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ジュエル☆クイーン♡スクーリング  作者: 葉月 優奈
九話:兄と妹とフローライト
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それは見慣れたパソコン部の部室。

俺はいつの間にかパソコンの前で眠っていたようだ。

頬に感覚があって、頬のあたりには缶コーヒーが見えた。

それと同時に血色のいい部長。顔の肉が削げ落ちていない、人間の部長だ。


「起きたか」

「ぶ、部長。人だ!」

そこにいたのが伊勢ヶ崎部長だ。

コーヒーの缶を、机の上でうつぶせになった寝ている俺の頬に押しつけていたのだ。


「何を言っている寝言か?」

「あっ、すいません」

目をこすって体を起こして、俺はぼんやりとする頭で少し理解した。

どうやら製作途中に眠ったらしい、画面内のKUNIがエンドレスにダンスをしていた。


「菅原、終わったか?」

「えっ……あっ……まだのようです」

パソコン画面には、未完成のCGキャラの振り付け途中が残っていた。


「もう、朝だぞ」

「えっ、ホントですか?」

俺は部室の中で必死に時計を探した。

探さなくても分かった、窓があいていて朝日が差し込んでいたから。

それははっきりいって、俺が事の重大さを感じていたからだ。


「ヤバイ、間に合わない!」

頭を抱えて、パソコンのCGをじっと見ていた。

今日は既に文化祭当日、徹夜をして途中で眠ってしまった。

時計は既に六時半を回っていた。文化祭の開始は九時だ、後二時間半切っていた。


「菅原、大丈夫か?」

「あっ、すいません。展示の方が……」

「データを渡せ、昼までに片づけないと夕方の発表に間に合わん」

「部長、手伝ってくれるんですか?」

「ああ、工藤もいる」

そう言いながら部長が言うと、工藤先輩がにこやかな顔で見ていた。

事の重大さを聞いてか、ほかの二年生部員も俺のそばに集まっていた。


「しょうがないな、今回だけだぞ」

「ありがとうございます」

俺はデータを分割して、部員全員に僕の仕事を頼んだ。

だけど、俺はそんな手際よくやる部長をじっと見ていた。

(この人には話さないといけない)

そう単純に思えたから。


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