表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

127/325

第127話 そっくりなのだ

「レウス殿はもしや、生誕直後に亡くなったとされている、ご当主様の第一子なのではないか?」


 クリスの言葉を受けて、俺は言った。


「あうあうあー」

『マスター、今さら赤子のフリをしたところで無意味かと』


 リントヴルムが冷静にツッコんでくる。


 ていうか、今ので思い出したぞ。

 ブレイゼル家って、俺が転生した家だ。


 道理で少しだけ聞き覚えがあるわけである。

 まぁ一週間ちょっとくらいしかいなかったので、すぐにはピンと来なかったのも仕方ないだろう。


 このクリスとかいう少女は、どうやら俺の親戚らしい。

 もしかして俺を連れ戻しに来たとかじゃないだろうな。


『だとしたら面倒すぎる。やっぱり赤子のフリを押し通すしか……』

『どう考えても無理があるでしょう。ついさっきまで普通に喋っていたのですから。とりあえず詳しい話を聞いてみては? そもそもマスターは死んだことになっているはずですし』

『そうだな』


 俺は可愛らしい感じで惚けながら、相手の意図を探ってみることにした。


「うーん、僕、赤ちゃんだから分かんないやー。でも、お姉ちゃんは何でそう思うの?」

「そうだな。まず、名前が同じレウスだ。そして見たところ、貴殿は生後半年ほどと思われるが、それもご当主様の第一子であるレウス様と同じ。もちろん、それだけなら偶然と片づけることもできただろう」


 偶然で片づけてほしいところだったが、そうはいかなかったらしい。


「確信を抱いたのは、たった今、実際に貴殿に会ってみてのことだ。というのも、その顔立ち。ご当主様の奥方であるメリエナ様にそっくりなのだ」

「それこそ偶然じゃないの?」

「偶然というには似すぎている」

「実際に比べてみたら大して似てなかったなってなるパターンかも?」

「それはない。正直、メリエナ様には私も数えるほどしかお会いしたことがないが、さすがにあれほどの美貌だ。はっきりと記憶している」


 確かにすごい美人だったな。

 その乳を吸わせてもらえると期待したのに、すぐに捨てられたこともあって、結局その機会はなかったのだ。


 あれはとても残念だった。


「母のことを覚えていないのか?」

「あはは、さすがに生まれたばかりのことなんて覚えてるわけないでしょ」


 常識だろう、とばかりに笑ってみる。


「それもそうか……いや、貴殿に常識が当てはまるとも思えないが……」

「気づいたときには、大きな狼に育ててもらってたんだー」

「大きな狼?」

「うん、なんか凄くおっきな森で」

「まさか、魔境の森のことか……? 魔法適性値があまりに低く、どこかに遺棄されてしまったという噂されていたが、あんな危険な森に……。しかもそれを生き延びたとは……」

「ん。たぶんその後、私に会った」


 ともかく、クリスの話を詳しく聞いてみた感じ、俺を連れ戻しに来たというわけではないらしい。

 彼女はそもそも実家を出た身だという。


 本家の生まれではない上に、女である以上、そのままいけば将来はどこかの貴族の家に嫁ぐ未来しかない。

 だがそれを良しとしなかった彼女は、家を出て冒険者になる道を選んだようだ。


 その度の途中、偶然レウスという名の赤子の活躍を耳にし、それで気になって訪ねてきたのだという。


「コレット殿からも色々と教えてもらった。この都市にも彼女と共に来たのだ」

「コレットお姉ちゃんと?」


 おかしいな。

 ボランテの街の冒険者相手に、魔力回路の治癒を行ってるはずなんだが……。


「それが、すでにほとんどの冒険者への治癒を終え、新天地を求めてこの都市に来たのだ。もちろん私も彼女の施術を受けさせてもらった」


 道理でクリスの魔力の流れが綺麗だと思った……って、もうボランテの冒険者の治癒を終えたって?

 さすがにちょっと早すぎやしないか?


少しでも面白いと思っていただけたら、↓の☆で評価していただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

外れ勇者1巻
4月24日発売!!!
― 新着の感想 ―
[一言] これ貴族の醜態を赤裸々に語ってるけど大丈夫なのか? いや、まぁうん…子ども捨てたっていうのは覆らないからな。 でもこの作品は普通ならシリアス展開になるはずなのに安心して見れる不思議設計なのす…
[一言] まさか、信じて置いてきた魔力流路治療の弟子があんなことになるなんて想像もしていなかったんだろうな
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ