No.0
本格的に内容汲んだ話はこれが初投稿となります。
なにぶん他の小説とは異なる語り口調を使い書いており
見づらい部分もあるかと思いますが。
結局みんな妄想力でどうにかなるよね!
「あら、ごぎげんよう。私はしがない町娘A。あまり表情がでませんが、感情が無いというわけではないので悪しからず。まずは簡単な自己紹介から好きなものは果物、嫌いなものは特に思いつかない。多少の苦はあったっけど人並の苦労でまだ収まっていると感じる人生をすごしております。19歳、女です。
こんなものでどうでしょうか読者様。」
「林檎や、だれと話しておるんじゃ?」
これは私のお爺さん、年をとるたび身長が縮んでいくけど
こんな年寄りも私の唯一の家族です。
「いえいえ、お爺様。まずは私の自己紹介を読者の皆様にと思いまして。」
すこし困った顔。こんな私とは裏腹にお爺様の表情は豊富だ。
「ふむ、読者様とな。何のことかはわからんが、そろそろ店を閉めようと思ってな。
入口を閉めてきて欲しいのだが頼めるかな。」
あらあら、どうやら知らぬ間に時計の短針は夕刻6時を印していたようです。
「わかりましたわ、お爺様。」
店はそこまで広くない、むしろ一介の商店にふさわしい狭さであります。
そうそう私の名前は”滝河林檎”
つい1年前に高校を卒業をして何をしようかなんて考えていたら
いつのまにか我が家である八百屋、格好よく言えば果物専門店の
”滝河商店”の跡取りとなってしまっていたのです。
「まあまあお爺様ったら、人使いが荒々しいですわ。」
慣れた手つきでシャッターを下ろします。
それもそのはず、従業員として働いたのは卒業後からですが
もともと、お手伝いでは可能な限りコキ使われてきたのですから。
「あら、いけない看板を入れ忘れてしまったわ。」
こういった、うっかりしたところも私のチャームポイントだったりするわけです。
少々めんどうですが店の裏口から回って取りに行くとしましょう。
シャッターのしまった店の前には1人でに取り残されたスタンド看板が
「少々疲れてしまいましたわ。」
小さな看板を畳み、その場で少し休憩を。
立ち尽くす。午後6時の空が茜色に染まっている。
何も思わない。綺麗なのかもしれない。
だけどもあまりにも見慣れた風景に、もう心は動かなくなってしまったんです。
――ガタッ――
頭上で聞き難い音が響く
「あらお爺様ったら、まだ看板の建てつけを直してなかったのね。」
そう吐いて上を見た時にはもう遅かった。
――グチャ リ――