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DSPはバッテリーが許す限りつけておこう。
ゲーム画面では顔が眠そうなドワ太。
それもそのはず、DSPの時間は夜六時になっていた。
いつの間にか阿弥野ケ原樹海に入って三時間が過ぎていた。どうりで足が痛いわけだ。
寝ぼけていたのか、のんきなドワ太が俺にゲームをつけるたびに急いで起きた。
「ふむ、眠いのう」
「このゲームと阿弥野ケ原が連動しているなら、純花はここにいるんだな」
「それはタッチしてみればよかろう」
だけどタッチをすればクリスタルゲージは減っていく。だからタッチは安易にできない。
とりあえず最初にブザーが鳴ったところを外して、山あたりの森を見ていた。
すると、ゲーム画面に動きがあった。イベントマークだ。
~~エメラルド城・会議室~~
イベントの場所は会議室だ。
そこで出てきたのは伯爵。それから将軍らしき老将がそばにいた。
これは『ジュエル☆プリンセス♡スクール』と同じ将軍だ、『センチネル』って名前。
しわの数が、歴戦の勇者であることを物語っていた。
まだこの世界だと現役なんだな。さすがは老兵。
「姫様は魔物の森に入っていったのは本当だな」
「ええ、あそこに入ったと見張り兵から報告がありました」
「魔物の森……か。姫を、セレスタイトを助け出さなければ」
渋い表情の侯爵の顔がアップになった。やっぱり顔は純花パパだ。
初老の白髪交じりの男は、唇をかみしめていた。
「で……大臣よ。セレスタイトに関して聞きたいことはあるのか?」
いきなり俺に振られてきた、選択肢は二つ。
特にないともう一つの選択肢、迷うことなく俺は後者を選んだ。
「姫様は魔物の森に昔何度か遊びに行ったと聞きますが……本当でしょうか?」
「ああ……本当だ。元々あそこはきれいな場所だ。
かつては穏やかな国指定の公園だよ。
悪い大臣の魔法実験が行わなければ、あそこは魔物がいない森だという設定だからな」
この設定は、ジュエル☆プリンセス♡スクールのものをそのまま使うのか。
なんだかリアルとゲームの情報が混じっていて、だいぶややこしいな。
「それは初耳ですね」
「きれいな高原植物は生えている花畑があって、セレスタイトはそこが好きなんだ。
フォレスセント族は、花を大切にする種族と聞くし。
湖のほとりにあるそこは、天国だ……まさか」
「その可能性はありえますぞ、聞くに大臣」
センチネル将軍が、大臣である俺の方にドアップを見せてきた。
しわのある迫力のあるご老人だ。イラストレーターが全く同じだ。
まさかリアルでセンチネル将軍は……いないよな。
「セレスタイト姫の好きなものと嫌いなものを知っておるか?」
「好きなもの?う~んなんだろ……変なあだ名つけるのとか」
「ふむ、それは好きというより特技みたいなものじゃ。
わしなんかセンジイじゃよ」
なぜかセンチネル将軍は、少しうれしそうに語りかけてきた。
確かにセレスタイトも純花も、変なあだ名をつけようとするな。
「好きなモノって……後は花……そうか」
「ならば答えは出ているはずだろう」
まるでセンチネル将軍は、俺に対して純花のことを託すかのように言ってきた。
「はい、花畑を探せば……」
「うむ……だがもう一つ……」
「はい?」
「嫌いなものは分かるか?」
「えと……たぶんそれは分かっています」
そうだ、それが純花やセレスタイトが逃げた原因になったものだ。
俺はセンチネル将軍の言葉を胸に、ゲーム画面の前に頷いた。
「伯爵……昔に行った花畑の場所を教えてもらえますか?」
「大臣、まさか行くというのか?」
「無論です、これは俺の仕事です。姫を連れ戻すのは白馬の王子様の役目ですから」
それははっきりとした俺の決意。
それを見た伯爵は、目を細めて嬉しそうな顔を見せていた。
「場所はここのあたりだ」
侯爵の話の後に、下の画面付近にマークが出ていた。




