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第180話 杖の先で頭ぐりぐりするのやめて

「あ、戻って来たわ! なんか急にあの人形たちが猛スピードで飛んでいったから、びっくりしたんだけど!? あんた何かしたでしょ! って、なんかすごく落ち込んでない……?」


 最上階の調査を終えた俺は、ファナたちのところへ戻ってきた。


「お宝が……お宝が……うぅぅ……」


 俺の秘蔵のR18コレクションが、一つも残っていなかったのである。

 落ち込むのも当然だろう。


「師匠、お宝、見つからなかった?」

「ざ、残念だったわね……確かにここまで来るのにかなり苦労したし、これほどの塔なんだから、お宝の一つや二つ、あってもいいはずだけど……」

「ん、師匠、元気出して」

「……お姉ちゃんたち、ありがとう」


 この時代の弟子たちが俺を慰めてくれる。


『マスターと彼女たちの間で、認識されているお宝の意味がまるで違いますが、ご説明した方がよろしいのでは?』


 おいおい、そんな野暮なこと言っちゃダメだろう?


「お陰で元気が出てきたよ! それによく考えてみたら、今の僕にはもっと素敵なお宝があるしね!」

「……何のことよ?」

「それはもちろん、お姉ちゃんたちだよ!」


 俺は三人の胸に順番に飛び込んでいく。


『ぐへへへへ……そうだ、今の俺には生身の女の子を堪能できるという、素晴らしい特権があるじゃないか! それに比べたら、当時のコレクションなんて大したものじゃない!』

『このド変態ジジイ』

『いいや、今の俺はジジイじゃない! 当時は性欲つよつよジジイだったから、仕方なくコレクションで発散するしかなかったが、もうそれに頼る必要はないんだ! なにせ赤ちゃんだからな! やっぱり転生してよかった~~~~っ!』

『……』

『あ、ちょっ、リンリン!? 杖の先で頭ぐりぐりするのやめてっ!?』


 ただ生憎と、なくなっていたのは秘蔵のR18コレクションたちだけではなかった。

 リントヴルムが言う通り、ありとあらゆるものが綺麗さっぱりなくなっていたのである。


『エウデモスのせいか?』

『いえ、あの男ならば、当時のものをそのまま塔内に残しておいたはずです』

『まぁそうだろうな』


 エウデモスは一度この塔を追放され、その後、自身の身体をスライム化させることに成功してから戻ってきたと考えられる。

 恐らくそのときにはすでに、大賢者の塔という組織は解体され、研究資料なども消失してしまっていたのだろう。


『だから人形を使って、当時の光景を再現したと考えるのが自然だ』

『そうですね。そもそも大賢者の塔が健在であれば、エウデモスなど撃退していたでしょう』


 一体どういう形で組織がなくなったのか、何も残されていないため分からない。


 エウデモスを完全に消し飛ばしてしまったが、一部だけ残しておいて、詳しいことを聞き出せばよかったな……。

 まぁ塔から追放されていた人間だし、どのみちあまり期待はできなかっただろうが。


『それはともかく、色んなものがなくなってるのは確かに重大かもしれないな』

『だから先ほどからそう言っているでしょう』


 特に禁忌の魔法やアイテムなどは、厳重に管理された特別な倉庫に保管していて、先ほど覗いてみたのだが、それらもすべて失われていたのだ。


『下手をすれば、どこかで悪用されている可能性もある。そういえばあの黒い魔石も、実物は処分したが、研究資料があったはず……。もっとも、数ある禁忌の中では随分とマシな方だが』


 逆に言えば、あれよりさらに危険度の高い禁忌指定物が、今もどこかに無管理状態で存在しているかも……。


『……うん、まぁでも、まだ世界が滅びてないところをみると、たぶん大丈夫なんだと思う』

『さすがに楽観的すぎでは?』

『どのみち今どこにあるかも分からないんだ。何もできないだろう』


 その後、俺たちは再び飛行船に乗り、ベガルティアへと戻ったのだった。


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― 新着の感想 ―
なにも出来ないと言っても 暗躍する存在、今からのタイミングで最悪な事をしでかす存在が居るかもという認識は大切ですね。 流石に住んでる星を破壊されるような事態になれば、レウスは転生先は別の異世界しかなく…
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