00.プロローグ
日本語が変な部分があるかもしれませんが、ご容赦ください。
これはとある小さな町で起きたとてもちいさなお話し。
物語の舞台は大国ブリュッセルの西の果てにある小さな町セントレス。ここには国同士の争いもあまり及ぶことなく静かで平和であった。ひとつの噂を覗いては。
「セントレスの森には醜い野獣が棲む城がある。」
いつからそんな噂が流れだしたのか、誰も知らない。しかしその噂はセントレスの町の者なら知らぬ者はいなかった。それこそ老若男女問わず。そのため恐ろしがって誰も森に入ろうとはしなかった。その甲斐あってか噂が消えることはなかったが、何か被害が起きるということもなかった。ある男が、その城の門を叩いてしまうまでは…。
「すみません。道に迷ってしまったのですが一晩泊めていただけないだろうか。」
男はセントレスの町に住む伯爵家の当主だった。気さくな人柄が評判のハウゼン伯爵。彼は隣町の親戚の元を訪れた帰りだった。親戚家族の団欒様子を見ていたら、一刻も早くセントレスで待つ自身の家族に会いたくなり、一人馬を走らせ家路を急いでいたのだ。近道とばかりに入った森でハウゼンは迷ってしまったのだ。そして途方にくれていた時に見つけたのが目の前の城だった。古びた建物だが城というに相応しいだけの存在感がそこにはあった。ハウゼンも町で流れている噂は知っていた。だが、このまま森を進むよりも一縷望みをかけてこの城で一晩明かした方が良いと判断したのだ。
「すみません。」
ハウゼンはもう一度城門を叩いた。するとぎぃ、と不気味な音を立て、城の門が開いた。しかし、そこには誰もいない。その不気味さにハウゼンはごくり、と息を飲む。それでも誰かが招かなければ門が開くことなどありえない。ハウゼンは意を決して門の内側へと踏み入った。城の大きな扉を開け、中に踏み込む。城内は真っ暗でそして静かだった。ポケットからマッチを取り出し、それに火を灯して進む。しかしマッチの火はすぐに消えてしまう。そうして何本目かのマッチに火を灯した頃、目の前で何かが動いた。ハウゼンはその気配を追いかける。どこかの部屋に入ったらしい。ハウゼンは手探りで壁を探った。そしてスイッチの様なものに触れる。カチリ。音を立て、スイッチがオンに切り替わる。何度か点滅を繰り返し、部屋に明かりが点く。目の前の黒いものにハウゼンの背筋を冷たいものが流れる。
「あ、あぁ…。な、何だお前は…!!」
ハウゼンの目の前にいたのは恐ろしく世にも醜い化物だった。