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ジュエル☆クイーン♡スクーリング  作者: 葉月 優奈
六話:無償の愛とアズライト
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それから二時間後、夜七時が回った駅は多くの人でにぎわっていた。

学校からそのまま来た俺は戸破と駅で待ち合わせた。

戸破は駅前のロータリー、セーラー服姿でスマホをいじって待っていた。

何よりソバージュの髪は健康そうなショートヘアーに戻っていた。


「遅くなってごめん」

「兄貴、女を待たせるなよ」

「戸破は覚悟を決めたのか?」

「ああ、あたいなりに考えて結論を出すことにした」

戸破に促したある事、それは母親とかわした約束だ。

戸破は榊たちのグループでいつも夜遊びをしていた。

夜な夜な遊びに出歩いては、朝がえりで学校にも行かない。


でも戸破は改心したが、不良のリーダーである榊は黙っていないだろう。

そこで考えたのが、榊と話をつけるというものだ。

もちろんまともに取り合ってはもらえないだろう、奴らは不良だ。まっとうな人間ではない。

だからこそ榊たち不良を何とかするために俺たちは動いていた。


「そっか……なあ戸破」

「ん?」

「榊は一体何者なんだ?」

「榊はこのあたりの番長みたいなものさ。番長って言っても古臭いが。

あたいの十高の元生徒だけど……暴行事件を起こして退学している。

かなり札付きのワルだったらしいぜ」

「元っていくつなんだ?」

「榊は二十代後半じゃないか。結構年季入っている」

「そうか……」

俺はそう言いながらDSPのケースだけを持っていた。

そのDSPのケースの中身は入れていない、ゲーム本体は家に置いてある。


「榊ってゲーム好きなのか?」

「さあな、でも街中でガキからDSPを奪ったらしいな。

なんでも『ジュエル☆クイーン♡スクーリング』をやっていたとか」

「そうか……榊はこのゲームを知っているんだな」

俺はずっと気になっていた。榊はこのゲームを知っている。

だけどネットに情報が全く流れていないゲーム、誰も知らないゲームだ。

榊は俺と同じで、3Dドワ太をきっと見ているんだよな。


「兄貴はなんで難しい顔をしているんだ?」

「ああ……気にするな」

「行くぞ、兄貴。あたいのけじめをつけないと終わんないんだからよ」

戸破はそれでも笑顔で俺に言っていた。

すっかり心を入れ替えた戸破は、とても頼もしく見えた。



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