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あれからあっという間に一か月が過ぎた。
夏が終わって二学期が始まった。
始業式の日は、いつもの定例行事をすませてホームルームも終わった。
ホームルームを終えて、俺はDSPを見ていた。
ジュエル☆クイーン♡スクーリングの中も、セレスタイトが魔物の森から見つかったイベントが発生。
魔物の森で見つかったセレスタイトは、国王様に何度も謝った。
フォレスセント族の族長の話も聞いて、そのうえで彼女なりの理解を示した。
イベントによる成長は……精神力、体力、後なぜか魅力も上昇した。
だけど、文系知識、理系知識が軒並みダウン。
これはしばらく学問系の教育をしないといけないな。
などと言っていたら、ドワ太が出てきた。
クリスタルゲージが無くなって、教育が終了したらしい。そんな報告をしていた。
セレスタイトはエンディングを迎えることになった。
大まかな内容は、ほぼ戴冠式だ。
純花パパにそっくりの伯爵が出てきて、セレスタイトに女王の王冠をかぶせる。
ジュエル☆プリンセス♡スクールでも、これはオーソドックスなエンディングだ。
『女王エンド』と呼ばれるもので、各キャラクターそれぞれ同じ戴冠式のエンディングがある。
セレスタイトは無事に女王の冠をかぶせられて、嬉しそうにしていた。
だけど、これはあくまで女王候補になっただけ。ゲームヘルパーのドワ太がそう言っていた。
大臣冥利に尽きる瞬間を、ゲーム画面で見てから二週間が過ぎた……
始業式の恒例行事を終えた俺は二学期初日、学校でどうしても会いたかった人物がいた。
それはパソコン音楽部の部室にいた人物。
目当ての人物は、パソコンに向かってヘッドホンをしていた太った男。
「工藤先輩、お久しぶりです」
「ああ……光輝か。何の用だ?」
「先輩は知っていたんですね、純花が養子だということ」
ヘッドホンを外した工藤先輩は、目をたるませてきた。
「ああ、そうともバレてしまったようだな。プライベートの事……だったのだが」
「工藤先輩は森本さんと従弟」
「そうさ、森本さんは僕の父さんの弟……つまりおじさん。
昔はすごいヤリマンだったらしい、プレイボーイとか……死語だけど」
「ヤリマン?プレイボーイ?」という言葉を聞いて、森本さんの顔を浮かべた。
爽やかで、モテそうだし、ああいうのをリア充とかいうんだろうな。
純花が憧れているのは彼の様な事なのだろうか。
「ま、僕には興味ありません。僕は三次元の穴より、二次元の美少女です」
「そうですか……」
工藤先輩の言葉を少しだけ理解できた。
純花と違いセレスタイトは純花と姿が同じ。
そのわりにはとても穏やかで性格いいし、暴力的でもない。
にしてもなぜセレスタイトと純花の性格がここまで違うのだろうか。最後までこの疑問は解決されなかった。
工藤先輩と会話をしていると、部室に入ってくる姿があった。
部内で一番背の高い伊勢ヶ崎部長だ、身長百八十五をドアの上をくぐって部室に入ってきた。
この部室の鍵を持った責任者でもあった。
「伊勢ヶ崎部長、こんちわっス」
「ああ、工藤。菅原も来ていたのか」
「ええ、二学期はいよいよ岩本祭ありますからね。部長は……」
「妹だ」
いきなり一本指を突っ立てて、言い放ってきた。
部長の妹好きは、半月の間に会わなくても相変わらずだ。
「妹?ああ、部長の妹さんスね。なんかかわいいですよね」
「ああ、私はリアル妹萌えだ、リアル妹フェチだ、リアル妹命だ」
「佳乃さんはかわいいですよね、ウチのクラスのアイドルですよ」
「そうだろ、そうだろ」
伊勢ヶ崎部長は満足そうに頷いていた。それに比べて俺の妹は最悪だが。
そして、その最悪ぶりはあっという間に携帯電話に届いた。
「着信きていないか、菅原の携帯」
「ああ、またか」
それは母からの電話だった。
だけど俺は、いつも通り嫌な予感をしながら部室を出て行った。
この電話を見るなりに憂鬱そうで、面倒そうな顔をしながら。




