第309話 自己紹介詐欺はおやめください
「それならこの船の乗務員としてダーナお姉ちゃんを雇ってあげる」
「ほ、本当かっ!?」
「うん。好きなだけ船のことを研究してもらって構わないし、部屋も余ってるから適当に使ってくれていいよ」
「神船の兄弟船に寝泊まりしながら、ひたすら研究に没頭できるなんて……夢のような生活だ……」
ダーナは感動したように目を潤ませる。
「じゃあ、改めて僕たちのことを紹介しておくね。僕はレウス。見ての通り無邪気でかわいい赤ちゃんだよ」
『マスター、自己紹介詐欺はおやめください』
リントヴルムのよく分からない指摘を余所に、俺は続ける。
「彼女はファナお姉ちゃん。僕の最初の弟子で、バストはまだまだ成長中のGカップ93センチ」
「ん、よろしく」
ちなみに身長も前より少し伸びて160センチ、体重は約47キロだ。
『なぜ詳細を把握しているのですか気持ち悪い』
「そしてこの赤い髪のお姉ちゃんが、アンジェお姉ちゃん。アマゾネスで、バストはⅠカップの97センチ」
「カップ数の紹介は要らないでしょ!?」
なお、身長は166センチ、体重は約51キロだ。
「彼女はリル。こう見えて伝説の魔物フェンリルなんだ。バストはJカップの105センチ」
「よろしく」
人化状態だと身長178センチ、体重は約60キロ。
「最後がカレンお姉ちゃん。東方のサムライで、最近仲間になったよ。Hカップの102センチ」
「拙者、胸のサイズなど計ったことなかったでござるが……」
カレンの身長は174センチ、体重が約55キロ。
「わ、私は魔道具師ダーナだ。胸のサイズとかは分からないが……改めて、よろしく頼む」
「Hカップの97センチだね」
身長は170センチ、体重は54キロってところかな。
『もう把握しているのですか……』
それから俺はダーナを連れ、飛空艇内を案内した。
広い船内を一通り見て回って、最後は船の心臓部である機関室へ。
「~~~~っ! ~~~~っ! ~~~~っ!」
「な、何だ、この拘束された女性はっ!?」
機関室の中央、身体に幾つものコードを繋がれ、口には球状の猿轡を嵌められている女型魔族に、ダーナが驚愕する。
「この船の動力源だよ。こいつから魔力を吸い取って、船を動かす力に変えているんだ。あ、もちろん人間じゃないよ。魔族っていうんだけど、知ってる?」
「魔族だとっ……も、もちろん知っている。見たことはないが、幼い頃、親によく聞かされるんだ。良い子にしていないと、魔族がやってきて食べられるぞ、って」
どうやらあの島にも魔族の話は伝わっていたようだ。
「こいつが魔族なのか……」
「うん、ちなみに見た目は女性っぽいけど、女性じゃないよ。性別なんてない生き物だからね」
「だ、大丈夫なのか……? 物凄い形相でこちらを睨みつけているが……」
「心配要らないよ。このレベルの魔族じゃ、この拘束は絶対に解けないから」
「~~~~っ! ~~~~っ! ~~~~っ!」
何かを訴えてきているが、どうせ大したことないので無視一択である。
「神船でも魔族を……?」
「あっちにはないよ。素材のお陰で、この船よりずっとエネルギー効率が高いからね。まぁそれでも魔力を補充するのは割と大変だけど」
もしベレテッテグロッセ号も快造が許されるのなら、同じように魔族を動力源にしたいところだ。
「つまり、独力で魔族を動力源にする方法を思いつき、実行したというのか……?」
東方に行ったときにヒントを得たお陰だけどな。
「その魔道具への高度な知識と具現化能力……本当に何者なんだ……?」
「それはヒミツ。でも、もし何か分からないことがあったら僕に聞いてね。きっとダーナお姉ちゃんなら一から魔導飛空艇を造れるようになると思うよ」
「ほ、本当かっ?」
「うん。ただ、一つだけ避けては通れないことがあるんだ」
「避けては通れないこと……?」
「それは――」
「ななな、なぜ私は裸にされているんだあああああああああああっ!?」
客室にダーナの絶叫が響き渡った。
ベッドの上に転がされた彼女は一糸纏わぬ姿で、その豊満な胸を必死に隠している。
「ん、心配ない。ただ大人しくしていればいい」
「っ!?」
アシスタントのファナが、ダーナの腕を無理やり引きはがす。
ぼよよん、と立派な双丘が露わになった。
「~~~~~~っ!?」
「そうそう。ダーナお姉ちゃんはただ、大人しく寝ていればいいだけだから」
「暴れても無駄だ。我が主の言う通りにしているがよい」
さらに足の方はリルが抑えてくれている。
身体能力の低いダーナでは、ファナとリルの拘束から逃れることなど不可能だ。
「こんなことでっ……本当に空飛ぶ船が造れるようになるのかっ!?」
「さっきちゃんと説明したでしょ? 魔力回路の治療をすることで、魔法の能力を格段に引き上げることができるって。並の魔道具師で終わるなら別に構わないけど、魔導飛空艇を造れるレベルの魔道具師になろうと思ったら、この治療は必須だよ」
俺は指先に魔力を集中させながら、涙目で顔を真っ赤にしているダーナに近づいていく。
「大丈夫大丈夫。すぐに気持ち良くなるから……」
一見、化粧っ気のないサバサバしたタイプなのだが、意外と恥ずかしがり屋さんらしい。
ぐへへへ……そのギャップがかえってそそるぜ……。
『神はなぜこの変態ジジイに転生を許してしまったのか……』
リントヴルムが大きな溜息を吐く中、魔力回路の治療が始まったのだった。
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