砂漠の民 16 ツクヨミ②
ここは何処だ?
・・・・・
そうだ、我は魂の輪廻に還った筈だ。
では、なぜまだ過去の魂の記憶があるのだろう?
この魂の記憶・・・
ある日、我は主となる者と出会った。
始め何の目的もない我は主と共に歩む内に主の願いを知った。
その願いを叶えることが面白そうだった。
そこで主の願いを叶えるために主と共に旅を続けた。
最終的に多くの辛苦を乗り越え、やがて主は願いを叶えた。
叶ったのは主の願望だが我は幸福だった。
我は、その時はっきり分かった我の願望も叶ったのだと。
だがそれは別れの時だった。
唐突に主は神になり地上から消えたのだ。
話すのを忘れたが、旅の始まりに主は我に名前を付けてくれた。
『ツクヨミ』という立派な名前だった。
主の願いを叶えた達成感と主を失った消失感からか、我の役割は終わったと感じ自然に帰ろうと考えた。
あの時、我の体は錆て土に還り、魂は魂の輪廻に還ったはずだ。
不思議なことにあの時と同じ我が・・・今ここに在る。
我の手を掴む者、お前は誰だ・・・・
なんだよく見ると、まだ少女ではないか。
お前が、我をまたこの世界に転生させたのか?
お前も願いを叶えたいのか?
お前が望むなら、お前の望みを叶えてやろう。
何故って?
簡単なことだ。
我には分かるのだ。
あれから何年たったかは知らない。
だがお前の願いを叶えること、それが神となった主の願いなのだろうから。
ロザリア、お前の願いを言うが良い。
我の名は『ツクヨミ』、お前の願いを叶えるものだ。




