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自分殺し  作者: 桜玲斗
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8月3日

――――

拝啓 桐谷様


先日は、まことに申し訳ありませんでした。

謝罪して済むことではないということは十分承知しております。

許していただこうとは思っていません。

ただ、経緯をご説明させていただきたく思います。


あの日、僕は病院へ向かう途中でした。

母は、昔から病気しがちでよく入退院を繰り返していました。

その時も最初は軽い肺炎とのことだったのです。

ただ、容体が急変したと病院から連絡があり、僕は普段以上に急いでいました。


病院までは片道30分ほどです。

はじめは大通りを走っていましたが、途中、工事のため片側一車線になっていた付近が非常に渋滞していました。

冷静ではなかった僕は、迂回路として、時々使う抜け道を使用したのです。


時々使っているからこの道のことはわかっている、という甘い考えがありました。


その道の、T字路を右折して少ししたところに、横断歩道があることもわかっていました。

同時に、その時間帯に通行して、人を見かけたことは一度もなかった、ということが頭に刻みついていたのです。


全ては甘い考えに起因する、愚かな判断でした。


その道を初めて使ってから5年間、この年数の経験を、僕は、絶対的なものだと確信してしまったのです。



桐谷様、この度は誠に申し訳ありませんでした。


――――



当然、返事はなかった。



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