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ジュエル☆クイーン♡スクーリング  作者: 葉月 優奈
九話:兄と妹とフローライト
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あれから一時間、今は昼の二時ごろだろうか。

俺はすぐに行動に移した、いきなり佳乃が死ぬピンチだ。

おそらく佳乃を殺そうとするのは部長なのだと思う。

といっても画像は出ていなかったわけだが。

佳乃の問題はまだ解決していないい、むしろこれからが本番だ。


(やはり、こことは話をつけないといけない)

俺の顔が自然と緊迫感に包まれた。

部室には俺の他に部長が来ていたから。


部室のホワイトボードには『二時半集合・発表ミーティング』と書かれていた。

時間は一時半、そんな俺のそばにはスマホがあった。

そして何より、俺の目の前には部長が来ていた。

こうしてみると部長は時間に対してきっちりとしている。随分と几帳面なのだろうか。


「菅原、何のつもりだ?佳乃は?」

「ええ、話があってあなたをここに呼びました。

佳乃はここにはいません、クラスメイトと一緒にポップコーン屋でしょう」

「騙したな!」

早速怒りを見せていた部長。騙してでも俺は部長を呼んだ。


「部長とはどうしても話さなければならなかったので、佳乃について」

「佳乃を名前で呼ぶな!」

「それでも俺は介入します、由のためですから」

俺と部長が互いに顔を見合わせた。睨み合う俺と部長。

重苦しい空気が立ち込めて、一触即発の雰囲気漂う。


「ならばなぜおまえが干渉する?」

「干渉ではないです……協力です。佳乃が兄離れするために」

「兄離れだと?」

「佳乃はもう子供じゃないんだ、部長には悪いけどここは引いていただきたい」

「ふざけるな!お前に何が……」

「佳乃は泣いている、クラスメイトが泣いたんだ」

俺は毅然とした態度で部長に立ち向かった。

俺が部長の家族にどうこう言える立場じゃないのは、分かっている。

でも佳乃の涙を見て、フローライトの苦しみを知った。

彼女はもがいている、その助けにどうしてもなりたい。

人知れず苦しんでいる佳乃のことを助けたかった。


「何もわかっていない、佳乃は友達も何もいない。

そんな佳乃は誰が支えになる?」

「俺がやります」

「ふざけるな、彼女もいるお前が妹にまで手を出すな!」

怒った顔で部長は俺の横を通り過ぎようとしていた。

でも俺はまっすぐ向いていた。


「でも部長は佳乃の苦しみを知っているんですよね」

「……苦しんでなんかいない。俺がずっとそばにいればいい」

「それでも佳乃の成長を助けてこそ、兄じゃないんですか?」

俺の言葉に、部長は一瞬はっとした顔を見せた。


「佳乃はみんなに心配されないように、いつも穏やかな顔をしている。

にこにこして、俺たちのクラスでもアイドルだ。

だけど、佳乃はそこでせめぎ合って苦しんでいた。

佳乃にとって、自分の気持ちを言える人間がいなかったから」

「佳乃は……」

「佳乃は子供じゃないんです、いつか離れていくんです。

だから部長もそう考えているんじゃないかと」

俺の言葉に部長は肩から崩れ落ちた。


「甘えていたんだ、オレが」

崩れた部長のそば、俺もうつむいていた。

「知っていたんですね」

「……ああ。佳乃が誰かを頼った時から。

まさか、お前が最近の佳乃の変化に関わっていたとは」

「佳乃のことをやっぱり部長が一番見ていると思いますよ」

俺はせめてもの言葉を部長に送った。

部長には佳乃に対しての愛があったから。

それは佳乃が受け止めきれないほどの、とてつもない強い愛情があったから。



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