第251話 オレ様の仲間にならないか
カイムとエレオーネは姉弟だったらしい。
道理で少し似ていると思ったわけだ。
「クククッ、そういうことだ。そしてこの『悪夢の爪』は初代女王の武具……同じ呪いをその身に宿す子孫ならば、武具の呪いを受けずに使いこなすことができるとされている」
カイムは不敵に嗤う。
「つまり、このオレ様にも扱えるということだ! クハハハハッ! そしてこいつの力を使えば、この砂漠はおろか、この世界を支配できるだろう! エレオーネ! オレ様はよ、貴様のようにこんな砂漠の小さな国のトップで満足する器じゃねぇ! オレ様は世界の王になってやるぜ! クハハハハハハハッ!」
随分と大きく出たなぁ。
まぁしかし、あの鉤爪、確かに普通の武具ではなさそうだ。
「ククッ、他の連中はオレ様が大言壮語を吐いてると思ってるようだなァ? ならば見せてやろう、この『悪夢の爪』の力をなァ!」
カイムが爪を振るう。
すると次の瞬間、爪から黒い靄のようなものが噴出し、こちらに襲い掛かってきた。
「っ……動けないっ!?」
「なんですか、この黒いものは……っ!」
物理的な力を有した靄に拘束され、身動きを奪われる女性兵士たち。
どうにか逃れようとしているも、身体はピクリとも動かない。
「ククッ、これこそが自由自在に暗闇を操ることができる『悪夢の爪』の力。だがこんなものまだまだ序の口だ。その気になれば夜の闇を丸ごと動かせるという破格の武具だからなァ」
爪の力に満足した様子のカイムは、闇に捕らわれたエレオーネに笑いかけた。
「どうだ、エレオーネ? オレ様の仲間にならないか?」
「……なんだと?」
「お前とオレ様は姉弟で、お前の中にもオレ様と同じ血が流れている。だからお前なら、オレ様の考えを少しは理解できるはずだ」
「ふざけるな! 貴様のような異常者の考えなど、理解できるわけがない! 確かに貴様の境遇には同情するところもあるが、だからと言って貴様の暴挙が許されると思うな!」
カイムの誘いを断固として突っぱねるエレオーネ。
「ククク、つれないねぇ? 昔は一緒のベッドで寝た仲だってのに」
「いつの話をしている!」
「残念だぜ、エレオーネ。できれば、お前自身の意思でオレ様の仲間になってほしかったんだのによォ」
「っ……何の話をしている?」
そのときだった。
悪夢の爪から放たれた鋭利な闇の矢が、配下の砂賊たちの身体に次々と突き刺さる。
「が……っ!?」
「お、お頭、いったい、何を……」
それは彼らの心臓を貫いたようで、絶命して地面に倒れこんだ。
「貴様!? 仲間に何をっ!?」
「ククク、こうするんだよォ!」
カイムが叫んだ直後、砂賊たちの死体が闇に覆い尽くされていく。
やがてその闇が彼らの身体と融合してしまったかのように、真っ黒い姿となった砂賊たちが武器を手に立ち上がった。
「な、なんだ、これは……?」
「クハハハハッ! これこそがこの爪の力の真骨頂! 死体を闇に取り込むことで、忠実な闇の戦士に変えることができるのだ!」
絶句するエレオーネに、カイムは告げる。
「安心するといい、エレオーネ。お前の身体はこれからずっとオレ様のものだ。一番近いところで、オレ様がこの世界の支配者に君臨するまでを見届けさせてやる」
「や、やめ、やめろ……っ! やめてくれっ! そんな風に利用されるくらいなら、死んだ方がマシだ……っ!」
絶望で頬を引きつらせ、必死に叫ぶエレオーネ。
無論、狂気の目をしたカイムはそれを聞き入れるはずもなく。
「さあ、エレオーネ! 我が愛しの姉! オレ様のものとなれ!」
「「「エレオーネ様ああああああっ!!」」」
女性兵士たちが絶叫する中、闇の矢がエレオーネめがけて放たれる。
闇で拘束された彼女たちは、ただ女王の最期を見届けることしかできない。
「聖光」
聖なる光が、その闇の矢を消し飛ばした。
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