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登山客

この世で一番恐ろしいもの。それは「ヒト」なのかもしれない。

投稿日:2021年02月11日 15時11分


 夏の休暇を山で過ごそうと考えた主人公は、電車の中で迂闊にも降りる駅を乗り過ごしてしまう。

 ですが、「いいどご知ってますがらぁ」という車掌の薦めにより、『がむらた山』という場所を目指すことに。それが、恐怖に彩られた一夜の始まりであるとも知らずに──。


 爽やかな語り口で始まった物語は、次第に様々な違和感を内包し始めます。

 山に向かうため乗ったバスの中で。山中に踏み入ったあとで出会う人たちと。挙句の果てには、山の中で出会った同僚とすらも。

 出会う人の全てと意思疎通ができない恐怖。

 どんなに歩いてもたどり着かない宿。

 止め処なく詰みあがっていく謎に翻ろうされつつも、ページを捲る手が止まらなくなる。そんな作者の筆力が魅力の作品です。


 そうしてたどり着いた宿「民宿みだま屋」で彼が遭遇した衝撃の真実とは?

 ほら、気が付けばあなたの後ろに──。



 今回紹介する作品も、前回と同じくツイッター上で企画募集したものです。

 一言で本作のことを表現するなら、ヒューマンドラマ×ホラー×ミステリーでしょうか?

 実にシンプルなタイトルですが、内容は非常に濃いです。

 夏季休暇を山で過ごそうと考えた主人公。冒頭から、爽やかな夏の空気。田舎特有の、風情ある情景描写で始まる本作ですが、早々にひとつの違和感が紛れこんできます。

 それは、見えない心情。

 主人公の心情、ということではありません。

 むしろ、心情豊かに描かれる一人称により、主人公の考えというのはどんどん入ってきます。

 見えないのは、主人公が出会う登場人物たちの心情ですね。

 質問に対して、はぐらかすような返答をされたり、時として無視をされたり。出会う人全てと意思疎通ができない描写が恐怖に、また謎に変わり、どんどん詰みあがっていくのです。

 謎の出し方。エピソードごとの引きが上手く、伏線の回収がなかなかこないのに、気になってしまいページを捲る手がとまらなくなる魅力がある作品です。

 十九万文字と少々長いのですが、ミステリー好きであれば楽しめるのではないかと思います。この世でもっとも恐ろしいのは人なのかもしれない。そんな、恐怖の一夜を体験してみてください。


※こんな人にオススメ

・謎、伏線の多い作品が好きな方

・ホラー、ミステリーが好きな方

・筆致が丁寧な作品を探している方


作品名:「登山客」

作者名:混沌加速装置様

ジャンル: ホラー〔文芸〕

作品URL:https://ncode.syosetu.com/n0621ga/


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