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第203話 魔法まで使えたなんて

「今度はこっちからいくわよぉん?」


 その宣言通り、ゴリティーアはリングを蹴ってアンジェに襲いかかった。


「どっせぇぇぇいっ!!」


 漢らしい掛け声とともに、大上段から振り下ろすような拳。

 アンジェが咄嗟に飛び退ってそれを躱すと、リングに叩きつけられた。


 ズドオオオオオオオオオオンッ!!


『ああああああああっ!? せっかく修復したリングが、またしても破壊されてしまいましたあああああっ!?』


 実況が嘆きの絶叫を轟かす中、ゴリティーアは逃げたアンジェを追撃する。


 ぶぅぅぅんっ!

 ごぉぉぉんっ!

 びゅぅぅんっ!


「お、おいおい、ゴリティーアが腕を振り回すたびに、この観客席まですごい風がくるんだが……?」

「……こんなのまともに喰らったら終わりだろ」

「あのリングを粉砕するくらいだからな……」


 観客たちがゴリティーアの出鱈目な強さに唖然とする中、アンジェは暴風のごときその攻撃をひたすら躱し続けていた。

 本人も一撃でも浴びたらマズいと理解しているのだろう。


「うふふ、逃げ続けているだけじゃ、アタシには勝てないわよぉん?」

「それはどうかしらねっ!」

「?」


 と、そのときゴリティーアがいきなり何かに足を取られ、転びそうになってしまう。


「っ……これは……」


 ゴリティーアが目にしたのは、リング上にできた謎の段差だ。

 それに躓いてしまったらしい。


「どうしてリングにこんなものがあるのかしらん?」

「ただ逃げ回ってたわけじゃないってことよっ! はっ!」


 直後、リングから突如として刺のようなものが生えてきたかと思うと、ゴリティーアを串刺しにしようと迫る。

 ゴリティーアは咄嗟に拳でそれを殴り折った。


『な、なんと、リングからいきなり刺が生えてきました!? これは一体どういうことでしょうか!?』


 その刺は一本だけではなかった。

 ゴリティーアの周囲に幾つも生えてきている。


「普通の土と違って、特殊な金属だったから魔力を通して掌握するまで少し時間がかかってしまったわ」

「やっぱりアナタの仕業ねぇ。アマゾネスだから、てっきり格闘専門かと思ってたら、魔法まで使えたなんて」


 俺のもとで訓練を始めてから、アンジェが身に着けた土魔法。

 意外にも適性があったため教え込んだのだが、この土魔法を応用すれば、あんな感じで金属を操作することも可能なのだ。


「ただ、あれは錬金術で生み出された特殊な金属だからな。まずは自分の魔力で上書きしなくちゃいけない」

「昨日やっていた訓練で、それを教え込んだわけでございますね?」

「そう。一夜漬けの割にはそれなりに身についたと思うぞ」


 これでアンジェは、あのリングそのものを自らの手足のように利用できるようになったわけだ。


「こんなこともできるわよっ!」

「っ……アタシの足がっ……」


 リングから伸びた突起物が、縄のように曲がってゴリティーアの足に絡みついていく。


「はあああああああああっ!!」


 足を抑え込んだところで、アンジェが一気呵成に攻め立てた。

 応戦するゴリティーアだが、さすがの彼も二本の腕だけでアンジェの猛攻を防ぎ切れない。


『足を封じられたゴリティーア氏に対して、アンジェ氏が攻めて攻めて攻めまくるううううっ! まるで嵐のような怒涛の攻撃! ゴリティーア氏は防御するしかありませんっ!』

「んっ……あんっ……あっ……な、なかなかの威力ねぇ……っ!」

『さすがのゴリティーア氏も効いているようです……っ! あまりお子様には聞かせられないような声を出してますが……』


 だがそんな中にあって、ゴリティーアもただやられているだけではなかった。

 連撃を浴びながらも、カウンターの剛腕を繰り出していく。


『いや、ゴリティーア氏も腕だけで反撃しています……っ! ただ、足を使えず攻撃範囲が狭まっているせいか、なかなかアンジェ氏を捉えることができませんっ!』


 ゴリティーアの攻撃を的確に躱していくアンジェ。

 しかもリングの拘束は足だけに留まらず、気づけば上半身にまで迫りつつあり、そのままゴリティーアの腕まで封じてしまおうとしていた。


 このまま一気に勝負がつくかと思いきや、


「うふふふっ、アタシの期待以上よん、アンジェちゃん? お陰でアタシも……もう少し本気が出せそうねえっ」



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