×××の命が尽きた日
※『意味が分かると怖い話』に憧れて書いた、擬きです。
10月4日に解説つけました。
後書きの部分にあります。
夢を見た。
子供が三人、部屋に閉じ込められている夢。
三人は、とてもよく似た顔をしている。兄弟なのだろう。
長男と思われる少年は、泣き叫んでいる。手に弟と妹を抱いて、「ここから出して」と、泣き叫んでいる。
一向に扉が開く気配はない。
三人は体中に傷があった。腕に痣があった。足に掻き毟った跡があった。顔に小さな円形の火傷があった。首に絞められたような手形があった。服で隠れているところにもきっとたくさんの傷がある。
泣き叫んでいる長男とは対照的に、弟と妹は何もしていなかった。ただ長男の腕の中で静かに眠っていた。
俺はその光景をそばで見ていた。手を伸ばしても三人には触れられない。扉にも触れられないから助けられない。そもそも気付かれていない。この空間では俺は傍観者で存在そのものがなかったんだろう。
でも、俺はこの奇妙な状態を、夢だと思わなかった。必死に助けようとした。「なんでなんで」と言いながら必死にドアノブに触れようとした。触れられなかった。
途中で目が覚めた。
汗だくだった。口からは荒い息が出ていた。酷く喉が渇いていた。
今見た夢から離れたかった。落ち着きたかった。震えを止めたかった。
とてもリアルな夢だった。全て何処かで見たことが……
全て解って、飛び降りた。
天国に逝けること願った。
※解説↓(ネタバレ注意!)※
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主人公は、『物置に閉じ込められている夢』を見ている。
なぜ、閉じ込められているのにその場所が物置だと知っている?
答えは、夢の中で見た長男が主人公だから。
主人公は自分の過去の姿を見ていた。
閉じ込められているのと、体中に傷があるのは、虐待を受けていたから。
主人公の手に抱けるぐらい小さな弟と妹は、体力が尽きて死んでしまった。
主人公は、大事な弟と妹が亡くなってしまったことにショックを受けて、記憶を閉ざしていたが、弟と妹の命日にこの夢を見てすべてを思い出した。
思い出した主人公は弟と妹に逢いに逝った。
タイトルの『×××の命が尽きた日』は、『三兄弟の命が尽きた日』
「「にぃちゃんにはいきててほしかったよぉ」」