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一番のたからもの


 若くして姉を病気で亡くし、まだ6歳の姪である美姫を引き取ることになった高広。 「大切な宝物だから」と無理やり押し付けられた美姫は、昔から高広を見ると大泣きしていた。

 そんな美姫を高広は良く思っておらず、二人暮らしの初日から怒鳴り付けてしまうが、姉の親友であり、馴染みのあるコンビニでバイトをする桜井さんの手助けの甲斐あり、美姫と高広は少しずつ心を開いていく。

 美姫が小学生に上がり、初めての授業参観。内容は子どもたちによる作文の朗読だった。  そのタイトルは「家族」。  偽物の父親と、偽物の娘。姉を通じて巡り会った、父と娘の物語。


※ アルファポリス掲載作品でレビューを書いていないため、作品のあらすじを転載しておきます。


 待って、ネタバレすげーなwww こんなに買いちゃっていいのかい?



 今回紹介する作品は、『桐生さん』が書いた短編。『一番のたからもの』です。いつのまにかペンネーム変わってたんですね。ちょっと驚きました。

 さて、本作の作者様、だいぶ若い方です。詳細はもちろん伏せますが、私などよりひと周りもふた周りも若いです。執筆を始めてからの歴も浅いことでしょうし、作者様の短編を見つけたとき、「どれどれ」なんて軽い気持ちで読みにいったことは否めません。

 そして、あっと言う間に取り乱しました。


※おまえ、そんなんばっかりだな。


 さて、何故取り乱したのかは一旦ペンディングとしまして、作品の紹介をしていきましょう。

 端的に言うと、ヒューマンドラマですね。亡くなった姉の一人娘(姪)である『美姫』の養育を押し付けられてしまった主人公が、悩みながらも彼女との交流を深めていく。そんな感じの物語です。

 

 確かに設定そのものは特に目新しさもなく月並みかもしれません。

 ですが、四人のみ(うち一人は回想のみの登場)とシンプルに纏められた登場人物が上手く相関し合い、次第に変化していく主人公の心情。姪の本心などが丁寧に綴られていくのです。

 気をてらった構成や展開があるわけでもないのですが、それでも、しっかりと物語の中に読み手を引きこみ、最後まで読ませる力を持った短編です。


 特筆すべき点をあげるとすれば、文章力。とりわけ描写力と比喩表現でしょうか?

 比喩というのは使いどころが案外難しく、場面にそぐわない表現を用いたり、使い過ぎるととたんに没入感を削がれるのですが、そういった嫌らしさが一切ない。

 筆者の年齢を思うと、十分過ぎるどころか軽く嫉妬を覚えるほどの文章力です。予想外の出来事に打ちのめされて、余裕を失い取り乱してしまった、というのが、先程の答えですね笑。


 シンプルに、けれど、心に暖かさがじんわりと沁み込んでくる短編作品です。是非、ご一読を。


※こんな人にオススメ

・ヒューマンドラマが好きな方

・良質な短編作品を探している方

・丁寧な文章力に触れたい方


作品名:一番のたからもの

作者名:桐生さん様

ジャンル:現代文学

作品URL:https://www.alphapolis.co.jp/novel/530582923/166390318


※掲載サイトは、アルファポリスです


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