動かないオルガン
高校生の頃だった。
学校行事で、音楽ホールにオーケストラの演奏を聴きにいったことがあった。
私は対して音楽に興味はなく、隣にいる友人と他愛ない話をしながら、早く始まって、早く終わってほしいものだと、暇を持て余していた。
だが、そんな考えは一瞬にして吹き飛んだ。
私は、そのオーケストラの音色に心を奪われた、訳ではなかった。私の目は、オルガニストに釘付けになっていた。美しかった。私も彼女のようになりたいと思った。私の人生は、そこから輝き出した。
24歳で、私はプロのオルガニストとして初めて仕事をした。勿論緊張はしたが、それ以上に幸せだった。今までの努力が形になって認められているのを感じた。私はオルガンが好きだった。
30を過ぎた頃、東京での大仕事が入ってきた。
この公演を無事成功させれば、この先更に大きな仕事も貰えるだろう、育ててくれた両親への恩返しにもなる。しかし何よりも、空だけの規模の場所で、私の演奏を聴いてもらえることが、楽しみで仕方なかった。でもそう上手く事は運ばなかった。不運にも私は、重度の心不全で入院を余儀なくされた。
それでも私は諦めきれなかった。担当医をなんとか説得し、公演が終わるまでのオルガンの演奏の許可を取った。とにかく必死だったが、オルガンを演奏しているときだけは、嫌なことを全て忘れさせてくれた。
当日、不思議と私は落ち着いていた。わくわくしてしょうがないけれど、緊張感で落ち着きを保っていられた。会場に入り、演奏の準備が整う。しんとした空気が張り詰める。それも嫌な感じではない、今か今かと待ちわびているのが分かる。大きく息を吸う。それをゆっくりと吐いて、私は演奏を始めた。とても心地がいい。頭がふわふわとして、自分が演奏していたことすら忘れそうになる。
気づけば私は、床に倒れ込んでいた。意識が朦朧としている、直感的に死ぬのを理解した。どうやら、動かせるオルガンには限りがあるらしい。とんだ皮肉である。まぁ、最期にこんな素晴らしい体験をしたのだし、悪くないかもしれない。
あぁ、意識が遠のいてゆく。
私の人生には、常にオルガンが傍にあった。
せっかくの夏休みですので、書きたかった短編小説を書くことにしました。
高校生です。小説に対する心得など何も持ち合わせていないので、アドバイス等下さるとありがたいです。




