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ジュエル☆クイーン♡スクーリング  作者: 葉月 優奈
七話:秘密のお茶会とフローライト
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金曜日になって俺はようやく部活に向かう。

俺が在籍している部活はパソコン音楽部。三日もいかないと懐かしく感じた。

そこにいるのは、いつも通りパソコン三台と珍しく全員そろった部室。

もちろん工藤先輩も部長もそこにはいた、いや五人の部員が勢ぞろいしていた。

パソコンがあかないので、俺はそばに置いてあるベンチでみんなの仕事ぶり?を見ていた。

カレンダーには十一月最初の土日に行われる岩本祭がしっかりマークされていた。


岩本祭、岩本高校の年に一度の文化祭。

そして俺たち『パソコン音楽部』が部活として唯一の披露の場だ。

音楽づくりも一年かけて、ようやく終わりを告げようとしていた。

そして、この文化祭が終わると三年生は引退になる。

背が高く眼鏡をつけた知的の伊勢ヶ崎部長が、俺の隣に座っていた。


「菅原はしばらく学校休んでいたがどうだ?」

「えと……結構時間ギリになりそうです」

「まあ、体調不良だからしょうがないな」

「すいません」

俺は部長に謝った、伊勢ヶ崎部長にはいろいろと迷惑をかけっぱなしだ。


「来週から、朝もここで作っていいですか?間に合いそうもなくて」

「許可はとっておくよ」

「ありがとうございます」

「なにせ、来年の部長候補だからな」

「ええっ、マジですか!」

俺は『部長』という面倒な役どころは嫌いだ。

だけど部長に言われると簡単には断れない。

伏線として春休みからずっと言われ続けていた、実に耳の痛い話だ。

だからあえてとぼけることにした。


「部長候補って?」

「まあ、菅原はA組だろ」

「ええ、二年A組です」

「A組はエリートクラスだからな、将来のことを考えて人を束ねる役目を……」

「A組はテストの点数が高いパラメーターを持った人間が集まっただけのクラスです。

決っして俺なんかが部長っていう肩書が似合うとは……」

「なに、俺の妹のクラスを馬鹿にするのか?」

「いえ……違います」

そうだった……伊勢ヶ崎部長は、妹の佳乃さんを侮辱されるのが許せない。

不機嫌な顔にとってかわった伊勢ヶ崎部長は、俺から視線を逸らしてパソコン作業中の生徒を見ていた。


「佳乃は……クラスで元気か?」

「はい、伊勢ヶ崎さんは人気者ですよ。クラスのアイドルです」

男子に特に人気なのは、最近嫌というほど痛感したが。


「そうか、それはよかった。佳乃も年頃だからな」

「年頃って……」

「だからこそ気になっているのだ。佳乃に悪い虫がついているんじゃないかと」

「はあ……そういえばストーカー……」

「なんだと!」

いきなり狭い部室で立ち上がった伊勢ヶ崎部長。

狭い部室なので当然作業中の生徒の視線を集めた。

視線を感じて、部長らしく威厳のある咳払いをした。


「ごほん、邪魔した」

伊勢ヶ崎部長の一言で、再びみんなが作業に戻っていく。


「菅原……それは本当か?」

「そうですね、本人から相談を受けました」

「むむむっ、どういうことだ?俺には全く相談がなかったぞ。そうか!」

何かを閃いた伊勢ヶ崎部長。なにかを閃くなり、俺の方に顔を向けてきた。

鼻息が荒く、俺のことをじっと見てきた。背も高いので上から顔が飛んできたそんな様子。


「菅原、お前に頼んだのはクラスメイトにストーカーがいるからだ」

「まあ、無くはないと思います……むしろその線だと思います」

「菅原!俺からも頼む。佳乃のことを助けてやってくれ!

佳乃はきっとストーカーに怯えて夜も眠れないはずだ!」

「えっ、そのつもりですけど」

「そうか、そうか、それはいい!」

と今度は感激したのか急に俺の手を握ってきた。

男同士で手を握ると、なんだか気持ち悪い。部長の手がヌメヌメしているし。

普段は冷静な部長も、佳乃が絡むと純花にたがわぬ変り者ぶりを発揮しているな。


「じゃあ、佳乃のことを頼むぞ。兄である俺からもお願いだ!

いいか絶対犯人を捕まえろよ、捕まえて俺の前にしょっ引き出せよ!」

「はい、分かりました。できる限りやってみます」

俺はそこで柄にもない返事を返していた。

しかしこの後、俺は思いがけない後悔をするとはこの時の俺は思わなかった。



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