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次の駅で俺は純花と降りた。
もちろんつまみ出された部長も出されていた。
さすがに格闘が高い純花に、部長でも対応できそうもない。
俺は遠くで見つめようとしたが、純花に連れて行かれた。
そしてついたのが、オフィス街。
部長も抗うが、純花にすぐさま右腕を取られてなす術がない。
おののく部長を、オフィス街のビルの裏に連れてきた純花。
「早速だけど、説明して頂戴」
純花が腕をつかんで部長を軽く放り投げた。
「くそっ、なんだ暴力女」
「誰が暴力女ですって?」
純花はそう言いながらすぐさまプロレス技をかけてきた、コブラツイストだ。
大柄の部長は純花になす術もなく純花に体を絞め上げた。
「ぎ……ギブ……」
「許さないわ、あたしを暴力女にした想い……」
純花はさらに部長の細身の体を絞め上げた、骨がボキッと今にも折れそうだ。
当然俺は純花を止めるしかない。
「純花……やめないか」
「ミツノマルは黙って!」
純花はどうやらかなり怒っているようだ。
部長の顔がだんだん苦しくて赤くなっていく、額には血管が浮き出てきた。
呼吸を止める純花の得意技だ。かなり本気で純花が締めていた。
「クソッ……このままだと」
「さあ、話してもらおうか。なんでストーカーをしているのかを答えなさい!」
「違う、ストーカーなんか……」
「ストーカーでしょ、どう見たって」
「俺は……決っして……」
「もういいだろ」
俺はさすがに純花のコブラツイストの手を強引に解かせた。
それでも部長は、純花に絞められて顔色の血の気が引いていた。
息が見る限り苦しそうなのが分かる、俺も経験があるからな。
まあ、これほどまでに鼻息荒い純花は確かに珍しい。よほど純花の怒りに触れたのだろう。
にしても部長はきっと俺より格闘パラメーター低いな。
いくらなんでもここまで呼吸困難に陥ることはない。
「さすが、純花のコブラツイストだ」
「違うわよ、『アヤカ・ストレッチ』よ」
名前までつけているのか、なんていうプロレス女だ。
これなら暴力女というのも頷ける、さすが格闘98なだけはある。
「部長はどういうつもりで実の妹を?」
「当り前だ、悪い男がつけているからな」
「あんたの方が十分怪しいわよ」
腕を組んで純花が言うが、確かに端から見るとそう見える。
すると、再び純花が部長の肩を掴んできた。
「さっさと本当のことを話しなさい。さもないと今度こそあばら骨をいっちゃうわよ」
「そ、それはヤメロ」
おののく部長、純花の恐ろしさを知ってしまってすでに戦意喪失だ。
だけど純花が首に腕を回す。素早い動きで、部長からあっという間に背後をとった。
「あんた、臭いからあまりやりたくないんだけどね」
そんな時、一人近づいてくる足音が聞こえた。
「あの……すいません、お兄ちゃんをそんなにいじめないでください」
そして出てきたのが佳乃だった。
その時の佳乃は心配そうな顔を浮かべていた。




