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リュウのケイトウ レガシィ  作者: きでひら弓
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レガシィ リュウの伝承46私だけの慧人

ヤツ等はまた現れるだろう

亜挫主刃泰狗がバラバラになり更に

粉々に分解して塵と化し風に

乗り吹き飛んで行く。

災いをもたらした輩も最後は砕ける

星屑の如く美しく散り消え去る。

AAイジャーバタン ウフラの首領

AAが消え去る塵と共に姿を消す。

去り際にメッセージを

慧人の聴覚野へと響かせながら。


『我々を今だけ、物語の中だけの

存在だと思うなよ。

今はこれで消え去るが

我々は無意味に現れた訳では無いのだ。

これから貴様等の存在する時空間、時系列へと

必ず姿を現し貴様らの行動と交差する

はずだ。

この存在を夢夢忘る事なかれ。

今回はこれでさらばだーっ!

ファッハッハッハッハッハッハーー。』


AAの声が辺りにコダマするように

搔き消えた。


『慧人、彼等は貴方の存在する

元時空へ現れます。既に一端は姿を見せて

いるかも。

今あった事はそれの予兆。

少し回りくどいやり方だったけど

この事も伝えたかったのです。

そしてキーワードは花。

頭の片隅に刻んでおいて下さいね。

さあこの時空最後の始末へ向かって下さい。

サレヒュトには先行して

竜の巣へと向かってもらっています。

慧人にはこの紅い機動兵器

アポクリファサイスをお供として

着けますので連れて行ってあげて下さい。

貴方の良く知るモノです。

きっと役に立つと思ういます。


私の此処での役目はこれで終わりです。


慧人、私に貴方との貴重な時間を

作ってくれて本当にありがとう。』


二人はネイ シーティス スプレマシーの

コクピットの中でお姫様抱っこのまま

最後の時間を過ごす。


『エルニ、君は消えてしまうのか?。』


慧人は抱き抱えるエルニの瞳を見つめ問う。


『はい、間も無く塵となり消え去ります。

この器の限界を迎えるのです。

その前に私の全てを貴方に捧げたい

この身体からだが存在するうちに。』


エルニは慧人の瞳を見つめ

柔らかく微笑むと腕を引きよせ

そっと口付けする。


『君はそれでいいのか?。』


慧人は無表情だが優しい視線で

もう一度エルニに問うのだった。


『はい。

最後の時を貴方のそばに居させてもらえて

私は幸せです。

長かった役目でしたが今 全てが報わました。

慧人…………。』


エルニの衣服が星屑のように

さらさらと空気へ消えて

ほんのり桜色に染まる肌を晒す。

慧人はキツくエルニを抱きしめ

二人の体温が一つへと溶けて行った。


『花火が綺麗です。』


『ディナーには行けなかったな。』


『うんん、ココで一緒にいられる方が

全然素敵。』


『そうか。』


燃え上がり夜空へ吸い込まれるように

消える花火。

花火が一つ弾ける度に

エルニの爪先から徐々に星屑のように

煌めき砕け消えて行く。

その光景が進むに連れ

慧人の王龍真瑰おうりゅうしんかい

戒めが戻って行く。


『俺に最後を哀しませない為か。』


『そうね。

二人の思い出は全部楽しい物で

埋めてもらいたかったから。


さようなら。』


ネイ シーティス スプレマシーの

コクピットには慧人だけが残された。

二人だけの物語は終わりを告げたのだった。


情動の少ない俺でも哀しい事はあるんだ

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