表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

例えば世界が終わるとしてさ。

作者: 狂月 龍香

うお。深夜のテンション。

ちなみにこっから創作裏5つの御話。

①これ、二人の性別も外見も全く書いてないんすよ。意識的に。

②本当は最後に百合ぃにするつもりだったんだけど、なんか止めた。

③他に何だろ。思い出した。二次創作にするつもりだったとか。

④台詞とのバランスとか色々あって部屋の描写とかはなくしたけと、ちゃんと書いたほうが良かったかまだ答えは出てない。きっと一生出ない。

⑤最後の一言は意味深。多分。

「例えば世界が終わるとしてさ」


彼女の問いはいつも唐突だ。

本の(ページ)をめくる手を休めずに彼女は続ける。


「でも、ひとつだけそれを防ぐ方法があるとしよう」


彼女が紙を捲る音がこの部屋に響く。


「その方法をとれば、」


窓から差し込んでいた陽光は今はカーテンによって遮られ、そのカーテンは開けた窓からの風によって揺らされる。

そんな意味のない風景と、彼女の横顔を眺めた。彼女の唇が次の言葉を紡ぐ。


「皆、そうだね、それこそ世界ごと助かるとしようか。そう、たった一人の代償によって」


話が飛んだな、と思った私の心を読み取ったかのように彼女は付け足した。


「一人を差し出せば、世界は元に戻るんだ。あっという間にね。けど、その一人っていうのは、自分の好きな人じゃなくちゃならない」


うーん、と彼女は唸った。けれど読むのは止めない。一口かじられただけの板チョコがひとかけらお皿にのっている。


「この説明だとなんか違うなあ。ああ分かった。差し出さなきゃいけない人とは知らずに出会っちゃって、好きになった後に、そうだと知る、みたいな」


私はなんとなく彼女の言いたいことが飲み込めてきた。

椅子から立ち上がり彼女に近付く。


「私なら差し出さないよ。例えそのことでどんなに言われてもね。だって好きになった人だからさ。その人がいなければ、自分が助かっても意味がない。それくらいに、恋って、愛って重いよ」


ふうん、と彼女は興味のなさそげに頷いた。けれど言葉は止めない。


「じゃあさ、もしもこの世界がそうなったとしたら?私と君を当てはめたら?」


ぱら、とまた頁が進む。そういえばその本は三日前から読んでるんだっけ。


「それでも私は君を差し出さないよ。むしろ一緒に滅べることを大歓迎するさ。とても素敵な提案じゃないか」


彼女がぱたりと本を閉じた。まだ読み終わってない本を。先程までそれを持っていた手はチョコをつまみ、そしてそれを口に放り投げる。私はその一連をちょうど一歩分の距離で見ながら言葉を続けた。


「こんな世界と君の価値はつりあわないから。世界はどうにも軽くて」


一瞬の空白のあと、私は唇を親指でぬぐった。紅茶は沸き立てのお湯でいれなきゃいけないはずだけど、薬缶ってどこだったっけ。まあいいや。

私は端的に味の感想だけをのべた。


「にしてもこのチョコ、甘いね」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ