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第231話 そろそろ皆に始動してもらうとしよう

「何でこんなところに赤子が!?」

「しかも操縦席も5番も無傷だぞっ? まさか、こいつがやったのか!?」


 思わず飛び出して少年を助けてしまった。

 さすがに十歳かそこらの幼い子供が殺されそうになっているところを、見過ごすわけにはいかないだろう。


 ……俺の方が年下だけどな。


 少年は俺の魔法で眠っている。

 目を覚ます頃には、恐らく落ち着いているはずだ。


 研究者たちも、さすがに命まで奪おうとは思わないだろう。

 俺はすぐにその場から立ち去った。


「っ? 逃げたぞ!?」

「速い!? どう考えてもただの赤子ではない!」


 メルテラのところに戻ると、再び隠蔽魔法で姿を隠す。

 直後に警報音が鳴り響いた。


「ただの迷い込んだ赤子と思ってくれないかな?」

「さすがにそれは期待できないかと存じます」

「じゃあ、そろそろ皆に始動してもらうとしよう」



    ◇ ◇ ◇



『お姉ちゃんたち、聞こえてる?』

「ん、聞こえてる」


 地下居住区に残り、狭い無人の家屋に身を潜めていたファナとアンジェは、レウスからの念話に反応する。


「これが念話? 頭に声が響いてくるわ! 遠く離れていてもやり取りできるなんて、随分と便利な魔法があるのね!」


 思わず目を輝かせるアンジェ。

 ちなみに、レウスが普段から自身の杖と念話でやり取りしていることを、彼女は知らない。


『作戦通りに動いてもらいたいんだ』

「ん、承知」

「分かったわ! 暴れまくってやるわよ!」


 そうして彼女たちは隠れていた家屋から飛び出した。

 再び隔離区画にやってくると、片っ端から檻を攻撃していく。


 事前にレウスが言っていた通り、魔法的な処理がなされていることで、檻は内側からの衝撃には強くできているようだが、逆に外側からの衝撃には脆いようだった。

 二人にかかれば、破壊するのはそう難しいことではなかった。


「うおおおおおおおおおおおおおおっ!」

「出られたあああああっ! ひゃっはああああああああああっ!」

「死ね死ね死ね死ね死ね死ねえええええええええっ!」


 自由になった魔人たちが暴れ出し、他の檻を攻撃するので、次々と魔人が解放されていく。


「ちょっ、これはどういうことですか~っ!?」

「何で勝手に檻から出てるのです~っ!」


 異変を察したのか、そこへ看守役の二体のうさぎが駆けつける。

 この都市では同種のぬいぐるみが各地に配置されているのだろう。


 それに気づいた魔人が激昂して彼らに襲いかかった。


「よくも俺たちを騙してくれたなぁああああああっ!」

「ぶち殺してやるうううううううううっ!」


 どうやら幾らかの理性は残っているようで、自分たちがこんな目に遭った原因や、敵の存在を認識しているらしい。


「「た、退避です~~~~っ!」」


 慌てて逃げようとした看守たちだったが、殺到する魔人たちの手で惨殺、もとい、ズタボロに破壊され、動かなくなってしまう。


 そうして暴走した魔人たちは、隔離区画を出て居住区へ。


「ん、上手くいった」

「まだよ。魔法騎士っていう連中が騒ぎを知って駆け付けてくるらしいから、あたしたちも加勢して一緒に戦うわ」






 一方その頃、フェンリルのリルはというと。


「おかしいぞ? この娘の反応、明らかに人間のものとは思えん」

「何だと? どういうことだ?」

「もしかしたら、何かが人に化けている可能性が……」


 あまりに強大な魔力を有していたことから精密検査を受け、研究者たちにその正体を感づかれつつあった。

 そこへレウスからの念話がくる。


『リル、どう? そっちの様子は?』

『我が主よ、明らかに怪しまれている。正体がバレるのも時間の問題かもしれぬ』

『そっか。じゃあ、ちょうどいいね。そのまま元の姿に戻って、暴れ回っちゃって』

『了解した』


 頷いたリルは、訝しそうにこちらを見る研究者たちの目の前で人化の魔法を解く。

 その身体が見る見るうちに巨大化していった。


「なっ!?」

「や、やはり人間ではなかったか!? って、何という大きさだ!? 並の魔物ではないぞ!?」

「こいつはまさかっ……フェンリル!?」


 驚愕する彼らの前で、リルは己の顕現を誇示するような雄叫びを轟かせた。


「ワオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!」


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