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第13話 交戦

 すっかり日が落ちた湿地帯は夜の海のように見えた。

 周囲は湿気が酷く、月明かりを浴びた草が波のように揺れている。普通なら足を踏み入れるのに躊躇するような暗さだ。暗闇に目を慣らすことで辛うじて数メートル先の形状が識別できる。

 モエは左方向から時計回りに、乙葉は右から反時計回りに矢倉へ接近する。音を立てないように、また草に足を取られて転倒しないように早く静かに小走りで進む。そして、矢倉の真下で合流する。

 矢倉の最上部に設置された見張り小屋に灯りは点いていない。かといって音も無い。だが、ここから撃ってきたのは間違いない。

 乙葉がショットガンを真上に向けて構える。そしてモエの顔を見る。

 黙って頷くモエ。それを合図に乙葉が『バンッ!』と発砲する。一呼吸おいて『バンッ!』と2発目。2発とも確かに小屋の底には当たった。が、ブチ抜くほどの手応えは無い。ここからでは暗くて判別できないが底部の真ん中辺りには出入りする為の穴があるはずだ。2人は小屋の底部を見上げながらその出入口付近を注視する。だが、動きは無い。不気味なまでに……。

 乙葉が小声でいう。

「ダメか……」

 小屋の高さは十数メートル。しかし、ログハウス風の小屋は床に厚みがある。それなので散弾では貫通するに至らないのだろう。

「アカンか……」

 怒りに震えていた2人が若干、冷静さを取り戻す。

 と、その時、床の出入り口付近で小さな発光があった。と同時に『パン!』という発砲音で「うわっ!」と、モエと乙葉が飛び退いた。目の前の地面に着弾するのが分かる。負けじと乙葉が『バンッ!』『バンッ!』と撃ち返す。が、それに対する反撃は無い。取りあえず真下は危ないと判断して2人はそれぞれ柱の部分に向かって走る。

「やっぱりな……連続では撃てへんのや」

 モエは柱の陰に身を隠しながら上を見上げる。乙葉も出入口からは死角になるように身を隠す。ちょうど対角線上に対峙する形で2人は柱の陰から互いの顔を出す。

 乙葉は声に出さずに口を動かして数を数えている。そして13秒経ったことを確認してOKのサインをモエに送る。それを見てモエが飛び出す。そして出入口の真下を横切り、乙葉の居る位置まで走った。そこに『パン!』と発砲音がしてモエが走り抜けてきた場所に着弾した。すかさず乙葉がモエと入れ替わるように飛び出して、上に向かって『バンッ!』『バンッ!』と2連続で発砲する。直後に上の方で『ガタッ』という音がした。それを確認してモエが頷く。そして2回、3回と同じことを繰り返す。モエが囮になって飛び出し、相手が撃ってきたところで乙葉がカウンターで攻撃する。敵の攻撃を食らってはいない。だが、ダメージも与えていない。そんな攻防をさらに繰り返す。敵を引き付ける為にモエは途中で走るスピードを緩めたり立ち止まったりした。乙葉も撃つタイミングを早めたりモエが立ち止まった瞬間に発砲したりすることで何とか膠着状態を打開しようと試みる。だが、まるで手応えが無い。矢倉の上と下に分かれての銃撃戦は互いに決め手がないまま時間だけが浪費されていった。

 このままでは分が悪いと判断したモエは、乙葉の立つ位置まで駆け込むと肩で息をしながら乙葉に耳打ちする。

「このままじゃアカンで。キリが無いわ」

「どうする?」

「お互いに弾切れは無い。たぶん向こうも同じや」

 乙葉のショットガンは弾を込めることなく発射することが出来る。だが、連射は2発までだ。続けて撃つ為には時間を置かなくてはならない。それが13秒であることは確認済みだ。となるとヘレンのライフルにも同じことがいえるのではないか? モエはそう考えていた。

「にしても……こんだけ撃ってもダメージ無しなんか」

 モエはそういって額の汗を拭う。

「この銃にもっと威力があれば……」と、乙葉が悔しがる。

「思ったより床が頑丈なんやな」

「こうなれば床がボロボロになるまで撃ち続けてやる」

「無理や。一晩中これを繰り返すつもりか?」

「でも……」

「あっちも反撃してくるんやで」

 モエがそういった次の瞬間、銃声に続き弾丸が空を切る音が間近で聞こえた。

「うっ!」と、乙葉が身を固くする。被弾はしていないが不意打ちを食らった形になる。

「死角やないんか!?」と、モエが驚愕する。

 モエは上を睨みつけてから乙葉の腕を引っ張り、顔を近づけて囁く。

「床の隙間から撃ってきたんかもしれへん。となると、やっぱりウチらが不利や」

 それを聞いて乙葉が唇を噛む。モエはしばし考えて「出直そ」と、言った。

「いやだよ! まだ……」

「シッ。声でかいて」

 乙葉の気持ちは分かる。だが、このまま膠着状態が続くようだと、いずれ敵の攻撃を食らってしまう。

「な、いったん戻ろ。作戦の練り直しや」

「ねえ。その斧で柱を切れないの?」

「なんやて?」

「これを倒して、あいつを引きずり下してやろうよ」

 乙葉はこの支柱を切り倒して矢倉を倒壊させようというのだ。しかし、見張り小屋を支える支柱はどれも大人が一抱えするほどの太さだ。切るといってもモエの戦斧では相当の時間を要すると思われた。

「いや……さすがにソレは時間がかかりすぎるで」

 すると今度は銃声とほぼ同時に弾がモエを掠めるように通過した。

「くっ!」と、モエが身を引く。

 乙葉が口を真一文字にして撃ち返す。だが、やはり手応えは無い。

「アカン。やっぱ隙間があるんや。それに……」

 そういってモエは悲観的な想像を口にする。

「たぶん。見えとる」

「え? 何が?」

「ウチらの姿が見えとるんや。アイツには」

「まさか……どういうこと?」

「さっきより近い。段々、狙いが正確になってきとる」

「そんな。じゃあ、どうすればいい?」

「出直しや。いったん退くで」

 モエはそう決断した。乙葉は納得がいかないといった風に首を振るが「分かった」と、首を垂れる。とはいえ、ここから離脱するには狙い撃ちされるリスクがある。それを考慮してモエが乙葉に提案する。

「ウチが先に出る。それでアイツが撃ってきたところで一直線に走るんや」

「ちょっと待って。それって囮になるってこと?」

「せや。わざと反対方向に行って注意を引き付ける」

「ダメだよ。危険だって」

「なに言うてんねん。さっきまで散々、囮になっとったやん」

「そうだけど……」

「ジグザグに走ればそう簡単には当たらへん。それにこの暗さや」

 そう言いながらモエはヘレンが暗闇でも見えていることを確かめようと考えていた。もしその予想が的中していたならジャングルに戻ろうとするところを狙い撃ちされてしまう。

 モエは乙葉の目を見て頷く。

「1発撃ったら13秒は撃てへんはずや。その間に出来るだけここを離れるんやで」

「でも、それじゃ……」

「心配せんでええ。ウチにはこれがある」

 そういってモエは戦斧を見る。乙葉が何か言いたそうな表情で口を開こうとするがモエがそれを制する。

「大丈夫や。これを持っとると凄いダッシュが出来るんやで」

「え? そうなの?」

「うん。よう分からんけど力が引き出されるんやろ。走る速さとかジャンプとか」

 薄々ながらモエは気付いていた。この戦斧を持っていると自分の脚力が飛躍的に向上するのだ。大蛇と戦った時、ヘレンの顔に傷をつけた時、そしてこの矢倉に突入する時のダッシュする感覚が思い出された。

「よっしゃ。したら行くで!」

 そしてモエは矢倉の下から飛び出した。向かうは野乃花達のいるジャングルとは逆方向だ。緩い地面に足を取られないよう注意しながら走る。そして少し離れたところでわざと「うぁああ!」と叫んだ。

 モエはさらに走った。数歩ごとに方向を変え、スピードにも強弱を加える。ジグザクかつ、緩急をつけた走りでヘレンが撃ってくるのを誘う。

「来いや。早よう撃ってこい!」

 そう願いながら走る。その時、『パーン!』と、銃声が追いかけてきた。左手で何かが弾ける。そこまでは予定通り。乙葉がスタートしていることを信じて走り続ける。前方には湿地帯の終わりがある。茂みがあってその先には岬があるはずだ。地図上ではバツ印があった箇所だ。狙いを絞らせないように不規則なダッシュに絡めてジャンプも織り交ぜた。『パァーン』と、2度目の銃声が背後から聞こえる。今度は真後ろで地面が弾ける音がした。作戦通りヘレンの狙いは自分に向いている。それにヘレンが暗闇でも目が効くことを確かめることが出来た。が、その気の緩みが災いをもたらした。ジャンプした際に勢い余って転んでしまったのだ。

「しもた!」

 戦斧がもたらすダッシュ力で制御が効かない。モエは身体が投げ出されるみたいに地面にヘッドスライディングしてしまった。

「くっそ……」

 転倒してしまった痛みもさることながら肩の傷が響く。野乃花と一緒に居るところを撃たれた箇所が今頃になって痛んだ。そこに『パァーン』という音に続いて左のふくらはぎ近辺に着弾の音を受けた。幸い弾は足を掠めただけだ。

「ヤバい」

 モエは両腕で上体を起こそうとした。が、右肩の激痛で「うっ」と、動きが止まる。

「く……時間が」

 焦れば焦るほどうまく身体を起こせない。歯を食いしばって片腕で上体を起こし、立ち上がる。そこに容赦なく『パァーン』の銃声。それが右手に持っていた戦斧に当たって『ギィン!』と、甲高い金属音をたてる。

「くそっ!」

 前に進もうとするが足が思うように前に出ない。先ほどの転倒で足首を捻ったらしい。

「ウッ……ウッ……ウンッ」

 モエは片足を引きずりながら前進する。走ることは出来そうにない。焦れば焦るほど時間だけが過ぎていく。あと何秒で次が来るのか? このスピードでは的にされてしまう。

「急がなアカンのに……くそっ!」

 13秒経ったと思った時点でモエは思い切って横に身体を振った。というよりも痛めていない方の足に重心をかけて受け身を取るように前転した。その回転中に銃声を聞いた。近くに着弾したのも認識した。これでまた時間が稼げる。モエは前転の勢いを利して素早く立ち上がり、また前へ進む。あと少し。湿地帯を囲む森までは十メートルほどだ。大丈夫な方の足で小刻みに跳ね、ケンケンの要領で距離を稼ぐ。最後の数メートルは四つん這いになって犬のように進んだ。また銃声が追いかけてきた。だが、もう前に突っ込むしかない。

「やった!」

 何とか茂みに到達した。まるでマラソンのゴール後のように地面に倒れ込む。バリバリと小枝が身体の周りで音をたてる。小さな痛みに包まれ、自分の荒い吐息に混じって銃声が聞こえた。まだ撃ってくる。モエは舌打ちして「しつこいな」と、吐き捨てると『ほふく前進』の要領で真っ暗な茂みの中を這いずった。目の前にある障害物を避け、木々の隙間を探して必死に湿地帯から距離を取る。その間も一定の間隔を置いて銃声が聞こえた。

 どれぐらい進んだだろうか。気が付くと風の音に包まれていた。そして潮の臭いにハッとする。茂みを抜けたところで立ち上がる。

「海……」

 スマホの画像を出して地図を確かめる。それは目指していた場所だった。

「この辺りにもあるはずや」

 しばらく周囲を歩いてみた。足首の痛みも引いて動悸も収まってきた。全身に出来たひっかき傷がヒリヒリする。強い海風に毛先を弾かれ何度も顔を顰める。そしてようやく墓を見つけた。

「あったで!」

 十字架がポツンと立っている。それは他のものと同様だ。だが、その近くに肝心の武器が見当たらない。

「なんでや……誰か持って行ったんかな?」

 そして暗がりの中、十字架に刻まれた名を読み取ろうとして気が付いた。

「な!? なんでや……」

 その十字架はなぜか赤かった。これまでの物はすべて真っ白だった。それなのにこれは真っ赤だ。はじめは黒かと思ったのだがスマホの明かりを近づけてみて赤だと判別できる。さらにモエを驚かせたのは、そこに刻まれた名前だった。

「嘘やろ……」

 モエはそう呟いて両膝を地面に着いた。

 モエを脱力させた墓標の名前。そこにはしっかりと『NONOKA』と刻まれていた。


   *   *    *


 山海荘のロビーでは就寝前の遅い入浴を済ませた玲実達が明日からの行動について相談していた。

 湯上りの火照った身体を冷ましながら望海がいう。

「よし。明日から本気出す」

 それを聞いてタオルを頭に巻いた梢が苦笑する。

「お姉ちゃん、いつもそればっかり」

「だって今日は準備してたから仕方ないじゃん」

 あっけらかんとそう答える姉を見て梢が呆れる。

「そりゃ、そうだけど……」

 武器探しに出ると決めたものの結局、今日は時間が足りないということで準備に充てられた。

 玲実が冷えたサイダーの瓶を頬に当てて目を細める。

「そうね。明日から頑張りましょ。でも、なんとか地図を手に入れたいところね」

 望海が入手した情報では武器の位置を示したこの島の地図が存在するという。地図を持たない玲実達が早急に武器を手にする為にはそれが必要だ。闇雲に島内を歩き回っても効率が悪い。ましてや面倒なことを嫌う玲実にとっては最小限の努力で成果を得たいという思いが強い。

 玲実の考えを察して望海が含み笑いを浮かべる。

「地図は大丈夫。ちゃんと考えてあるわ」

 それを聞いて梢が心配そうに何か言いかけるが望海の自信たっぷりな様子に言葉を飲む。 玲実は「任せたわよ」と、ニヤニヤしている。

 そんな具合で楽観的な作戦をたてているところに突然、訪問者が乱入してきた。

「誰か来た?」と、望海が怪訝そうに振り返る。

「鍵は?」と、玲実が双子に確認する。それに対して双子が同時に首を振る。

 山海荘の玄関を乱暴に開けてロビーに入ってきたのは和佳子だった。

 トライデントを手にした和佳子は無言で3人の前にツカツカと近付くと、テーブルの上に散乱するスナック菓子の空き袋を見て顔を歪めた。

「やっぱり……」と、和佳子の口元が引きつる。

 何の断りも無く侵入してきて自分達を無視する和佳子の行動を3人が唖然としながら見守る。望海が梢と玲実に向かって、この子は何をしているのかといった風に首を捻ってみせる。梢は信じられないといった表情で同じく首を捻る。玲実はみるみる不機嫌な顔つきに変わっていく。

 和佳子は何かを探すようにキョロキョロしながら呟く。

「どこ? 返して……」

 その怒りを押し殺したような言葉に玲実が応える。

「は? 何か言った?」

 和佳子はチラリと玲実に一瞥をくれると真顔でいう。

「返して。お菓子返して……」

 和佳子の言葉を遮るように望海が煽る。

「嫌だって言ったら? どうすんの?」

 すると、おっとりした和佳子のイメージとはかけ離れた挑戦的な言葉が彼女の口から放たれた。

「許さない。てか、力づくで持って帰るから!」

 それを聞いて望海がまるで真に受けていない様子で「へぇ」と、大げさに首を竦める。それに対して和佳子はゴミを見るような目で望海を見る。そして手にしていたトライデントの柄の下部で『ゴッ!』と、床を打った。その音に梢がビクッと身を引くが、玲実はソファにふんぞり返って余裕をみせる。

「だから? 返すつもりなんて無いわよ」

 玲実の舐めた態度に和佳子が「ふざけんなっ!」と、突然、切れた。と同時にトライデントの鉾先が玲実の喉元に『シュッ!』と、突き付けられた。

「ひっ!」と、さすがの玲実もソファの上で仰け反る。

 和佳子は冷たい笑みを浮かべて鉾先で玲実の頬を撫でる。

「ホントに返すつもりはないの?」

 玲実は鉾先から顔を背けて必死に口を動かす。

「ちょ、ちょっと……なにを……まさか本気で」

 玲実は本気度を確かめようと和佳子の顔を見上げる。しかし和佳子の目は据わっている。

「本気だよ。返さないならヤルよ?」

 緊迫した空気の中、望海が堪らず立ち上がって和佳子の行為を咎める。

「いい加減にしなさいよ! お菓子ぐらいで何てことするの!」

 だが、和佳子はそれを無視してトライデントで玲実にプレッシャーをかけ続けている。

 ついに望海がジュースの空瓶を手にして「このっ!」と、和佳子の後ろから襲いかかった。だが、和佳子は振り向きざまにトライデントの柄で望海の脇腹をカウンター気味に突く。「うっ!」と、望海の顔が痛みで歪む。さらに弾かれた勢いでバランスを崩し、腰をテーブルの角で強打する。

「痛っ!」という望海の悲鳴と『ガッシャーン!』とテーブルが引っくり返る音が重なる。

「お姉ちゃん!」と、梢が倒れそうになった望海を支える。

 和佳子は冷めた目でその様子を眺めながら宣言する。

「じゃ、残りは返して貰うね」

 そう言って和佳子は目についた下げ袋を手に取り、未開封のスナック菓子を次々と詰め込む。そして満足気な顔で玲実達を一瞥した。まったく悪気はない。むしろ清々しいといったような表情だ。対照的に玲実と望海は悔しさと怒りを持て余している。梢はハラハラしながら事の成り行きを見守っていたが困惑を隠せない。

 和佳子は何事も無かったかのようにロビーを出て行く。

 悠々と立ち去る和佳子の後姿を睨みつけながら玲実が呟く。

「許さない……」

 その頬に血が滲んでいるのに望海が気付く。

「ちょっと、それ。血が出てるよ」

「え? 嘘!」と、玲実が自分の頬を触って出血を確かめる。手の平に付着した血に驚きながら玲実の顔つきが険しくなる。傷は浅いものではあったが顔を傷つけられたという事実が玲実の怒りに火を注いだ。

 玲実はすっくと立ち上がる。

「武器さえあれば……」

 そう言う玲実の目は血走っていた。彼女は涙を堪えて唇を噛む。

 望海が怒りを露わにしながら吐き捨てる。

「武器が無いから舐められたんだ」

 玲実は腕組みして頷く。

「そうよ。やっぱり明日は武器を集めに行こう」

「うん。絶対に行こう!」と、望海も力強く頷く。

 玲実は親指の爪を噛みながら目を吊り上げる。

「必ず武器を手に入れる。それであのブタを……」

 梢が不穏な空気に気圧されたように尋ねる。

「それでどうするの? まさか、やり返すとか……」

すると望海が顎をしゃくるようにして答える。

「やり返す? 冗談じゃない」

 望海の強い口調に梢が引きつった顔でさらに尋ねる。

「お姉ちゃん……どうするつもり?」

「ただじゃ済ませない」

 そう言った望海は本気のようだ。望海といい、玲実といい、2人は武器を手にするべきという考えにすっかり感化されている。そんな2人の様子に怖気づきながら梢は、どうしても嫌な予感を振り払うことができなかった……。


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