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第10話 武器探索

「そういうことなら仕方ないね。ボクも出来るだけのことはするよ」

 そう言って桐子は自分を納得させるように何度か頷いた。桐子は武器を持つことに最後まで反対していたが皆で決めたことには素直に従うつもりのようだ。ただ、何か気に掛かることがあるようで、スケッチブックの地図を眺めながら首を捻る。

「11個か……なんでだろ?」

 利恵が桐子の顔と地図を見比べながら尋ねる。

「11個? 何が?」

 桐子は顎に指を添えながら答える。

「バツの数だよ。もし、このバツ印が武器の位置を示してるなら14、いや15個あるはずなんだけどな」

 利恵がその言葉の意味に気付く。

「そっか! 私達15人分の武器があるなら『×』の数が足りないってことね」

 利恵の言葉に他のメンバーが驚く。

 ぽっちゃり和佳子が顔を顰める。

「あれえ? でも、砂浜のバツ印は私の武器があった所だよ?」

 イリアは冷静に分析する。

「私の武器も病院にあった。それもバツと一致する。偶然にしては出来過ぎだわ。ひとつやふたつなら偶然かもしれないけれど」

 利恵も頷く。

「そうね。乙葉さんの武器、ヘレンさんの銃もバツ印の場所と一致するわ」

 桐子は険しい表情で利恵の言葉に付け加える。

「それからモエって子の台詞。あの子の武器もバツ印と一致してたはずだよ。だからこの地図を隠そうとした」

 そうなると、やはりこの地図のバツ印は武器の在り処を指し示していると考えるのが妥当だ。だが、その印が人数分無いということは武器を得られない子もいるということなのだろうか?

 利恵が腕組みして唸る。

「うーん……武器が手に入らない場合もあるのね」

 それを受けて考え事をしていた愛衣が口を開く。

「これ以上考えても仕方が無いわ。取りあえず印を頼りにその場所に行ってみましょう」

 結局、武器探索のチーム分けは、イリア・智世・桐子の3人。そして利恵・愛衣・和佳子の2組になった。怪我人であるヘレンは頭数には入れないことにしたが、一応、声を掛けておこうということで桐子が松の間に向かった。しかし、いつの間にかヘレンの姿はそこに無かった。

 ヘレンが消えたという報告を聞いて利恵が「困ったわね」と、心配する。「どこに行ったのかしら? 2階は?」

 桐子が首を振る。

「いや。2階は立ち入り禁止にしてるだろ」

 敏美の事件後、2階への階段は立ち入れないように椅子やテーブルを積んでバリケードを組んでいるのだ。それに死体のある2階にヘレンがわざわざ行く可能性は無い。

 そこでこれまで一言も発言しなかった智世が申し訳なさそうに口を開く。

「あの子、ひとりで出て行ったよ。お昼ちょっと前に」

「え!? そうなの?」と、利恵が驚く。

「う、うん。リュック背負って銃を持って行った」

 智世はそう言って食堂の方を指差した。その方向には食堂があり、中には非常口として外に出られる箇所がある。恐らくヘレンは黙ってそこから出て行ったのだろう。

 利恵は困ったような顔で首を振る。

「あんな大ケガで大丈夫かしら」

 それを聞いてイリアが「大ケガだって?」と、反応する。

 桐子が「ああ、そういえば君達には詳しく話していなかったね」と、イリアと智世に昨日の出来事を説明した。

 普段はクールなイリアも流石にヘレンがモエの戦斧で傷つけられたくだりでは顔を顰めた。

「そんなことが……で、傷は深いの?」

「結構、重傷だよ。ボクと利恵で止血したんだけど中々血が止まらなくて大変だったんだ」

 イリアはやれやれといった風に首を振る。

「そう。もしかしたら薬が役に立ったかもしれないのに……」

「薬だって?」と、桐子が目を丸くする。

「ええ。止血剤も痛み止めもあるわ。病院で調達してきたの」

「なんだよ。早く言ってくれれば良かったのに」

 桐子はそう言って残念がるが、昨夜のイリア達は疲れ果てていて誰と話すでもなく風呂に入って直ぐに眠ってしまったのだ。

「ごめん。そうだよね……」と、イリアが俯く。

「しょうがないよ」と、智世がイリアの手を握る。「イリアちゃんは悪くないよ。戻ってきたら診てあげればいいじゃない」

 利恵がそれを聞いて言う。

「私からもお願いするわ。病院の薬があるなら心強いもの」

 その時、13時を示す時計の音が流れた。それを聞いて桐子が立ち上がる。

「行くなら早く出ないと。暗くなるまでにはここに帰ってきた方がいい」

 利恵も立ち上がる。

「そうね。夜までには戻ってくるようにしましょ」

 ヘレンのことは気になったが、利恵・愛衣・和佳子の組は砂浜で和佳子のトライデントを回収、山道を経由して『★』と『×』が並ぶ箇所を目指すことにした。一方のイリア・智世・桐子組は港を越えた先にある『×』をあたることにした。


   *  *   *


 乙葉のスマホに収められた地図を眺めながら野乃花が言う。

「なんだかこの島、ハガタカの頭みたいだネ」

 乙葉がそれを聞いて突っ込む。

「は? なにそれ? ハゲタカって、どの辺が?」

「ン。この辺が。クチバシをパカァって開けたみたいじゃない?」

 野乃花にはこの島がハゲタカの頭部を真横から見た図のように見えるらしい。確かにそう言われてみれば左方向を向いたハゲタカに見えなくもない。どちらかというとディフォルメされた漫画チックなハゲタカだ。島をハゲタカの頭部に見立てると、まず口が港、上のクチバシが民宿街、砂浜へと続く。反対に下のクチバシは湿地帯にあたる。その下クチバシからアゴに向かってジャングルがあって、この地図では真下部分にあたる温泉のある小屋は首の付け根といったところだ。また、山の部分は目に見えなくもない。そして、額から頭頂部にかけては雪に覆われた場所ということになる。

 詩織がスマホを覗き込みながら笑う。

「お、面白いね。そ、そうなると、この先は後頭部かな?」

 そう言って詩織が指差したのは地図で言うと右下、ハゲタカの後頭部にあたる部分だ。

 黙々と先頭を歩いていたモエが呆れる。

「何がハゲタカやねん。早よ行くで。暑うてかなわん」

 4人は残る武器を求めて砂漠地帯を歩いていた。ジャングルのすぐ隣にこんな広大な砂漠が存在すること自体、異様に思われた。が、異形の生物や武器が存在することを考えれば今更、驚くほどのことは無い。今となっては目の前の現実を黙って受け入れるしかないのだ。

 乙葉がセーラー服のスカートをバサバサ捲って扇ぐ。

「ああ! もうっ! 全部、脱ぎたい! てか水着で良くない?」

 野乃花もバテ気味で汗を拭う。

「そうだよネ。でも日焼けしちゃうヨ」

 そういう野乃花のデニムのホットパンツもピンクのTシャツも汗でびっしょりだ。

 モエは前方を見ながら溜息をつく。

「似たような光景やなあ。どれぐらい来たんか分からんようになるわ」

 モエがぼやくように肌色の濃淡だけで構成される砂漠地帯のビジュアルは単調で、延々と砂山が並んでいるだけのように見える。そのせいで遠近感が狂ってしまう。頼りは地図に示された目印だけだ。

 詩織が風呂にのぼせた時のように顔を紅潮させて言う。

「そ、そろそろ見えてきてもいい頃だよね」

「おかしいな。ホンマに迷ったんやないやろな?」

 モエの言葉に野乃花が泣き言をいう。

「そんなのヤダ! このままじゃ暑くて溶けちゃいそうだヨ」

 足元からは照り返しの熱が容赦なく上がってくる。汗が止めどなく流れて4人は汗だくだ。

 モエがグイッと首の汗を拭って皆を励ます。

「みんな頑張りや。もうすぐ見えてくるはずやで。地図を信じるんや」

 地図によるとこの砂漠の右端にはオアシスのような場所がある。そう書いている訳ではなかったが、池のように見える楕円形にヤシの木のようなイラストが添えられていることからモエはそれがオアシスではないかと踏んでいるのだ。

 ここまで来るのに2時間は歩いているだろうか。さらに30分ほど進んだところでモエが最初にそれを発見した。

「あったで!」

 砂山をひとつ越えようと頂点に立った瞬間、前方に黒っぽい岩、そして青と緑が目に入ったのだ。

 モエに続いて頂点に到達した乙葉が顔を輝かせる。

「やった! わあい!」

 乙葉は歓喜の声をあげながら突然、走り出した。

「ちょい待ち」と、モエが止めようとするが、乙葉は結構なスピードで駆け下りていく。

「おいおい。焦ったらアカンて……」

 目的地はここからはそれほど離れてはいないが、この炎天下でのダッシュは熱中症になりかねない。心配するモエをよそに乙葉は元気に駆けていく。その後姿を見て野乃花がほっぺを膨らませる。

「乙葉ちゃん、ズルいゾ!」

 そういって野乃花まで走り出す。

「なんやねん。さっきまでヘロヘロやったくせに」と、モエは苦笑いを浮かべる。

 そこに遅れて到達した詩織も野乃花達の後姿に目を細める。

「よ、よっぽど嬉しかったんだろうね」

「せやな。ま、ええか。ウチらも急ご」

「う、うん。そ、そだね」


   *  *   *


 玲実はコテで巻き毛を手入れしながら望海の報告を聞いていた。そして「ふうん」と、興味なさそうに相槌を打った。

 妹の梢は真剣に話を聞いているのに玲実の態度は望海を苛立たせた。

 望海はムッとしながら尋ねる。

「アタシ等も動いた方が良くない?」

 だが、玲実は自慢の巻き髪を手入れすることの方が大事なようで「そうね」とだけ答える。それは適当に答えているだけのように望海には聞こえた。

 玲実の代わりに梢が賛同する。

「そうだよ。アタシ達も武器を持った方がいいよ」

 心配性の梢にとっては他の子達の動きが気になるのだ。

 望海は彼女なりに状況をよく分析しているようで武器の必要性を説く。

「正直、ウチら皆から浮いてるよね。それどころか思ってる以上に嫌われてるかもしれない。昨夜の嫌がらせはそういうことなんだと思う。だとしたらこの先、他の子達が武器を持ったらどうなると思う? 石を投げ込まれるどころの話じゃないよ。たぶん、もっとマズイことになる」

 望海の語り口に梢が不安げな表情を浮かべる。

「そんなの……嫌だ」

「だよね。けど、争いは起こるよ。間違いなく」

 望海はそう断言する。流石に玲実も手を止めて望海の言葉に耳を傾ける。

「争い? まさか」と、玲実は首を捻る。が、望海は真剣な顔つきで続ける。

「食料。このまま助けが来なければ食料が無くなるはず。あのイリアって子も言ってたことだけど。おそらく食料が減ってきたら奪い合いになるわ」

 さらに望海はモエが自分達だけ武器を持とうとしていること、それに対抗して利恵達も自衛の為に武器を探しに行くこと、過去に何者かが戦った痕跡が存在することを根拠に自分達も武器が必要だと訴えた。

 しかし、玲実はまったく乗り気ではない。その態度にイライラしていた望海が急に立ち上がって厳しい顔で尋ねる。

「それでも何もしないでここに籠城するつもり?」

 すると玲実は望海と目を合わせようともせずに首を振った。

「他人のことなんてどうでもいい」

 その回答を聞いて望海は小さく溜息をついた。そして、最後通牒を突き付ける。

「そう。じゃあ、好きにすれば? アタシ達は別行動させてもらうから」

 そこでピクリと玲実が反応する。

 望海は妹を促す。

「行こ。梢。ウチら2人だけで」

「そうだね。仕方ないね……」

 双子のやり取りを聞いて玲実の顔色が変わった。

「それは嫌……」

 そう呟いて玲実はコテを床に落としてしまった。

「ひとりにしないで! お願い!」

 玲実はそういって望海の足に縋りついた。その様子は芝居がかっていた。が、小刻みに震えているところなどは演技には見えない。高飛車キャラの玲実が取り乱したように懇願する様に望海と梢は戸惑った。

「いや、その……」と、望海が助けを求めるように梢の顔を見る。

 梢も玲実の豹変に驚きながらもフォローする。

「だいじょうぶだから。一緒に行くなら、ね?」

 玲実は泣きながら梢の言葉にウンウンと頷く。玲実の急変に望海と梢は言葉を失った。何とも言えない空気が流れて玲実の嗚咽だけが聞こえる。

 しばらくして玲実がゆっくり立ち上がった。涙で顔はグシャグシャだが、その目は力強さを失っていない。

「玲実ちゃん?」と、梢が玲実の表情を伺う。

「大丈夫。ゴメン。取り乱しちゃって……」

 玲実の意外にはっきりとした口調に望海も驚いた。そして慎重に意思を確認する。

「てことは行くのね? 武器を探しに」

「ええ……行くわ。ひとりになりたくないもの」

 そう言って玲実はしゃんと背筋を伸ばした。それはいつもの気高い玲実らしい姿だった。


   *  *   *


 砂漠のオアシスは不思議な空間だった。細長い水溜りを中心にして、それは砂漠の真ん中にぽつねんと存在していた。水が溜まっている部分は幼児向けプールぐらいの深さと広さだ。澄んだ水は空の青さを含んでキラキラ輝いている。背の高いヤシの木が数本、それ以外にも緑が周囲を縁取っている。その側には大きな直方体の一枚岩が3つ、『コ』の字型に並んでいて日影ができている。

「ぬるーい! でも気持ちいーい」と、乙葉が水に浸かりながら声をあげる。

「でも、底の方は冷たいヨ!」と、野乃花は四つん這いで手足を水中に沈めている。

 モエと詩織は日陰で一息つきながら水筒の水で喉を潤す。

「元気やな。2人とも」

「そ、そうだね。で、でも気持ち良さそう」

「詩織も入ってきたらええやん」

「い、いや。私はいい。水着、持ってきてないし」

「大丈夫やで。乙葉なんかセーラー服のままやん。野乃花かて着替え持ってきとらんのに躊躇なく飛び込みよったで」

「ま、まあ、すぐ乾くとは思うけど、私は遠慮しとく」

 乙葉と野乃花は小さな子供のように水に浸かってはしゃぐ。しばらくして野乃花が「ひょっ? 何だコレ?」と、素っ頓狂な声をあげた。

「どうしたの?」と、乙葉が下半身を水に浸したまま野乃花に近付く。

「ワワ、こ、これって!」

 野乃花はひとりでパニックになりながら手を水中でバタバタさせている。そして「エイ!」という掛け声と共に水中から何かを引っ張り上げた。

 はじめはそれが何か誰も分からなかった。が、それが銃のような物であることに気付くのにそう時間はかからなかった。

「嘘!? これってショットガン?」と、乙葉が目を丸くする。

 確かにそれは乙葉のショットガンに似ている。だが、それよりは銃身がずっと短くて全体の造りが重厚な感じがする。真ん中には大きなシリンダーが据えられていて、そこに短い銃身が直結しているようにも見える。正確には『グレネードランチャー』なのだが、少女達はそれに対する知識は皆無だった。

「重いヨ~ てか、何コレ?」と、野乃花が乙葉にそれを持たせようとする。

「まるで戦車だね。これはどうやって構えるんだろ?」

 乙葉は色々と試してみるがライフルやショットガンのように構えるには重すぎた。そこで小脇に抱えるようにして左手で銃身の下にあるグリップを持つのが最も安定することに気付いた。勿論、引き金は固くて引けない。

 モエと詩織も水の中に入ってきた。野乃花がグレネードを見つけた箇所は少し深くなっていて腰のあたりまで水に浸かってしまう。

モエがグレネードを眺めながら言う。

「これも武器なのかな?」

「で、で、でも、地図にバツなんかついてたっけ?」と、詩織が目をパチパチさせる。

「いいや。バツがついとったんは、もうちょい上や。白い☆のところに2つ」

 モエはそう言いながら地図の中の位置関係を思い出していた。目的地はこのオアシスのやや上に位置する『☆』印だった。そこに『×』が2つ重なるように書かれていたので、武器があるとしたらそこだと考えていた。それなので思わぬところで発見したこの武器に違和感を覚えたのだ。

「やっぱりあった!」と、乙葉が水中から何かを引っ張り出した。好奇心旺盛な元気娘の乙葉はいつの間にか潜って水の底を探していたのだ。

「エ? 何が?」と、野乃花が乙葉の引き上げた物体を注視する。

「お、お、お墓……」と、詩織が顔を強張らせる。

「ホンマや。例のやつか。どれどれ」

 モエが十字架に刻まれた文字に目を凝らす。

「レ、イ、ミ……玲実か」

 モエの言葉に野乃花が頷く。「みたいだネ」

 乙葉が十字架をしげしげと眺めて首を捻る。

「なんでこんな所に? 地図には無かったはず」

「けどウチらの武器なんやろ。玲実っちゅう子もおったよな?」

「ウン。ちょっとお嬢様風の綺麗な子」と、野乃花が頷く。

 そこで詩織が「も、もしかして」と、口を開く。

「あ、あの地図には、バ、バツの印が11個しかなかった」

「え? そうだっけ?」と、乙葉がきょとんとする。

「せや! バツの数が足りひんてことや」

「どういうコト? 野乃花わかんない」

「だ、だから、私達の人数。ほ、ほら。15人居たでしょ? と、ということは武器の数も15あるはず」

「なんや。4つも足りへんのか」

「エ? じゃあ、野乃花の武器は無いかもしれないってこと?」

 野乃花の泣きそうな顔を見て乙葉とモエが顔を見合わせる。

 そこで詩織が首を振る。

「そ、そうとも限らないよ」

「なんでや? せやかてバツの箇所が……」

「で、でもここにあったよね? ち、地図にない場所にこれがあったってことは、か、必ずしも地図が合ってるってわけではないんだよ。きっと」

「なるほどね。私が見た見張り台の地図は誰が書いたものか知らないけど、全部は把握できてないってことなのかもね」

 乙葉の言葉に詩織が頷く。

「お、お墓だよね。元々は。と、ということは、これを書いた人はその時点では生きてたってことになるよね?」

「なるほどな。アレを書いた人間が死んだか生きて脱出したかは分からへんけど、あのバツ印は誰かが死んだ場所を示しとるんやな……」

「マジで?」と、乙葉が嫌そうな顔をする。「誰かが死んだ所に私達の武器があるなんて気持ち悪い。しかも名前入りのお墓とか……」

 改めて理不尽とも思える事実に4人は嫌な気分になってしまった。

「とりあえず。水から上がろや」

「コレはどうするノ?」と、野乃花がグレネードを持て余し気味に言う。

「置いとけばええやん。どのみちウチらには使えんのやし」

 乙葉も冷めた口調で同意する。

「そうだね。別にあの玲実って子に教えてあげる義理も無いし」

それを聞いて野乃花が「了解~ ホイ!」と、手を放す。

『ドポン』と水中に沈むグレネード。それを眺めながらモエが「ほな、行こか」と、皆を促した。

 目的の場所にはバツ印が2つある。ということは2つの墓と2人分の武器があるはずだ。それに『☆』の記号の意味も気になった。


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