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結局、そんなフローライトとの会話には三日かかった。
佳乃と俺との距離感、それは想像以上に遠かった。
ようやく俺はフローライトの方に近づくことができた。
逃げなくなっただけでも大きな進歩だ。
青い部屋、体育座りで顔だけを少し上げたフローライト。
まだ俺に対しての恐怖感があるのかもしれない。
まずは優しく声をかけて恐怖感を取り除かないといけない。
「フローライト……だよね。素敵な名前だね」
「……」
裸のフローライトは体育座りで黙ったまま、再びうつむいてしまった。
どうやって会話を続けたらいいんだ、悩むがこういう時は優しく諭そう。
「俺は新米大臣、君を育てに来た。君を女王にするために俺はここに来た。
なにも怖がることはないんだよ」
だけどフローライトは簡単に警戒を緩めてくれない。
(困ったな、これじゃあ全然話が進まらない)
そんな俺を見てか、フローライトはまた逃げ出した。
這いずりまわって逃げるフローライトを、俺はまた追いかけた。
ようやく追いついた俺は、フローライトを壁際に追い詰めた。
(俺がまるでいじめているみたいじゃないか)
そういう気分にさせてしまう。だからもっと優しく語りかけた。
「フローライト!なんで逃げるんだい?」
「……い」
語尾だけかすかに聞こえた、フローライトの言葉はやはり聞き取りにくい。
「どしたんだ?」
「……で!」
明らかに俺に対する拒絶反応が出ていた。
こういう時はゲームだと選択肢が出て、行動することが分かるのだがそれもない。
そんなとき、フローライトは初めて俺の方に顔を向けた。
クラスのアイドルとしての美少女な佳乃。
いやフローライト、かわいく大きな瞳で俺を見ていた。
(これは……何かをタッチするシーンか?)
タッチペンを持ちながら俺はじっと考えながらフローライトのアップを見ていた。
裸のフローライトは当然のことながら胸を両手で隠していた。
顔も赤いし、目はこちらに向けていた。
とりあえず、彼女の頬のあたりをタッチしてみた。
「あっ……やめて!」
ピクンとかわいらしく裸体を揺らした。
このセリフははっきり聞こえたし、彼女がかなり怯えていた。
すぐに逃げる様子はないので、間違っていないなと俺は仮説を立てた。
そんな彼女の表情を見て俺は少し気になった場所を見つけた。
それは額だ、タッチすると会話が発生。
「おでこ、赤くない?」
「えっ、赤い?」
初めてフローライトがまともな言葉を返してきた。拒絶以外で、逃げる様子もなく。
さらに彼女のおでこを優しくタッチした。優しく撫でるように。
タッチされると彼女の顔が赤くなる。
「あっ……ごめんなさい」
「なんで謝るんだ?」
「私が……迷惑じゃないかと……」
言っている意味がよく分からないが、申し訳なさそうなフローライトの顔があった。
さっきまでの怯えていた顔より、かなり沈んだ顔に変わっていく。
怯えているよりはいいが、暗い美少女の顔はやはり苦手だ。
そんな俺の目の前にはフローライトの艶やかな肌が見えた。
「とりあえず、何も着ていないから」
恥ずかしくなった俺は、素早くアイテムボックスを開いた。
フローライトが急に逃げないように注意を配りながら。
だけどアイテムボックスにあったのを見て、俺は思わずツッコんでしまった。
「なんでブルマ体操着なんだ?」
他に着せる物もないのでフローライトにブルマ体操着を着せた。
ブルマって……一体なんだ。と思いながら着せると、ブルマ体操着を着たフローライトがそこにいた。
俺に少し慣れたのか、フローライトはじっと俺を観察していた。
どうやら下半身のパンツみたいのが、ブルマというのだろう。
「これ……妙にエロくない?」
「やっぱりみっともないですね、脱ぎます脱ぎます!」
「わわっ、脱がなくていい。今はそれしかないから。後で服は買おう!」
「……はい」
フローライトが勝手に脱いでも、他に着せる服がない。
そうしたらつややかで胸も結構大きい彼女の裸体を……いやクラスメイトの裸を見て喜ぶほど下世話ではない。
ここは彼女にはブルマ体操着で我慢してもらおう。
「フローライト、ちょっと覗かせてもらうよ」
「……ダメです」拒絶のフローライト、だけど俺は体操着の中にはほんの少ししか興味ない。
「ごめん、パラメーターね」
俺はそう言いながら、フローライトのパラメーターを見ていた。
パラメーターを見ては、「すごい」と声が漏れた。
(高い……さすが特進クラスのアイドル。
文系96、理系93だ。マナーも90、カリスマも95って一体いくつ90越えがあるんだよ。
ほとんど80台90台って神パラメーターだ。
弱点らしいところは……運動系というより生命力だな29)
などと俺がパラメーターに注視していると、フローライトは再び逃げ出そうとした。
それを素早く俺が手を引いて、引き留めた。
「待って、手芸66!」
「私は6が嫌いです、偽っているようで」
逃げながらもフローライトは必死の一言で俺に返してきた。
それでも逃げ出そうとするフローライトは戻ってきた。
「6?佳乃も言っていたけどなぜ?」
「6は愛情の6ですから」
フローライトはようやく逃げるのをやめて俺に話しかけた。
その顔はどこか曇っていたが、こっちに振り向いてくれたのは収穫だ。
「愛情の6か」
「愛情です、私は愛情を受け過ぎてこうなってしまったんです」
「えっ?意味が分からないんだけど」
俺が言うが、それを察してかフローライトがまた離れていく。
その顔はとても険しかった。
「どうせ私なんか、愛に応えられません。そんな力もありませんから!」
結局フローライトはこの部屋から、ブルマ体操着のまま逃げるように出て行った。
俺は青い部屋をじっと見ながら考えていたが理解できなかった――
ゲーム画面から離れて、自分の部屋の天井を見ていた。
自分の部屋、いつも通りの学習机がDSPをやるポジションの一つだ。
携帯ゲーム機だからどこでやっても変わらないが、ここでやるのが一番落ち着く。
そんな時、俺の自室の部屋のドアが開いた。
「お兄様、おりますでしょうか?」
そんな言い方をする奴はあまりいない。だから俺は一人の人物を想像した。




