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第313話 やはり弟子は巨乳に限る

 久しぶりにベガルティアにやってきたら、どうやらダンジョンで迷宮暴走が発生したらしかった。

 ギルドの地下で冒険者たちが戦っているとの情報を得て、俺たちはすぐに向かった。


「人手が要りそうかな、アークのおじちゃん?」

「どこからどう見ても人手が必要だ。それも可能な限り凄腕の連中がいい。例えば、お前さんたちのような、な」


 初老のギルド長、アークが俺を見て軽くウィンクしてくる。

 いや、おっさんのウィンクとかキモいんだが?


「……ファナにアンジェか。二人ともどうやらまた随分と腕をあげたようだな」

「ねー、正直まったく動きが見えなかったんだけどー」


 呆れたように言うのは、Aランク冒険者のゲインとエミリーだ。


「四十階層の魔物をまとめて瞬殺……」

「……もはやAランクのレベルじゃないだろ」

「この街を出てから、どんな訓練を積んできたんだか……」


 他にもなんとなく見知った顔がちらほら。

 名前は覚えてないが、まぁ胸の大きな女の子以外、覚える必要がなんて皆無だからな。


 と、そこへ。


「師匠おおおおおおおおおおおおおおおっ! 会いたかったぜえええええええっ!」

「ゼタお姉ちゃん」

「レウスくうううううううんっ! お久しぶりですううううううううっ!」

「コレットお姉ちゃんも」


 左右からほぼ同時に勢いよく俺に抱き着いてくる弟子二人。

 素晴らしい双丘に挟まれながら、俺は改めて確信した。


『やはり弟子は巨乳に限るっっっっ!! 異論は認めないっっっっ!!』

『むしろ異論だらけですが?』


 しばらくこのままダブル巨乳に埋もれていたい気持ちもあったが、さすがに今はのんびりしている場合ではない。

 もう少し堪能することにしよう。


『マスター、秒で矛盾していますよ』


 しかし残念ながら二人の方が俺から離れてしまった。


「師匠、これを見てくれ! アタシが新しく打った武器だ! 確かに悪くねぇのが造れるようにはなったけどよ、師匠のと比べたらまだまだ全然だ! お願いだ、もっとアタシに鍛冶のことを教えてくれ!」

「う、うん」

「レウスくんっ、聞いてください! もうこの都市の人には治療をやり尽くしちゃったんですっ! どこかに無限に治療が終わらないような街はないですかねっ!?」

「そ、そうなの?」


 そろって目を血走らせながら必死に訴えてくる。


「ハァハァハァ……教えてくれ、師匠っ! アタシはもっと良い武器を造りてぇんだ!」

「教えてください、レウスくんっ! あたしはずっと魔力回路を弄っていたいんですぅ! ハァハァハァ……」

「息が荒い息が荒い! 二人とも落ち着いて! 今はダンジョンの方をどうにかしないと!」


 ……おかしいな?

 ちょっと合わないうちに弟子たちがヤバさを増しているんだが……。


「ま、まぁでも、僕たちが来たからにはもう大丈夫だよ」

「加勢してくれるのか。そいつは百人力だ。……なんか二人ほど、見慣れないのがいるが、お前さんたちの新しい仲間か?」


 アークに聞かれて、俺は応える。


「うん、そうだよ。彼女はカレンお姉ちゃん。東方で出会ったサムライだよ」

「よろしくでござる」

「東方の? お前さんたち、東方に行っていたのか」

「そしてこっちはリル。実はこの街で冒険者登録したんだけど、そういえば面識はないんだっけ」

「ないな。あったら確実に覚えている。……こんな化け物のようなやつを忘れるはずがない」

「あはは、さすがだね。今は人化してるけど、正体はフェンリルなんだ」

「フェンリルだと!? 神話級の魔物じゃないか!? いや、そういえば、冒険者登録試験にとんでもない獣人が参加して、いきなりBランクになったと報告を受けていたが……まさか、それか」


 アークは指で眉間を摘まんだ。


「フェンリルを仲間にするとは……相変わらず常識から外れた赤子だ……」


 そんな彼に、俺は提案する。


「それで、加勢するのはいいんだけど、まさかずっとここで出てくる魔物を倒し続けるつもりじゃないよね?」

「む? そのつもりだったが……。なにせ迷宮暴走は、外に出てくる魔物を倒し切る以外、収める方法がないはずだ」

「違うよ? 実は迷宮暴走を解消する方法があるんだ」

「なんだと? ……お前さんが言うのなら間違いはなさそうだな。それなら話が早い。すぐにチームを結成し、解消を目指すとしよう」

「あ、それなら大丈夫。あの三人に任せようと思ってるから」

「なんだと?」


 俺は三人の名前を挙げた。


「ファナお姉ちゃん、アンジェお姉ちゃん、それからカレンお姉ちゃん」

「ん、私たち?」

「あたしたちだけでどうにかしろってこと?」

「拙者もでござるか?」


 話を聞いていた三人娘が反応する。


「うん、今のお姉ちゃんたちなら、三人でちょうどいい難易度だと思う」

「つまりはそこまで難しいものではないということか。……で、具体的にはどうやるんだ?」


 アークの問いに、俺はその簡単な方法を告げた。


「ダンジョンの最下層にいるボス。そいつを倒せばいいだけ。そうすれば迷宮暴走はすぐに止まるよ」

「…………………………は?」


 アークがぽかんと口を開けた。


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外れ勇者1巻
4月24日発売!!!
― 新着の感想 ―
更新ありがとうございます 最下層のボスの討伐って ダンジョン攻略してこい! って事ですよね それともダンジョンマスターは別にいるのかな?
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