思い込み
いつも通りの平和のようで危険な、平等なようで不平等なことが当たり前にある惑星 地球。
今日も今日とて世の中の不条理に目を逸らし続けることしか出来ない、一般市民。
その一般市民から金を取るだけ取って自分の地位を守ることに必死な政治家。
この惑星は虚実にまみれている。
一般市民は嘘をついても謝れば許されると勘違いして習慣のように嘘をつき続ける。
政治家は公約という自分に投票してくれた人との約束をポーズだけして平気で破る。
こんな不誠実な惑星に親切な宇宙人がやってきた。その宇宙人は地球人を見て言った。
「この星の人々が不幸なのは嘘のせいだ。そうだ嘘をつけないようにしてあげよう。」
宇宙人はさっそく世界中の人々の脳内に明日から嘘はつけないようにしたという内容のメッセージを送った。
世界中は大混乱に陥った。マスコミは大したことの言えない専門家を呼びどうでもいい事を話させ、政治家は何とか自分の金を失わないようにと動き、一般市民はただテレビを見て不安がっていた。
そしてついに曜日をまたいだ。
その結果日常が……何も変わらなかった。
世界中の人はそれはそれは不思議がった。どうして何も起こらない?とんでもないことが起こるはずでは?と。
確かに宇宙人は嘘をつけなくした。だが嘘に親しんだ、いや親しみすぎた地球人にはどれが嘘かなんてわかっていた。
つまり嘘は最初から意味が無かった。
これはある宇宙人の勘違いのお話。
宇宙人があっていたのは地球が嘘だらけということだ。