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あれから三十分後、再び俺はファミレスに戻っていた。
ファミレスで、純花に俺は頼んでいた。
地図を持ってきたときに、純花は眉をひそめていた。
「本当に行く気なの?」
「ああ、戸破は決別させないといけない」
「ダメよ、ミツノマルなら無理だわ」
「いいや、やらないといけない。待っているのはバットエンドだけだ」
俺は頑なに言う。ジュエル☆クイーン♡スクーリングで見た画像、その未来にしてはいけない。
だから俺は動かないといけない。
「ミツノマルはどうやらシスコンなのね」
「俺はもういく」
店内の時計をちらりと見て俺の言葉に、純花は驚いた顔を見せた。
「待って、ミツノマル?もう行く気?」
「ああ、行かないといけない。戸破と約束が待っているからな」
純花の話を打ち切って、そのままファミレスの席を立っていた。
そんな俺を見守る純花は、最後まで不満そうな顔を見せていた。
純花の行動のおかげで、榊たちは押し寄せた警察によって逮捕された。
戸破も俺も事情聴取されて、警察に連れて行かれた。
母親は大層心配をして、そしてようやく警察から解放された。
迎えに来た母親に俺と戸破は抱きしめられた。これが無償の愛だろう。
榊の一件の後、俺は自宅で療養中に入った。やっぱり二日学校を休んだ。
これでも皆勤賞が俺の取り柄だけど、今年だけど四日も休んでいた。
仕方ないが腹のあたりが踏みつけられてまだ痛む。
前回と違って、今回はほぼ外傷はなかったが。
そんなほぼ健康な俺は母親の看病の後、暇になってDSPを二日ぶりにつけた。
~~エメラルド城・アズライトの部屋~~
最初の画面は牢屋じゃない、きらびやかな白の家具が並ぶアズライトの部屋だ。
だけど、大きなベッドの上にアズライトはずっと眠っていた。
縦長のクリスタルは、すでにゲージがカラになった。いつの間にか死亡フラッグも消えていた。
そして俺がベッドに近づくと、彼女が目を覚ました。
「寝ているところを起こしたか?」
「ううん、ボクも丁度起きたところ」
相変わらず元気な笑顔を見せてくれたアズライト。
いつも健気で戸破と瓜二つのアズライトは、今日も元気だった。
「ありがとう、大ちゃん」
相変わらずの無邪気な笑顔はかわいい。
見ているだけで元気がもらえそうだ。
「いや、俺は何もしていない。戸破が自分の足で立ち直れたんだ」
「……そういうものかな?でもいつもあるモノって、逆になかなか気づかないものだよ。
やっぱり気づかせた大ちゃんのおかげだよ」
アズライトは無垢な笑顔を見せてきた。
「育成も終わりか……アズライトをあまり教育できなかったな」
「そんなことないよ、大ちゃんと短い間だけど楽しかった。
それにいつでも会いに来られるよ……ほかの子に浮気しなければ」
もじもじしたアズライト、恥らう彼女が小さく見えた。
そんな時、俺の背後から何かが飛び上がった。
すぐさまアズライトもベッドの上に置いてあるショートソードを抜いて応戦する。
俺の目の前にいきなり現れたのが白ドワ太だ。
「どうやら解決したようじゃな」
「ああ、ドワ太か……あの後どうなった?」
そう言ってアズライトの背中から剣を構えながら出てきた小さいおっさんドワ太。
だけどアズライトも剣を抜いてつばぜり合いを見せていた。
このドワ太、いつも攻撃的なのは変らないが。
「無事、エメラルド女王の誤解は解けた様じゃ。
無罪放免、アズライトも帰されたというわけじゃ。昨日限定のイベントだが」
「見たかったな、警察にいたから見られなかったけど」
俺は少しだけ悔しかった。警察の事情聴取で前日は警察に一晩厄介になったんだっけ。
もちろん俺は手を出していないが、不良の榊は今頃刑務所の中だ。
他の未成年の不良グループは少年院だ、残念なことに戸破も少女院行きになった。
元々警察に目をつけられていたから、仕方ないことではあるが。
だけどその戸破も時期に戻ってくるだろう。
戸破は立ち直ったんだ、改心した戸破はきっとアズライトみたいにピュアな少女になる。
「それより榊からお前は逃げてきたんだな」
「ふむ、そうじゃ。あいつは育成のイロハも知らぬ。
あんな奴にジュエル☆クイーン♡スクーリングは任せられぬからな。
指輪を盗んで、逃げたのじゃ。迷いドワ太と一緒にな」
「迷いドワ太?」
「お主にはこちらの方が分かるやもしれぬ、フローライトのドワ太」
白ドワ太が言う『フローライト』という言葉を知らない。
つまりは後一個ある指輪がその名前なのだと推測した。
「そのようだな、それにしても榊が人間をやめるとか契約とかってどういうことだ?」
「ああ、それは女王になることじゃ」
「女王?榊は男だ」
「女王は女である必要なない、ターフェライトの加護があるものが女王じゃ。
今、エメラルド王国では女王が不足している。かりそめの女王じゃよ。
だから……このゲームで女王を育てる」
俺はよくわからなかった、だけどドワ太の言葉になんとなく納得できた。
榊は間違いないくこのゲームをやっていたし、このゲームの育成もしていた。
育成スキルは低かったのも分かるが。
そんな白ドワ太は、俺の顔を覗き込んでいた。
「ふーん」
「なぜじゃ、なぜお主は驚かん?」
「リアルを育てられるゲームがあるんだ、女王が居ても理屈的にはあう。
それより、女王はどんなパラメーターだ?運動や勉強は?すごく高そうな気がするぜ」
「しらぬ」
ドワ太は驚かない俺を見て拗ねていた。
ドワ太は他人のリアクションを見るのが、よほど好きなのだろう。
「まあ、いいか。アズライトが……」
「残り一個指輪が残っておるな」
「育成したいリアルか……難しいな」
「近いうちに、お前は三人目のリアルを育成したくなる」
「なんだよ、それ?」
「このゲームは、本来四つの指輪がある。
つまりは四人の女王候補が出そろわないと何も始まらないからな」
そう言い残してドワ太はいずこかへと消えて言った。
最後に取り残された俺とアズライトは、互いに顔を見合わせていた。




