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第242話 横で見てるだけだから

 なぜかすぐ隣に赤子がいた。


 当然ながら見知らぬ赤子だ。

 そもそもこんな砂漠に赤子がいるはずもないし、よく見ると空中に浮かんでいる。


 砂漠の過酷な環境下では、ときに幻覚を見ることがある。

 もしかしたらこの状況はすべて幻覚によるもので、本当の自分は今、死にかけているのかもしれないと、砂賊の男は大いに混乱した。


「どうしたの? 早く脱がしちゃってよ。僕の予想だと、このお姉ちゃん、間違いなくGカップ以上はあるよ。わくわく」


 その赤子が喋っている。

 やはりこれは幻覚のようだと確信した男だったが、


「なんか変な赤子がいるううううううううううううううっ!?」


 エレオーネの絶叫が轟いた。


「お、お前にも見えてんのか?」

「無論見えている! 宙に浮かんでいるし、喋ってもいる!」

「まさか幻覚じゃないってことか……?」


 そろって困惑していると、その赤子が再び口を開く。


「あ、僕のことは気にしなくていいよ。横で見てるだけだから」




   ◇ ◇ ◇




 トカゲの魔物に乗った集団が、女性ばかりの集団に追いつき、戦いになった。

 女性集団は健闘したものの、人数差と疲労もあって、ついに力尽きてしまう。


 その後はよくある流れだ。

 欲情した男たちが、女性たちを凌辱しようとしたのである。


「こうしちゃいられない! もっと近くで見ないと、もとい、助けないと!」


 俺は飛空艇を飛び出した。

 最も胸の大きい女性を瞬時に見極めると、彼女の元へと急降下する。


「あ、僕のことは気にしなくていいよ。横で見てるだけだから」

『助けるのではなかったのですか、エロクズマスター』

「た、助ける! もちろん助けるから! ちょっと間違っただけだから、ブレス放とうとしないで!」


 俺に向かってドラゴンブレスを放とうとしてきたリントヴルムに、慌てて訴える。

 唖然としていた男を魔法で昏倒させたところで、砂地にファナたちも降りてきた。


「なんだァ、こいつら?」

「ひゃっは~~っ! 女が増えたぜぶげぇっ!?」

「て、てめぇ、やる気かァ!?」

「ん、そのつもり」

「ふん、全員まとめてぶっ倒してやるわ!」

「我も力を貸そう」


 それから男たちが全滅させられるまで、一分もかからなかった。





「貴殿らのお陰で助かった。私はエレオーネ。皆を代表して礼を言いたい」


 女性たちのリーダーは、エレオーネと名乗る巨乳の女性だった。

 彼女のみならず全員が瑞々しく健康的な褐色の肌をしている。


「やっぱりおっぱいまで褐色なのかな? ぜひ確かめてみたかった。もちろん赤子的探究心でね。エロい気持ちはないよ? ほんとだよ?」

『邪魔して悪かったですね。なお反省はしておりません』


 詳しい話を聞いてみると、どうやら彼女たちはこの砂漠のオアシスに築かれた、エンバラという国の人間らしい。


「え? この砂漠に国があるの?」

「うむ。かつてはこの過酷な砂漠に人が住むなど、考えられないことだったようだが、五百年ほど前にとある女傑が開拓し、街を築いたのだ。次第に人が増え、やがて一つの国となった」


 さらにエレオーネが驚きの事実を口にする。


「何を隠そう、この私はその女傑、初代女王の直系の子孫……そして現在のエンバラ国女王でもある」

「お姉ちゃん、女王様なの?」


 他の女性たちは、全員が女王を守護する騎士たちらしい。

 それで強かったんだな。


 しかし一国の女王がなぜこんなところにいるのだろうと思っていると、


「……恥ずかしながら、国から逃げてきたのだ」





 かつてこの砂漠を踏破しようとすれば、過酷で厳しい旅を覚悟しなければならなかった。

 もちろん今も過酷な環境であることは変わりないが、砂漠に国が誕生したことにより、休息と補給の拠点ができた。


 さらにエンバラ王国は砂漠に幾つもの宿場を整備し、砂漠の移動に適したラクダの飼育にも力を入れた。


 これによって昔とは比較にならないほど砂漠の旅路が容易くなり、東西の交流が活発に。

 エンバラは両地域の貿易中継地として大いに繁栄した。


 しかし貿易が活発になるにつれて、砂漠に先ほどの男たちのような野盗集団が増えたという。

 彼らは砂賊と呼ばれ、大規模な集団と化すケースも少なくないそうだ。


「それでも今までは砂賊同士の争いもあり、エンバラを脅かすほどの脅威ではなかった。だが突然、奴らをまとめ上げる男が現れたのだ」


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