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初恋^2~もう一度、あの日を一緒に生きませんか?~

初恋は、二度おとずれる

投稿者:2020年 11月 01日 10時 00分]

 梅の花言葉は、『忍耐』『忠実』そして、『高潔』。

 体育祭の練習中に倒れたテントの下敷きとなり、主人公萌々が怪我をしてしまうところから物語は始まります。

 怪我の状態は重く、足の複雑骨折と一年分の記憶を喪失してしまう。

 萌々が怪我をした後の世界『20XX年9月以降』と『20XX年9月以前』

 二つの時間軸で交互に描かれる物語は、三人称であることを時に忘れてしまうような、筆者の丁寧な筆致によって綴られていきます。

 萌々に想いを寄せる朔と斗真の選択。そして、一年分の記憶喪失によって失われてしまった彼女の本心とは?


 辛い現実から目を背けず努力をつづけた萌々の『忍耐力』。奇跡を信じて萌々を想いつづけた斗真の『忠実性』と朔の『高潔さ』。

 三人が互いを想い合う。奇跡の一年間の物語を、是非見届けてください。


 春の訪れとともに、梅の花がひとつだけほころんだ。その時すっと、ミライもひらいた。



 さて、満を持して紹介するのは、私が今年度出会った作者様の中でも、一~二を争う実力者である井ノ原さんの作品です。

 出会いは今年(2020年)の八月。私のツイッターを彼女にフォローされて、フォローバックしたついでにアカウント情報を見に行きました。

※まあ、だいたい見に行きます。作品のURLがくっついていれば、ちょっとだけ読んだりもします。

 そして作者様の場合、小説のSSが固定ツイートにくっついてたんですね。へ~と思いながら読んで、「青春モノかあ。これは好物の奴だ」と俄然興味が湧いたわけですが、一ページ読んで取り乱しました。

 そこの文面、下記に載せます。



 タンクトップの下着とトレーナーだけでは肌寒く感じ始めた、4日ぶりの見舞い。世間一般的に見れば、たった4日なのかもしれないが、ふたりにとっては、されど4日。すっかりカーナビもいらなくなった、朔の母・環の運転で、病院に降り立つ。ちなみに、車の中では、朔が助手席、そして斗真がその斜め後ろ、というのが定位置になりつつある。

 通常のよりもゆっくりと開く自動ドアとの距離も、もうお手の物だ。

「斗真、そんなスニーカー持ってたっけ?」

 制服のときも、私服のときも、同じスニーカーを履いていたはずの斗真の足もとが、今日はやけに輝いて見える。白ベースにところどころ黒のラインが入ったスニーカーは、斗真の雰囲気によく似合っていた。

「あ、これですか? 大学生の兄ちゃんからの、誕生日プレゼントです」



 ゆっくりと開く自動ドアとの距離も、もうお手の物?

 この一文だけで、登場人物のドアの潜り方が見えてきます。

 足もとが、今日はやけに輝いて見える?

 足もとにカメラを移したうえで、ごく自然に会話文に繋げる老獪なテクニック。

 なんなんだこの人は? と驚愕してプロフィールを見てさらに驚きました。


 ──執筆歴七年。詳細は実際に目で見て確認して欲しいのですが、学生さんでした。


 慌てて引用ツイートしたあの日の衝撃。今も忘れられないですね笑。

 兎角、会話文を繋ぐ地の文の描写。心情を上手く引き出す文章構成が巧みだと感じます。

 一シーンをもう少し長く書く癖をつければ(もっとも、文章力はケチのつけようがないレベルなので、直ぐ対応可能と思いますが)さらに飛躍できる方だと思います。

 思春期の方らしい情感溢れる会話文を含めて、書き手にとって刺激になる部分が多い作者様だと思います。

 是非、ご一読を。埋もれさせておくのは勿体無い才能です。


※こんな人にオススメ

・青春モノが好きな方

・心情描写が巧みな作品を読みたい方

・とにかく高い文章力に触れてみたい方


作品名:初恋^2~もう一度、あの日を一緒に生きませんか?~

作者名:井ノ原 紗花様

ジャンル:現実世界〔恋愛〕

作品URL:https://ncode.syosetu.com/n4632gn/


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