例えば世界が終わるとしてさ。
うお。深夜のテンション。
ちなみにこっから創作裏5つの御話。
①これ、二人の性別も外見も全く書いてないんすよ。意識的に。
②本当は最後に百合ぃにするつもりだったんだけど、なんか止めた。
③他に何だろ。思い出した。二次創作にするつもりだったとか。
④台詞とのバランスとか色々あって部屋の描写とかはなくしたけと、ちゃんと書いたほうが良かったかまだ答えは出てない。きっと一生出ない。
⑤最後の一言は意味深。多分。
「例えば世界が終わるとしてさ」
彼女の問いはいつも唐突だ。
本の頁をめくる手を休めずに彼女は続ける。
「でも、ひとつだけそれを防ぐ方法があるとしよう」
彼女が紙を捲る音がこの部屋に響く。
「その方法をとれば、」
窓から差し込んでいた陽光は今はカーテンによって遮られ、そのカーテンは開けた窓からの風によって揺らされる。
そんな意味のない風景と、彼女の横顔を眺めた。彼女の唇が次の言葉を紡ぐ。
「皆、そうだね、それこそ世界ごと助かるとしようか。そう、たった一人の代償によって」
話が飛んだな、と思った私の心を読み取ったかのように彼女は付け足した。
「一人を差し出せば、世界は元に戻るんだ。あっという間にね。けど、その一人っていうのは、自分の好きな人じゃなくちゃならない」
うーん、と彼女は唸った。けれど読むのは止めない。一口かじられただけの板チョコがひとかけらお皿にのっている。
「この説明だとなんか違うなあ。ああ分かった。差し出さなきゃいけない人とは知らずに出会っちゃって、好きになった後に、そうだと知る、みたいな」
私はなんとなく彼女の言いたいことが飲み込めてきた。
椅子から立ち上がり彼女に近付く。
「私なら差し出さないよ。例えそのことでどんなに言われてもね。だって好きになった人だからさ。その人がいなければ、自分が助かっても意味がない。それくらいに、恋って、愛って重いよ」
ふうん、と彼女は興味のなさそげに頷いた。けれど言葉は止めない。
「じゃあさ、もしもこの世界がそうなったとしたら?私と君を当てはめたら?」
ぱら、とまた頁が進む。そういえばその本は三日前から読んでるんだっけ。
「それでも私は君を差し出さないよ。むしろ一緒に滅べることを大歓迎するさ。とても素敵な提案じゃないか」
彼女がぱたりと本を閉じた。まだ読み終わってない本を。先程までそれを持っていた手はチョコをつまみ、そしてそれを口に放り投げる。私はその一連をちょうど一歩分の距離で見ながら言葉を続けた。
「こんな世界と君の価値はつりあわないから。世界はどうにも軽くて」
一瞬の空白のあと、私は唇を親指でぬぐった。紅茶は沸き立てのお湯でいれなきゃいけないはずだけど、薬缶ってどこだったっけ。まあいいや。
私は端的に味の感想だけをのべた。
「にしてもこのチョコ、甘いね」