一箱の内
夢見ていたのはここじゃないどこか
まだ知らないどこか
私を積み上げ手を伸ばす
私は足を踏み外す
秘密にしていたのは
枠の向こう
まだ名前も知らない世界
足元に積み上げられた無数の私
忘れていたのは
どこでもない今この場所
私を壊して私をつくる
私は私を踏みしだく
何度つみ重ねても
追いかけたかったのは
また広がる空
色を変え続ける地平線
崩れ落ちた私の中に埋もれる私
滑り落ちて霧散する私の残滓
手探りで掴んだ私の残骸
私の隙間をすり抜ける
私を穿つ私の欠片
私の中を弄る私
追いかけていたのは
ひび割れてゆく空
色褪せてゆく地平線
私は私に屠られる