蟲の終焉②
グレンは楽しみで仕方がなかった。
どんなに素早く火力の強い炎を放っても蟲には届かないのだよ。
今回の蟲は今までよりも早く瞬間に生命の危機を感じて近くのものに瞬間移動する。
どんなに強力な結界であったとしてもそれを飛び越え再寄生するのだ。
そして蟲自体も強力な外骨格で熱など通さないのだから炎や爆散系の魔法など無駄な話。
それ以外の魔法では無理だろうな。
そうそう、蟲は寄宿者を餌とし、戦闘時には数日餌も食わない、だから毒も効かないぞ。
さて、どういう自信なのかしらないが、どう戦うつもりなのだ?
まあ、今回の蟲はお前たちでは太刀打ちできないだろうな。
それより賢者たちの生き残った経緯を聞かなければなるまい。
本当はそちらの方が大事なんだよ。
それと対策があるとか言ってたからな、それも興味はある。
さあ早く戦いを始めて、寄生されるが良いわ!!
戦いの場は緊張が最高潮に達していた。
フリアは首を少し捻るとソネ、サクに先に計画した通りの立ち回り戦闘をすることを指示する。
フリアとソネ、サクが炎を出しながら探知装置により位置を特定した蟲へ電磁波を発射した。
結果炎魔法のために炎にまみれているが、電磁波の攻撃で一人目が倒れる。
そして二人目、三人目と同じように炎魔法と電磁波を発射する。
電磁波の攻撃はジェイの言うように、それは一瞬だった、そういえばジェイは「チン!!」という感じだといっていた。
その攻撃は炎魔法を併用したことで、グレンには見かけは炎攻撃に見えたようだ。
「ちぇっ、つまらんことだ。
ばかめ、そんな通常の攻撃では蟲はただお前たちに寄生するだけさ。
つまらん、つまらん・・そろそろ賢者に寄生したころかな、あとは情報を聞き出すだけじゃ・・・」
戦闘は一瞬に終わった。
そして賢者三人はグレンのところに集まってきた。
「ほほう、感心じゃな戻ってきたか。
三人じゃからな、三人ともに寄生できたのか?
こちらの蟲の損害が出ず上出来じゃ。
貴重な最後の三匹だからな、今、この研究施設で育てている数百匹が使えるまでまだかかるからな」
フリアはその言葉を聞いて言葉が漏れた。
「では今現在、寄生させることができる蟲はいなくなったということだな。。。
この研究施設の蟲を全滅させれば、全てを終わらせることができるということだな」
「なに!?」
フリアが寄生されていないことを感じたグレンは驚いた。
「お前、規制されなかったのか?
蟲はどうした?」
グレンが驚いた、その一瞬をついてソネがグレンの剣を抜き、グレンの心臓を突き抜いた。
「ぐおっ!!」
血を吐くグレン。
「なぜだ?
なぜ蟲を倒せるんだ、奴らの外骨格はあんな炎では焼き通せぬはずだ。」
「残念だったな、炎よりも強く一瞬で蟲をやっつける見えない光の力だ。
といってもお前たちにはわかるまい」
「光だと・・・光魔法にはそんなものはないは・・ず・・・」
そう言いかけグレンは倒れた。
「「やった、やりましたねフレイ様」」
そう駆け寄ろうとした時、サクにグレンが抱きかかった。
立ち上がったグレンは生き返ったように言葉を発する。
「まさかな心臓を一突きとは。。。
代わりに、この男の体をもらうことにしよう・・・」
グレンの口から体から大きな芋虫が出てきてサクに迫る。
「うわぁ!!」
サクの声が響くと芋虫に割れ目ができ始めサクの口に迫っていた。
「サク、合わせろ!!」
そうフレイが声を掛けると、サクもフレイが狙っているところに照準を合わせ電磁波を発射した。
「チン!!」という音がしたかどうかわからないが蒸しあがった芋虫がその場に落ちた。
割れ目がなんのためにできるのか不思議だったが、その芋虫の割れ目は他の境界線であった。
そしてよく見ると、一匹一匹の蟲の集合体であることがわかった。
フレイはその芋虫を見ながらつぶやいた。
「グレンも蟲に寄生されたんだ。
結局蟲を操るために知性を持った魔獣、いや魔蟲に魂を売ったと言うわけか・・・」
サクは驚いたが今までのことを思い出すと同感するしかなかった。
「なんと!!、蟲の協力とは・・・
奴らには都合良すぎる蟲だったからな。。。」
フレイたちは今までの戦いを思い、その無念さを感じながら立ちすくんでいた。
だが一緒にいたザカール兵が声をかけた。
「とりあえず、グレンの死体を始末しなければ見つかれば計画が台無しになります。」
「そうだな」、そう言うとフレイは炎魔法で周りの遺体を燃やした。
「アルツ、仇は取ったぞ・・・」
そんな思いとともに、全てが灰になっていった。
やがて新しいグレンが誕生する。
もちろんフレイの変身である。
そして研究施設の前に立つグレン(フレイ)と賢者たちはその建物の中に入っていった。
建物の中に入ると何人かの研究員がいると思われたが一人もいなかった。
研究室の中には全く見たこともない文字や記号がいっぱいだった。
「もしかしてこの文字は蟲の文字ですかね?」
「だとすると完全にグレンは蟲に操られていたと言うことでしょうか?」
「本当に不気味な話ですね。まだこの世にはわからないことが多いと言うことですね。
長生きすると驚くことが多すぎて、その上ある意味残酷ですね・・・」
「長生きはするものだよ、勉強になるといってくれ・・・」
そんな話をしながら探索していた。
だが最上階に着くと驚いた。
一部屋に何万匹いるかわからない夥しい蟲の部屋があった。
それも見たこともない蟲の種類もいた。
だがもっと衝撃的なことが起こる。
「グレン、そろそろ餌をくれてもいいだろう。。。」
言葉を話す蟲が存在しており、知能があるように見えた。
その後もいくつかの種類は言葉を話してくる。
サクは驚くとともに焦りを見せ始める。
「これは驚きですね。
奴らこれほどの種類と数を準備していたんですね。
手遅れにならないうちに始末しましょう」
だがグレン(フレイ)は冷静に、話しかけてきた蟲に話しかけた。
「お前たちはここ以外にも仲間がいるのか?」
「忘れたのか、お前の中の空から来た仲間に作られた我が種族。
ここから全ての仲間が巣立っていくのだ。
早く餌をくれ、仲間を作らなければならないのだ。」
グレン(フレイ)はその言葉を聞くと部屋の外に出た。
部屋の中から餌よこせコールが始まったが無視する。
グレン(フレイ)は二人を見ながらしばらく考えていた。
(そうだ、外骨格とか言っていた。
単純な炎で退治できない可能性は高いな)
グレン(フレイ)は最終的に考えがまとまった。
「ソネ、サク、いまから、一気に出力最大で電磁波をこの部屋に浴びせかける。
これで蟲は最後だ、全ての力を使うぞ、出し惜しみはなしにする」
そうだ最後なんだ、この力、今使わなければいつ使うのだ。
そう思いながら一気に電磁波を最大出力で部屋の中に集中させた。
それは力を出し切るという表現に近かった。
放出が終わった時、三人は倒れていたようだ。
ザカールの者に起こされて気がついた。
部屋の中に入ると、部屋自体が黒焦げになり、灰が溜まった床が見えるだけだった。
「すべての蟲が・・・」
そう言いかけたが言葉は続かず、賢者たちは涙をこらえながら静かに部屋を見て立っていた。




