字通り桁違いの呪いに言葉を失っていると、突然両手がガシッと掴まれる。


「わたくし達、もうお友達ですよね?」


 やめろ! その呪いに俺を巻き込むな!


「七芒星……七本の線……」


 先輩は俺の左手を掴んだまま、甲に刻まれた七芒星をしげしげと観察していた。


「少し薄くなっているのを見るに……もしかして、善行をすると線が一つずつ消えていく感じですか?」

「そッスね。先輩のは違うんスか?」

「わたくしのは、増えていくタイプなんです」


 増えていく? と首を傾げていると、聖母先輩は唐突に机の上に座り込んだ。そしてそのまま、M字開脚をしてスカートの中を晒し出す。


「な、何してんスか!?」

「まぁ見てください」


 晒されたスカートの中。

 中央には、聖母という名に相応しい純白の布地。そこから両側に伸びる、雪原を思わせる白く滑らかな太もも。

 そこに、刻印はあった。


 ズラリと並んだ『正』の文字が。

 『正』字の数は、合計十個。


「一善する毎に、内ももに『正』の文字が一画ずつ増えていくんです」


 エロ漫画で見たことあるやつ!


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