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――ここも薄暗い場所、でも倉庫だと月明かりで分かった。
窓から差し込む光が、いくつものわら袋が積まれていた。
どこの倉庫かはさすがにわからないが。
そして、その中央にいたのが戸破だ。
俺は……このあたりにいないようだ。だけど戸破は周りを囲まれていた。
周りを囲んでいたのは、不良たち。全員男だ。
「おい、なかなかつまらねえことをしているなよ」
不良男の一人が木刀を持って戸破を殴っていた。
頭を激しく叩きつけられて、額から血が流れていた。
「おい……約束が……ちが……」
「ああ、あいつも近いうちにアイツも地獄に送ってやっからよ」
そう言いながら三人がかりで戸破を踏み潰していた。
画像であっても、俺の妹が暴行をされているのを見ていい気分はしない。
「もうお前に飽きた」
そう言い出てきたのが、挑発をする中央にいた男。
首元にタトゥーがあった男は、緑色の髪をして口にピアスを開けた男だ。
ファッションというにはあまりにも痛々しい、はっきりいって狂っていた格好だ。
「飽きたってあたいはやはり遊びだけかよ!」
「てか邪魔……消えろよ戸破。お前はもう必要ない」
「なんだ……それ」
悪態をついた戸破だけど、顔が血だらけだ。ボロボロの戸破は見るに堪えない。
殴られ、蹴られて、地面を這いつくばっていた戸破。
「なあに、お前は間もなくここで死ぬさ。そしたら次は兄貴、お前の番だ」
一瞬、タトゥーの男がカメラ目線になった気がした。
まるでそれは俺に対して挑発しているかのようだ。
「戸破、もう死ねよ」
「や、やめて……」
だけど戸破は次の瞬間、不良グループに足蹴りをされ、ボコボコと殴られる音が倉庫に響いた。
そして、だんだんと画面が暗転していった――




