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あれから何時間の時間が過ぎたのだろうか。
俺はずっと闇をさまよっていた。
視界を遮る闇は、永遠にどこまでも広がっているかに見えた。
闇の中は恐怖を与える、俺の体に震えがあった。
そして、俺の闇にようやく一筋の光が見えた。開けた先には……
目に飛び込んできたのは白。俺は見慣れた天井が見えた。
すぐにわかった、俺の体は自分の部屋にあったのだ。
そのあと俺の姿がベッドの上にあったのを確認した。
「俺は……」
「気がついたのね、光輝」
俺の顔に覗かせたのが母親だった、泣き出しそうな顔で俺を見ていた。
いつの間にかパジャマを着替えさせられて、眠っていた自分がいた。
「おふくろ?」
「大丈夫、不良に絡まれたんでしょ。痛むところはないの?」
おふくろが言ったことで、俺はいろいろと思い出した。
俺はコンビニに行って、榊という男のいる不良グループにDSPを取り上げられてリンチ。
だけど、ここにいるということは命がある。体を起こして頭には包帯が巻かれていたが。
ならば次に気になるのは、
「DSPは?」
「DSP?大丈夫よ、そんなことより、食欲ある?」
「……うん」
単純にお腹は空いていた。
胸のあたりに包帯が巻かれていたのもすぐにわかった。
意識がなかったがいつ包帯が巻かれたのだろうか。
「待っていてね、今ご飯を持ってくるから」
「待って……」
「どうしたの?」部屋を出ようとする母親を引き留めた。
「俺を助けたのって……」
「ああ、同じクラスの伊勢ヶ崎さんよ。彼女が最初に来て驚いたけど」
母親はそう言った。伊勢ヶ崎……同じクラスって部長の妹か。
名前までは知らないけど、なんで俺のことを……純花と一緒だから俺は有名だけど。
とりあえず今度会ったら、お礼だけは言っておかないとな。
「それより光輝に、ご飯を持ってくるわね」
そう言いながら母親は俺の部屋を出て行った。
俺はずっと天井を見ながら考え事をしていた。




