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ジュエル☆クイーン♡スクーリング  作者: 葉月 優奈
九話:兄と妹とフローライト
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――俺は佳乃と一緒に文化祭を歩いていた。

学校は文化祭によって独特の変化をしていた。

綺麗に彩られた学校。あちこちのクラスや文化部の出し物を広告する看板が見えた。

それは華やかな学校の雰囲気。俺はこういうにぎやかな雰囲気は、好きではないが嫌いでもない。

そんな俺のそばには佳乃。少し照れた彼女の体温を感じながら俺と一緒に歩く。


「佳乃、今日はやっと文化祭を楽しみめそうだな」

「はい、菅原君のおかげです」

「いや、佳乃がクラスで頑張ったからだよ」

すぐさま俺は佳乃の頭を撫でてあげた。

佳乃は嬉しそうに俺に笑顔を見せてくれた。

クラスのアイドルの佳乃の笑顔を独占できる、本当に彼女ができたみたいだ。


「じゃあどこに行く?」

「えと……あれはどうですか?」

「お化け屋敷か、定番だな」

「ダメ?ですか」

「いや、行こう」

俺がそう言うと、佳乃の手を引いてお化け屋敷の中に入っていく。


……それから数分後、俺は顔を青ざめていた。

「怖ええっ」

「光輝君は怖がりサンですね」

「ははっ、情けないよ。男として」

かわいく佳乃に笑われてしまった。

俺は背筋が凍る想いで、震えが止まらない。

何故だろう、余計に今回のお化け屋敷は怖く感じた。


「それにしても、暗闇が苦手なんですね」

「なんか暗闇って怖いよね。あまり前が見えないと足がすくむっていうか」

「そうなんですか」

「うん……苦手なんだ」

暗いところが苦手な俺は、佳乃に逆にしがみついていた。

こういうところでは男として情けなく思う。

俺と佳乃は廊下を歩きながら、そんなたわいもない会話をしていた。

こんな時間が永遠に続けばいい、そう思える夢のような時間。


だけどそんな穏やかな時間は突如破られた。

その俺と佳乃の前には腕を腰に当てて現れた純花。

道を阻むかのように現れた純花は、じっと俺たちを見ていた。


「ミツノマル、何しているの。まさか……このあたしがありながら」

「純花……待て」

そんな純花が不敵な笑みを浮かべながら、ズンズンと俺の前に近づいてきた。

もちろん不満たっぷりの顔で俺を睨んできた。


「やばい、これは。逃げよう」

「えっ、はい!」

俺は手を引いて純花から背を向けて走り始めた。

威圧感を放つ純花という存在だ、捕まったら無事では済まない。


「待ちなさい……さもないと」

純花の声が徐々に太くなっていく。

そんな背後の純花の影が、だんだんと大きくなった。

大きくなった純花は、頭が天井まで突き上げて破壊していく。

ガラガラっと、天井が崩落する音が聞こえた。


(なんだ、何がどうなっているんだ?)

そんな俺たちの前に、さらにもう一人厄介な人物が立っていた。


「菅原、手を挙げろ!」

なぜか軍服を着て、拳銃を持ちながら目の前をふさぐように部長が立っていた。

ゾンビのような顔で顔の肉が削げ落ちた部長は、拳銃を構えていた。

背後から純花も襲い掛かってくる。


「部長これは……」

「お前は佳乃を奪った……絶対に許されない」

「佳乃……こっちに」

「待って、菅原君!これ……」

そう言いながら佳乃は、俺の頬にいきなり右手の掌を押し付けてきた。

グリグリと押し付けてきた佳乃に、俺はさらに驚いていた。

なんだか掌が冷たいな。


「佳乃……」

「菅原……起きて」

そんな声が、天から聞こえた気がした。

間もなくして俺の視界が明るく光が強くなった――



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