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ジュエル☆クイーン♡スクーリング  作者: 葉月 優奈
四話:不良な戸破とアズライト
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俺と戸破は一緒に帰っていた。

路面電車から降りた俺と戸破は、自宅目指して住宅街を歩いていた。

いつの間にか夜になっていた、月が闇夜にぼんやりと輝いていた。


二学期初日から妹の迎えという、最悪のイベント真っただ中。

制服シャツ姿の俺はくたびれた顔を見せていた。だけど俺の仕事はまだ終わらない。

隣の戸破も不満そうに、肩を怒らせて歩いていた。

けだるそうに歩く戸破を、俺はいつしかうっとおしくさえ思っていた。


「あん、こっち見るなよ」

目つきが悪く、俺に対してガン飛ばしてきた戸破。

どう考えても戸破は態度が悪い、不良少女は路上に唾を吐いた。

顔を合わせるのも難しそうなので前を向きながら、俺は話し始めた。


「戸破、警察に厄介になるなよ」

「うるせえ!クソおまわりの分際で!あいつ、ぜってえ殺す」

「暴行事件というのは……」

「お前も黙れよ、クソ兄貴!」

戸破は、そのまま隣にいる俺の制服のシャツを掴んでは睨んできた。

俺は怯えることはしない、震えることもしない。ただ面倒な顔を見せていた。

昔は、ここまでやさぐれたわけじゃなかったんだけどな。

戸破の手から解放された俺は、一つため息をつきながらそれでも戸破の隣を歩く。


「学校は行っていないのか、今日は九月一日だぞ」

「学校?ああ行ったさ」

「本当か?学校では真面目にしているか?」

「ウチの学校、クソ学校なのを知っているんだろ、冨十高」

相変わらず戸破の機嫌はよくならない、俺の会話術パラメーターでは難しいと思う。

Jプリでもこんな手を焼く不良はいない。リアルな女が嫌いな理由に一つだ。


でももうすぐ家だ、それまで戸破の機嫌を取らないといけない。

でないと家の中が大変なことになるのを分かっていたから。

兄として家庭を守る正義感より、過去に起きた別の感情が俺を動かしていた。


「戸破……おとといは一人でいたのか?」

「ああ、一人だよ」

「深夜十一時過ぎの駅に一人でいたのか?」

「たりめぇだよ、文句あるのか?」

そう言いながら、再び俺の方に振り返っては俺のシャツの首元を掴んできた。

年頃の女の子がそんな時間に一人で駅にいることも、それだけで充分問題なのだが。

今にも殴りそうな戸破だけど、どこか迫力はない。

さすがに交番に補導されていて疲れた様子だ。


「本当に一人でやったんだな」

「ああ、文句あんのかよ。クソおまわりみたいに言うな!」

「文句は……ない。悪かった」

そう言うと、俺のシャツの襟から手を放した。

戸破はそのまま俺に目もくれずスタスタと歩き出す。


「クソ、つまんねえ!」

苦々しい顔で肩を怒らせて戸破は、近くの電柱にあった麻袋を見つけては蹴り飛ばした。

そのまま、何事もなかったかのように歩いていく。


「戸破……家に帰っても大人しくしてくれないか?」

「あいつの出方次第な」

最後もけだるそうな返事を返して、戸破は家のある方へ向かっていった。

俺はがっかりした顔で、戸破の後ろをついていくしかなかった。

(どうやら、面倒なことになりそうだ)と心の中で思いながら。



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