友士灯
巧みな構成。深い物語。和風ファンタジーの傑作。
投稿日:2021年01月11日 20時30分
妖雛。人間でありながら妖怪でもある存在。「物の怪」と呼ばれる異形の魔物と戦う宿命を背負った妖雛の少女を主人公にした、和風ファンタジーです。
三人称でありながら、情感豊かに綴られる地の文。
重厚に練りこまれた世界観。
自分の事を「俺」と呼び、明るい口調で話す妖雛の少女、志乃。一見おどおどしているようで、凜とした佇まいを見せる妖雛の少年、芳親。彼女らを取り巻く、魅力的な登場人物たち。
本作の魅力はそれこそ語りつくせない程あるのですが、なによりもテンポよく進む物語でしょうか。
世界観を説明しながら、どんどん展開が進行していく第一章。
志乃の過去に触れ、一転しておだやかなテンポで進む第二章。
読めば読むほどに、巧みな構成力に舌を巻くこと請け合いです。
──長閑な春の道。
──ゆったりと進んでいく彼女たち。
志乃が辿った冒険活劇を、追いかけてみませんか?
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作品紹介をしても読んでもらえなければしょうがない、とやめてしまった活動でしたが、久しぶりに更新することにしました。
そもそも、書かなければ届くはずもないのですからね。
今回紹介するのは、私が2020年の年末から年始にかけてツイッター上で募集し読んだ三十数作品の中から第一位の評価を与えた葉霜深海様の「友士灯」です。
「友士灯」と書いて「ともしび」と読むそうです。
もうこのタイトルの時点でセンスがばりばり感じられたわけですが、中身はそれ以上でした。というか、これまで読んできたウェブ作品の中でも五指にはいるような傑作でした。
引きの強い展開。段階的に出される情報。丁寧な筆致もあいまって、ページを捲る手が止まらなくなる魔力を秘めた作品です。
一章の構成に関しては、もはや完璧です。和の雰囲気が感じられる世界観と、ひりひりとした緊張感に引きこまれ、気がつくと最後の戦闘シーンまで読了していました。この構成の巧みさは本当にお見事。また、戦闘描写も手抜かりなく秀逸。
反面二章は、やや物語のテンポを落として、主人公の過去に触れていくのですが、こういった「緩急」も、時には必要ですよね。
これ読んで面白くというなら私にクレームくださいな、っていうレベルの本作。是非手にとって頂きたいです。
※こんな人にオススメ
・和風ファンタジーが好きな方
・戦闘描写が好きな方
・構成力巧みな物語を探している方
作品名:「友士灯」
作者名:葉霜深海様
ジャンル: ハイファンタジー〔ファンタジー〕
作品URL:https://ncode.syosetu.com/n7776fx/




